1. 待ち望まれた再開
2018 年 12 月 29 日、国家新聞出版広電総局の WEB サイト上で 12 月分の国産オンラインゲーム審査批准情報が公表された。2018年 5 月に 3 月分の審査批准情報が出されて以降、実に 7 カ月ぶりのことで、これはいわゆる「版号」の発行再開を意味する。
オンラインゲーム審査批准情報とは、従前、国家新聞出版新聞出版広電総局の審査をパスし、「版号」と呼ばれる審査批准番号(文号)の付与を受けたゲームのリストだ。版号の取得はオンラインゲームの運営に必要な手続きの一つとなっている。
12 月 29 日に 19 日批准分の 80 タイトルが公表されたのに続き、年が明けた 2019 年 1 月 9 日には、さらに 29 日批准分の 84 タイトルが公表された。合計 164 タイトルの内訳は、モバイルゲームが 149 タイトル、WEB ゲームが 7 タイトル、クライアントゲームが 7 タイトル、家庭用ゲーム機(PS4)が 1 タイトルとなっている。
2. 批准数の減少は新規リリース抑制政策が原因か
国産オンラインゲームの審査批准数は、2017 年が 1 万タイトル以上で、2018 年は 1~3 月の 3 カ月間に 2,000 タイトルを越えていた。かつては毎月平均 700 タイトルほどが批准されていたが、今回は 164 タイトルと、およそ 4 分の 1 にとどまる。
その理由として推測されるのが、2018 年 8 月に出された「児童青少年の総合的な近視予防・進行抑制の実施方案」だ。方案ではオンラインゲームの総数管理と新規リリースの抑制に言及しており、さらに当局が低俗なゲームの一掃に積極的であることから、以前より審査が厳しくなっているのではないかと見る向きは強い。
さらに業界の二大巨頭である騰訊(テンセント)と網易(NetEase)の作品が今回は一つも含まれておらず、大半が中小ゲーム会社のタイトルで占められた。審査は申請順に行われるというが、さすがに不自然ではないかという声が多く挙がっている。中信建投証券のまとめによれば、現時点でおよそ 7,000 タイトルが批准待ちの状態だという。
一方で、2018 年末に発表された道徳委員会による道徳評議は、いまだ詳細が明らかにされておらず、今回の審査批准の過程に影響を与えたかは定かでない。ただ 12 月末の中国ゲーム産業年会で、中国共産党宣伝部出版局の馮士新副局長が、道徳評議は全てのゲームを対象に行うのではないと発言しており、リリース前のゲームであることを理由に評議結果は公表しないとしている。
なお国家新聞出版広電総局は、2018 年 3 月の政府機構改革で国家広播電視局に改編され、新聞出版管理の職責は中央宣伝部の国家新聞出版署に移されている。本来であれば審査批准情報は国家新聞出版署のサイトに掲載されるが、現時点で公式サイトが存在しないことから、差し当たり旧国家新聞出版広電総局のサイトに掲載したようである。