大学生の1日をスマホアプリで追う

1. 朝起きてまずはフルーツに水やり。そのわけは?

北京市内の学生が毎朝欠かさず行っているのが、スマートフォンのフルーツゲームの水やりだ。朝の 7 時から 9 時の間にゲームを開き、無料でもらえる水を受け取ってフルーツの木に与える。一見よくある農作物の育成系ゲームのようだが、実はゲーム内で育てたフルーツは無料でもらえる。配送料もかからない。

このゲームを中国で最初に始めたのが中国大手 EC サイトの拼多多(ピンドウドウ)だ。拼多多のアプリ内で 2018 年 5 月から、オンラインゲーム「多多果園」がスタートした。

ゲームでは朝だけでなく、昼(12 時~14 時)と夜(18 時~21 時)にも水が配布されるので、毎日最低でも 3 回はゲームを開くことになる。さらに、友人に拼多多を紹介したり、ゲーム内のクイズに答えたり、ゲーム内で紹介される商品を拼多多で購入したりすると、より多くの水や肥料(フルーツの成長が早まる)をもらうことができる。

現在は天猫(Tmall)や京東(JD)といった他の EC アプリでも、同じように無料でフルーツがもらえるゲームがあるため、毎日朝から水やりが忙しい。

2. 空き時間にはニュースや動画を見てお小遣い稼ぎ

フルーツへの水やりが終わったら、今度はアプリでニュースをチェックしたり、動画サイトで動画を見たりする。

日々のニュースチェックには、「今日頭条」の極速版アプリを利用している学生が多い。極速版には小遣い稼ぎができる機能がついているからだ。アプリへのログイン、ニュースの閲覧、検索、さらには歩くことでもアプリ内のコインが貯まる。貯まったコインはキャッシュレス決済サービスの「支付宝(Alipay)」を通じて出金することができる。

動画アプリの「抖音(海外サービス名:TikTok)」にも、似たような機能がある。こちらも通常版のアプリではなく極速版をインストールして、ログインしたり、動画を再生したりすればコインが貯まる。貯まったコインは、同じように支付宝を通じて出金できる。

3. 授業や宿題に大活躍のスキャンアプリ

大学での授業には、スキャンアプリ「掃描全能王」を使う。数年前から北京市の大学では、授業で使う資料や課題などのプリント類が配布されないことが多くなった。代わりに担当教員からメッセンジャーアプリの微信(Wechat)を通じて資料や課題のデータを受け取り、学生は必要に応じて各自で印刷するのだが、時には資料や課題の原本しか提示されないこともある。

そんな時には、「掃描全能王」を使って必要な箇所をスキャン(写真を撮影)する。スキャンした画像はすぐに PDF 化され、OCR でテキストだけ抽出することもできる。本やポスターといった紙の印刷物のほか、パソコンの画面もスキャン可能だ。

さらにこのアプリには翻訳機能も付いているので、外国語の勉強に利用する学生もいる。教科書の気になる箇所をスキャンして、OCR で文字を起こした後に、わからない文章を翻訳したり、辞書で単語の意味を調べたりするのに便利だ。

4. 昼休みが近づいたらデリバリーの予約

大学には学生食堂もあるが、近年はキャンパスの外に出て外食するか、ランチのデリバリーを頼む学生も少なくない。

食事に関しては、大手デリバリーサービス「美団」のアプリを使う学生が多い。理由は単純で、レストランの支払いに美団のアプリを使うか、あるいは美団でランチのデリバリーを頼めば、フルーツゲームの水や肥料がもらえるからだ。

美団は食事だけでなく、シェア自転車の利用、映画のチケット予約、列車の切符購入といった娯楽や移動に関わるサービスが満載で、学生生活には欠かせないアプリの一つになっている。

5. 交通系 IC カードもアプリ版が便利

外出で地下鉄や路線バスを使う時には、交通系 IC カード「北京一卡通」のアプリを使う。日本でいえば、スマートフォンで使う「モバイル Suica」のようなイメージだ。学生専用の「北京一卡通」を作れば、なんとバスの運賃が 75%引きになるため、ほとんどの学生が利用している。

「北京一卡通」にはプラスチックカードもあるが、学生専用カードは特定の窓口でしか現金のチャージができず不便なため、多くの学生はアプリ版を使っている。アプリは最初にオンラインで身分確認の書類等を提出する必要があるが、利用申請が許可されれば、スマートフォンからいつでも現金がチャージできるようになる。

6. プライベートの連絡は微信や QQ で

授業以外での学生どうしの連絡には、基本的に「微信(Wechat))や「QQ」が使われている。どちらも大手 IT 企業の騰訊(テンセント)が提供するチャットサービスで、微信は決済機能が付いている上、メッセージの送信や容量の小さなファイルのやり取りがスムーズにできる。一方の QQ は、決済機能は無いものの、動画のようなサイズの大きなデータでも送受信が安定しているという特徴がある。

学生の多くは微信か QQ のどちらか一つを使うのではなく、友達との連絡では QQ を使い、大学のクラスのチャットグループでは微信を使う、逆に普段は微信を使うことが多いけれど、サークルの連絡には QQ のチャットグループを使う、といった具合にうまく使い分けている。

一見して、決済機能がある微信の方が QQ に比べて便利なように感じられるが、支付宝(Alipay)などの他の電子決済サービスをメインに利用している学生もおり、決済機能の有無はあまり関係がないようだ。

7. 寮に帰ったら動画や音楽のアプリでリラックス

中国では、大学生は基本的にキャンパス内の寮に住んでいる。平日の夜は、寮の部屋で動画を見たり音楽を聴いたりして過ごす学生も多く、よく利用されているのが「愛奇芸」「騰訊動画」「bilibili(ビリビリ)」といった動画アプリだ。愛奇芸と騰訊動画は日本のAbemaTV のようにオリジナル番組の制作に力を入れており、最近はアイドル選抜番組(愛奇芸「青春有你」、騰訊「創造営」)が特に人気だ。bilibili は ACG(アニメ・漫画・ゲーム)に特化していて、こちらも学生に人気がある。音楽を聴く場合は、「QQ 音楽」や「網易音楽」のアプリを利用する学生が多い。

そして寝る前には、「今日頭条」のアプリで「入眠/就寝」ボタンを押してコインをもらう。他のコインをくれるサービスもひと通りチェックしたら、ようやく就寝だ。朝になれば、またフルーツへの水やりから 1 日が始まる。

クララオンラインコンサルティング事業部

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