1. 今年は感染リスクを抱えた開催に
2020 年 5 月 22 日から 28 日にかけて、北京市で第 13 回全国人民代表大会(全人代)第 3回会議が開かれた。
例年ならば全人代は 3 月に開催されるが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大による影響で 2 カ月半の延期となり、会期も短縮された。取材メディアの人数も制限され、代わりに会議がライブ配信されるなど、感染リスクに配慮した形での開催となった。
2. 2019 年の経済成長を評価するも、2020 年は目標値設定せず
開催初日に行われた李克強首相による政府活動報告では、2019 年は実質 GDP 成長率 6.1%を達成し、2017 年に打ち出した「小康社会(ややゆとりのある社会)」の全面的な実現に向けて基礎を固めたと評価した。
しかし、2020 年の実質 GDP 成長率目標は、新型コロナウイルスの世界的な流行による不確実性を理由に設定しなかった。なお、成長率目標が設定されなかったのは、改革開放以降では 2000 年、2001 年、2002 年に続いて 4 回目となる。主要な発展目標の達成状況と 2020 年の目標設定は次の通りとなっている。
3. 2020 年の重点任務は経済回復に集中
かねてより低迷がみられた中国経済は、新型コロナウイルスの流行で工業、商業を中心に大きな打撃を受けた。2020 年の重点任務には、マクロ政策の強化による企業の安定と雇用の保障(減免税拡大、生産経営コスト低減、雇用の安定と拡大等)、内需拡大戦略と経済発展方式の転換加速(消費回復、投資拡大、湖北省の復興支援等)、対外開放の推進と貿易・外資の基盤安定(外資導入の促進、外資の利用拡大、貿易と投資の自由化推進等)といった 6 項目が挙げられた。いずれも経済回復を目的とした内容となっている。
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<本ガイドブックの内容>
2019年から2020年5月までのふり返り
・2019年から2020年5月までのふり返り
・2019年から2020年の主要目標達成状況
2020年の全体目標・各分野の重点活動
・2020年の全体目標及び計画
・マクロ政策:企業の安定化と雇用の確保
・市場主体の活力を引き出す取り組み
・内需拡大戦略
・対外開放を推進、貿易・外資の基盤安定
・基本的生活、民生の保障に注力
政府活動報告の今後の動向予測
・政府活動報告の注目点
・ビッグデータ・AI応用
・さらなる外資規制の緩和が進む
・貧困よりも少子高齢化の課題が深刻化