Hellobikeついに米上場へ
中国でシェアサイクルの「哈囉単車(Hellobike、ハローバイク)」を運営する上海鈞正網絡科技有限公司(哈囉出行、Hello Inc.)は2021年4月23日、米証券取引委員会(SEC) に新規株式公開(IPO)を申請した。米ナスダック市場への上場で、1億ドルを調達する計画だという。
中国のEC最大手、アリババグループ(阿里巴巴)の金融子会社である Antfin(Hong Kong)が、同社の筆頭株主として36.3%の株式を保有している。創業者である楊磊CEO(最高経営責任者)の持ち分は10.4%に過ぎない。
Hellobikeを運営するHello Inc.の業績
Hellobikeは2016年3月に上海市で創業した。現在はケイマン諸島に設立したHello Inc.を親会社とする香港のHongKong RideTech Limitedが、外資企業として中国国内に設立した子会社を通じてHellobikeやライドシェアサービスの事業を行っている。
右下にあるShanghai Junzheng がハローバイクの直接の運営会社
上場目論見書によれば、2020年の売上高は前年比25.3%増の60億4,400万元(約1,017億円)で、売上総利益は7億1,500万元(約120億元)だった。主な収益源はシェアサイクルサービス「Hellobike」のライド料金(シングルライド料金、サブスクリプション料金)で、売上高は55億258万元、売上総利益は3億6,721万元に上った。他にライドシェアサービス「順風車」の利用料金、電動バイクの販売、広告サービスからの収益がある。
2020年第4四半期(10-12月)の同社のアクティブユーザー数(四半期中に少なくとも1回同社のいずれかのサービスを利用)は1億170万人で、前年同期に比べて13.3%増加している。
2020年第4四半期の利用回数は、Hellobikeが13億9,500万回、ライドシェアサービスの順風車が3,000万回となっている。
また利用者が四半期で支払う平均金額は、2018年第1四半期(1-3月)がわずか5.1元だったのに対し、2020年第4四半期(10-12月)は37.4元にまで増加している。
Hellobikeの運営モデル
シェアサイクルのHellobikeは2020年末時点で、中国国内で300以上の都市で利用することができる。アクティブユーザー数は 3,000 万人を超えるとされる。Hellobikeの専用アプリのほか、アリババの決済サービス「支付宝(アリペイ)」のアプリからも直接利用することができる。
上海エリアの利用料金は、1回15 分まで 1.5 元で、以降 15 分ごとに 1 元が加算される。例えば30 分の利用なら 2.5 元となる。30 日間乗り放題のサブスクリプション料金は専用アプリならば14.5元、アリペイのアプリからならば17.5 元となっている。
駐輪禁止区域やサービス提供エリア外に自転車を停めるとペナルティとして 3-5 元の罰金が課されてしまう。
Hellobikeの運営モデルには、自社運営モデル、共同運営モデル、フランチャイズモデルの3タイプがある。主に自社運営モデルを採用しているが、同社にとって費用効果が高くない特定の都市の指定エリアでは、共同運営パートナーに配車と保守サービスのみを委託している。
またフランチャイズモデルでは、加盟店に自転車を販売し、加盟店がサービスの運営から配車や保守まですべての裁量権を持つ。契約期間は3年で、加盟店は毎月ロイヤリティを支払う契約となっている。
これまでの資金調達
哈囉出行(Hello Inc.)は、創業直後の2016年11月に最初の投資を受け、その後は2017年12月から2019年12月の2年間だけで8回、総額200億元を超える資金調達に成功している。
現在の筆頭株主であるアリババグループの Antfin(Hong Kong)からは、2017年から数度に渡って30億元を超える投資を受けている。
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上場目論見書(英語) https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1841944/000104746921001022/a2243152zf-1.htm
※グラフ等はすべて上場目論見書より引用