世界に先行する中国の 5G 計画

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1. 5G 規格まもなく公表

中国で 5G(第 5 世代移動通信システム)の商用化に向けた試験が繰り返されている。5G への期待は大きく、「4G は生活を変え、5G は社会を変える」と言われる。2018 年5 月 21~25 日に韓国・釜山市で開かれる 3GPP(移動体通信システムの仕様作成団体)の会合において、5G の国際標準規格が確定する予定で、6 月には規格に準拠したチップや端末製品、関連システム等の産業化がスタートする見通しだ。

2. 中国の5G 計画の進捗は

国家発展改革委員会は、中国聯通(チャイナユニコム)、中国電信(チャイナテレコム)、中国移動(チャイナモバイル)の 3 社に対し、一部都市での 5G 試験用ネットワークの敷設を許可している。3 社の進捗状況を確認しよう。

● 中国聯通

中国聯通は 2018 年中に 5G のネットワーク試験に着手し、2019 年に試験的な商用化を実現、2020 年には一般契約者向けの 5G サービスをスタートする計画だ。2018 年 2月の第 1 回臨時株主総会では、2019 年第 1 四半期(1-3 月)には 5G サービスが開始できるが、システムやネットワークの調整等が必要となるため、本格的なサービス開始は2019 年下半期になるとの見解を明らかにしている。

同社は 2018 年 4 月時点で、瀋陽、青島、北京、天津、上海、福州、深セン、杭州、南京、雄安、鄭州、成都、重慶、武漢、貴陽、広州の 16 都市での試験実施を申請し、許可を受けている。上海、深セン、貴陽などではネットワークの構築が完了しており、特に貴陽の試験では下り最大 1.8Gbps の通信速度を確認し、平均でも 1.7Gbps 以上が出ていると公表している。

● 中国電信

中国電信は 2017 年 8 月に雄安の雄県でモデルネットワークの構築を宣言しており、こちらも 2019 年に商用化試験、2020 年のサービス開始を目標としている。すでに雄安に続いて、深セン、上海、蘇州、成都、蘭州の 6 都市で 5G の試験ネットワークの構築が完了しており、各都市に基地局を 6~8 カ所用意して主に 3.5GHz のネットワーク試験を進めている。ネットワークはスタンドアローン(SA) を優先して採用する方針で、華為(HUAWEI)とは商業聯合イノベーションセンターを立ち上げて動画配信やクラウドといったサービスへの応用を研究中だ。

● 中国移動

中国移動は中興(ZTE)と共同で 2017 年 6 月に広州に中国初の 5G 商用試験基地局を開設している。2018 年中に大規模な試験を行う計画があり、杭州、上海、広州、蘇州、武漢の 5 都市では、各都市に 100 を越える基地局を建設して屋外試験を実施する。また北京、雄安、天津、福州、重慶、成都、南昌、南寧、深セン、鄭州、瀋陽、蘭州の 12都市では 5G を応用したサービスの試験が計画されている。

このほか、2018 年末ごろをめどに同社の規格に合致する 5G チップを発表し、2019年上半期には 5G 対応のスマートフォンやデータ端末等を発表する計画がある。

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