中国最大のゲームショウ「ChinaJoy2013」現地レポート

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2013 年7 月25〜28 日 上海新国際博覧中心

総来場者がついに20万人突破!

第11回目の開催となるChina Digital Entertainment Expo (ChinaJoy)が、2013年7月25日~28日の4日間に渡り、上海で開催された。会場は例年通り浦東にある新国際博覧中心で、一般向けのBtoC会場が5ホールに業界関係者向けのBtoB専用会場が併設され、隣接するホテルでは分野別のビジネスカンファレンスが開かれた。

当日券売り場には早朝から長い列ができていた。連日の晴天で気温は40度近くにまで上昇

主催側の発表によると一般来場者は約15万人で、このほか業界関係者が約1万3000人、メディアが約7000人など4日間の総来場者数は20万1112人に達し、初めて20万人を突破した。今年は前売り券のほとんどが携帯電話のショートメールを使った電子チケットとなったためか、会場周辺で声をかけてくるいわゆる“ダフ屋”が激減。来場者は圧倒的に男性が多く10代から20代が中心だったが、小さな子供のいる家族連れの姿も多く見かけた。また今年のBtoC会場は1ホール増えたこともあって、昨年に比べ通路を広く取ったレイアウトになり、コスプレショーなどのイベント専用ステージと物販コーナーが1ホールにまとまっていた。全体としては昨年と同等規模の開催だが、今年は限定グッズの配布を屋外で行うといった混雑緩和対策もみられた。

出品規模ではPCゲームに軍配

ゲーム会社が巨大ブースを並べるN1~N4ホールでは、捜狐(SOHU)、騰訊(Tencent)、盛大(Shandagames)、蝸牛(SNAIL GAME)といった大手ゲーム会社が華やかなイベントを繰り広げた。今や名物となったコンパニオンの写真撮影会はもちろん、ライブ、ダンス、カラオケ、じゃんけん大会など様々で、いずれも大観衆の大盛り上がりだった。

公式発表によれば、コンパニオンの女性は約540人、男性は約35人。外国人モデルも去年より増えた印象

一方で試遊機も充実しており、網易(NetEase)のブースでは根強いファンを持つ「魔獣世界(World of Warcraft)」に人が集まっていたほか、騰訊は中国でも人気の漫画「NARUTO-ナルト-」のMMORPG「NARUTO Online」、盛大はスクウェア・エニックスが開発を進めているMMORPG「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」の中国語版「最終幻想XIV」からキャラクター設定画面の一部を公開し注目を集めていた。

今回のChinaJoyで初公開のゲームは10タイトル、設置された試遊機は800台を超える

さらに今年は変わり種も色々と登場しており、網易のヘッドギア型3Dディスプレイで遊ぶ「危機2015」の試遊機には長蛇の列が。Intelのブースでは、3枚のモニターで臨場感いっぱいに楽しめるレーシングゲームに注目が集まっていた。またモーションキャプチャ―を使った参加型のステージイベントも大盛り上がりで、モバイルゲームで人気の「フルーツ忍者」や2人プレイのストリートファイター系ゲームやボクシングゲームは観客から大きな声援が上がっていた。

3Dやモーションキャプチャ―のような新感覚のゲームは注目度も高い

タブレットやスマホ向けゲームが急増

展示規模ではPC向けのオンラインゲームが依然として多いものの、注目度と勢いではタブレットやスマートフォン向けのモバイルゲームも負けていない。今回出展するゲーム会社の多くは独自のモバイルゲーム配信プラットフォームを運営しており、端末メーカーと提携してタブレットやスマートフォンの試遊機を用意するブースが数多くあった。

3G通信サービスを提供する中国聯通(チャイナユニコム)、中国移動(チャイナモバイル)、中国電信(チャイナテレコム)の3社はいずれも昨年を上回る規模で出展。コンパニオンの女性がその場でスマートフォンにゲームをダウンロードしてくれるブースもあり、試遊コーナーには子どもや親子連れの姿が目立った。

PCゲームのブースに比べ子どもが多い。それだけ子どもにも身近になっているということか

また中国移動や上海天遊(T2 Entertainment)は、モバイルゲームを家のテレビで遊ぶという新しいスタイルを提案していた。中国移動はスマートフォンを専用機器でテレビとつなぎ、まるでスーパーファミコンのようなコントローラーでプレイする試遊機を設置。担当スタッフによれば、中国ではスマートフォンの料金を気にして、アプリのダウンロードは自宅のWiFiでするのが一般的で、どうせ自宅にいるなら画面の大きなテレビを使って遊べた方が良い、という単純明快な理由だという。

他方、上海天遊はテレビ製造大手の海信(Hisense)が開発したインターネットができるスマートTV「VIDAA TV」を展示。「VIDAA TV」のアプリマーケットには6月末時点で1000タイトルを超えるゲームがあり、上海天遊がその多くを手掛けている。自分のスマートフォンをコントローラー代わりに振ったり、上下させたりして遊ぶ様子はWiiのようだが、基本的にコンソール機の販売が許されていない中国では、これも新たな遊び方として受け入れられそうだ。今後、テレビで遊ぶという新たな楽しみ方が広がれば、ゲームの設計やデザインにも影響をもたらすだろう。モバイルゲームの新たな展開に期待したい。

二次元コードが大活躍

今年のChinajoyで最大の変化と言えば、二次元コードによるプロモーションがさかんに行われていたことだ。ゲームをダウンロードするためのものはもちろん、ゲームの公式微博や微信にアクセスするもの、ゲームキャラクターの壁紙などがもらえるものなど様々ある。なかでも各社が運営するゲームプラットフォームに会員登録するものは、その場でプレゼントがもらえることもあり、スマートフォンでひっきりなしに撮影する様子が見られた。また二次元コードでモバイル用支付宝をダウンロードして、支付宝で飲み物を購入できる自動販売機も今年初めて登場していた。

スタッフがオリジナルグッズを手に呼びかければ、皆が先を争ってコードを撮影する

今年はグッズ販売が充実

N5ホールはコスプレショーの大型ステージとグッズ販売コーナーが中心となっており、終日大変なにぎわいだった。昨年はホールの壁沿いに小さな店が出ている程度だったが、今年は正規品の取り扱いをアピールする店が固まって並んでおり、日本のアニメや漫画の関連グッズを扱う店の中には「日本直輸入」、「正規製品」、「萌」を大きな字でアピールする店も。


すぐ横には中国でも大人気のアニメ「ワンピース」のオフィシャルブースが設けられていた。中は半分がオフィシャルグッズの販売コーナー、残り半分が登場人物の等身大フィギュアと写真が撮れるエリアになっており、「ワンピース」の中国での人気を表すかのように写真を撮る順番待ちの列がブースの外にまで長く伸びていた。

  日本や台湾のアニメが大人気。日本直輸入のグッズが入った「福袋」は飛ぶように売れていた

商談メインのBtoB会場も規模が拡大

業界関係者向けのBtoB会場は前回よりも多い約300社が出展。派手なBtoCホールとは対照的な落ち着いた雰囲気の中、じっくりとゲームを試したり、スタッフと真剣に商談する外国人の姿も多く見られた。日本からはDeNAが比較的大きな規模で出展していたほか、特に人が集まっていたのは、モバイル向け広告を紹介していたGoogle、端末メーカーのNOKIA、Android用ゲームプラットフォームに進出した中国のセキュリティ最大手、奇虎360科技などで、ひっきりなしに名刺交換が行われていた。

BtoBでも試遊機に人が集まる。外国人と英語で商談する様子もあちこちでみかけた

日本のゲームやアニメに大きなチャンス

今年のChinaJoyでは、驚くほど多くの日本製ゲームやアニメを見かけることができた。日本に伝えられるニュースを見る限りでは、中国の若者の多くが日本に対して好意的でなく、過激なデモや日本製品の不買運動が広がって、日本のコンテンツなどまるで受け入れられる余地が無いように感じられるかもしれない。しかし実際には上海という土地柄もあってか、熱心なゲームファンを中心に純粋な日本製はもちろん、日本の影響を受けている現地のゲームやアニメ、グッズ類が広く浸透し、人気を得ている印象を受けた。

さらに「ワンピース」のオフィシャルブースが出たり、販売されるグッズに「正規商品」と大きく表示され、それを当たり前のように若者が購入するなど、著作権に対する意識も明らかに変わってきたようだ。若者の購買意欲も旺盛で、せっかく来たのだからとフィギュアのような高い商品を購入したり、カップルがお揃いで日本のアニメTシャツを買って行ったりと、コンテンツビジネスに強みを持つ日本メーカーにとってChinaJoyは中国市場を開拓する大きなチャンスになると感じた。

今後さらにスマートフォンの普及が進めば、来年はモバイルゲームの出展比率がより多くなるだろう。また自宅のテレビやスマートフォンを使った新しい遊び方が、さらなる進化を遂げて登場することも予想される。中国のゲーム市場がどのような変化と成長を遂げるのか、来年のChinaJoyが楽しみだ。

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この記事を書いた人

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