2021年の中国のゲーム市場動向
中国産業研究院などのまとめによれば、2021年の中国のゲーム市場の総売上は2965.13億元で、前年に比べ6.4%増にあたる178.26億元の増加となった。このうち国内で自主開発されたゲームによる売上は2558.19億元で、同6.51%増となり、海外市場での売上は180.13億ドルで同16.59%となった。市場は全体として安定した成長を続けているが、伸び幅は前年実績と比べて20%ほど減少している。
また端末別では、モバイルゲームによる売上が2255.38億元で、同7.57%の増加となった。モバイルゲームがゲーム市場全体の売上に占める割合は76.06%だった。
PCへのダウンロードが必要なインストールゲームの売上は588億元で、同5.15%の増加となった。過去3年で初めてのプラス成長となった。売上全体に占める割合は19.83%だった。
一方で、ブラウザゲームは成長が見込めないことから開発数が減っており、売上は60.3億元だった。前年より20.74%の減少となっており、前年実績を下回るのは5年連続となる。 売上全体に占める割合は2.03%にとどまっている。
中国国内のゲームユーザー数は6.66億人で、前年同期に比べ0.22%増加した。ユーザー数はすでに飽和状態にあると見られる。
ゲームにまつわる訴訟の現状
中国産業研究院が広悦律師事務所と共同で発表した「2021年中国オンラインゲーム産業権利侵害訴訟白書」によると、2021年に公判が行われたゲームにまつわる民事訴訟85件のうち、およそ7割にあたる58件では、損害賠償の請求額が100万元以下だった。全体では、損害賠償請求額が10万元以下の訴訟が44件で52%を占めた。
このことからわかるように、2021年のオンラインゲームにまつわる権利侵害訴訟における原告の損害賠償請求額は100万元以下に集中しており、裁判所側も半数以上の訴訟で損害賠償を10万元以下とする判決を下している。
少額の損害賠償額が主流となる一方、高額な損害賠償を求める案件も複数あった。2021年に損害賠償請求額が500万元を超える権利侵害訴訟は12件あり、このうち7件では原告の損害賠償請求額が1000万元を上回っていた。裁判の結果、100万元以上の損害賠償を認めた訴訟が11件あり、このうち4件では500万元以上が認められている。
現状では、裁判所が最終的な損害賠償額を原告の請求額の3分の1しか認めないケースが全体の70%以上を占めており、請求額の50%以上を認めた訴訟は14%に過ぎない状況となっている。
侵害行為に応じた平均的な損害賠償決定額
侵害行為の種類別では、ゲームの内容や名称に関連する著作権が絡んだ侵害訴訟の方が宣伝広告の盗用にまつわる訴訟より賠償額が高い傾向にある。例えばゲームの内容に関するすべての侵害行為の平均賠償額は128.39万元だが、広告宣伝に関するすべての侵害行為では40.07万元となっている。
またゲームの画面やプレイ方法といった内容そのものに関する侵害行為は、損害賠償決定額の平均が最も高い498.71万元だったが、逆に最も安いのはゲームのソフトウェアに関する侵害行為で6.18万元となっている。
ゲームの広告宣伝に関する侵害行為では、プロモーション活動におけるキーワード、広告素材、広告コピー、広告名称等について、それぞれ平均して28万元から74万元の損害賠償額が認められている。