台湾がスゴイ!「Taipei Game Show 2014」現地レポート

2014年1月23~27日 台湾・台北世界貿易センター展覧館1館

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過去最高の36万人が来場、規模も最大級に

今年で12回目の開催となる「台北国際電玩展(Taipei Game Show 2014)」が、2014年1月23日~27日の5日間に渡って台湾の台北市で開かれた。会場は台北世界貿易センター展覧館1館で、展示スペースは前年の約2倍に。来場者数も5日間で延べ36万人を超え、出展規模、入場者数ともに過去最大となった。

イベントの規模は決して大きなものではなく、近年ますます巨大化する上海ゲームショウに比べて会場の広さは3分の1から4分の1程度という印象だ。入場者数では台北の方が1.5倍も多い(上海は4日間で約20万人だった)のだが、前売り券が市内のコンビニやレストランなどで販売されていた上、出入り口が会場の四方に7カ所も用意されていたため終日スムーズに入場できていたようだ。

また会場内も上海や東京のそれのように薄暗いホール内に派手な照明の巨大ブースが立ち並ぶものではなく、太陽光が射しこむ明るいホールにブースが置かれており、20代の男性を中心にベビーカーを押す若い夫婦や車椅子を使う人も多く来場していた。

会場内ではゲームショウにあわせて初日と2日目にB2B向けのカンファレンスが開かれ、日系ではDeNA ChinaとD2Cが講演を行った。業界関係者はこの2日間に限り入場無料となっていたこともあり両日ともたいへん盛況だった。

スマホの大ヒットタイトルが会場占拠、豪華イベントに熱気の渦!

初日に各ブースで行われたオープニングセレモニーでは、SCET(Sony Computer Entertainment Taiwan)のステージ前に数え切れないほどの報道陣が集結し、圧倒的な注目度の高さを伺わせた。今年のSCETは出展面積を前回の約1.4倍に拡大し、昨年12月に発売されたばかりのPlayStation4(PS4)と今年1月16日に発売するPlayStation Vita TV(PSVita TV)を軸にブースを構成。新作ソフトもPS4の23タイトルを含む約60タイトルが出展され、PS3とPS Vitaもあわせると100台を超える試遊機が用意されていた。

特に来場者が集中していたのは今も品薄が続くPS4の試遊ブースで、柵の外からプレイの様子を見る人で通路が埋まるほど。また台湾でも根強い人気を誇る「グランツーリスモ」シリーズは、最新のPS3版「グランツーリスモ6」がドライビングシートで体験できるとあって男性を中心に列ができていた。すぐ横にはゲームに登場するデザインそのままの実車が2台展示されており、写真を撮るための列までできていたほどだ。

またSCETはステージイベントにも力を入れており、新作タイトルのクリエーターや声優陣を招いたトークショーなどを連日実施。イベントが始まる1時間以上前からステージ下で場所取りをする姿も見られ、ゲストが登場すると客席からは日本語での声援も。台湾での発売スケジュールや予約特典が発表されるとファンからは大きな歓声が上がり、サイン入りTシャツなどがもらえるクイズ大会は毎回大盛り上がりだった。

SCETのすぐ隣では、ベラルーシのWargaming.net社が日本でも人気の無料オンラインゲーム「World of Tanks」をテーマにしたブースを出展。赤い照明で照らされた試遊コーナーにはずらりとPCが並べられ、若い女性や小学生くらいの子どもがプレイする姿も見受けられた。Xbox360版やiOS/Android版の「World of Tanks Blitz」の試遊コーナーも少し小さめながら設置されており、こちらも順番を待つ列ができていた。

一方、SCETを超える大きなブースを出していたGaranaは、今回が初出展。世界中にファンを持つPCオンラインゲーム「League of Legends」をはじめ、「Alliance of Valiant Arms」、「Dungeon & Fighter(アラド戦記)」、「DNF Give me fight」、「Path of Exile」、「A.V.A」などの試遊コーナーを用意していた。なかでも「Path of Exile」は18禁タイトルながら、コンパニオンの女性らが「珍しいニュージーランド製のオンラインRPG」だと呼び込みをする姿が目を引き、試遊台は常に満員の状態だった。

また台湾は韓国や米国に並んでe-Sportsの人気が高いことで知られるが、Garanaはステージ上に大きなスクリーンを用意し、プロゲーマーを招いたエキシビジョンマッチを開催。こちらもスタート前から場所取りに並ぶ姿がみられ、対戦が始まる頃には何重もの人の波ができるほど。ステージ手前では解説者を用意して中継も行われており、台 湾でのe-Sports人気のすごさを垣間見ることができた。

小規模のブースも含め全体的にはまだまだPCオンラインゲームが多いという印象を受けたが、台湾で大ヒット中のモバイルゲーム「Tower of Saviors(神魔之塔)」が会場の4分の1ほどを占拠する超巨大ブースを出していた。同タイトルは香港のmadheadが開発したものだが、ガンホーの「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」そっくり。香港では本家パズドラのパクリとして不評を買っているようだが、繁体字版のほかに英語版や簡体字版もあり、リリースから1年で世界1000万ダウンロードを記録する大ヒットタイトルとなっている。台湾でもライトユーザーを中心にダントツの人気を誇っており、限定配布される“魔法石”をもらうため、早朝から並んだファンも多かった。

同社も今回のイベントにはかなり力を入れているようで、メインステージと試遊を兼ねた対戦ブースのほか、グッズが当る抽選ブース、物販ブース、さらにはサービスカウンターまでも設置。対戦、抽選、物販にはそれぞれ「列の最後はここです」のプラカードを持つスタッフが待ち時間を案内するほどに長い行列ができていた。メインステージでは終日ひっきりなしにイベントやショーが行われ、ステージ上からどんどんグッズを投げてファンを喜ばせるのも台湾スタイル。現地の報道によれば、開催期間中に総額4億台湾ドル(約14億円)分の関連グッズを配布したという。

このほかモバイルゲームを集めたブースには、台湾のゲーム会社が開発したマージャンやぷよぷよ風の落ちものパズル、三国志をベースにしたRPGなどと並んで、日本からは唯一「ブレイブフロンティア」が出展していた。また会場には「APP100壁」という台湾製ゲームアプリのダウンロード用QRコードがずらりと一面に並ぶコーナーも。 

ところでこちら、迷彩服に銃を構えた兵士が立っていて、何かの戦争系シュミレーションゲームのブース・・・かと思いきや、実は台湾軍の募兵コーナー。

制服を着た方の話では、台湾では男性に1年間の兵役義務があるものの、2015年までに徴兵制を廃止する予定があるため人材募集に力を入れているとのこと。募集のターゲットである20代の男性が集まる場所ということでPRを兼ねて出展したところ、思ったより多くの人が立ち寄ってくれるそうだ。熱心に話を聞いている学生風の男性もいれば、キャーキャー言いながら兵士と写真を撮る女の子のグループも見られ、意外にも結構にぎわっていた。

買い物しなくちゃゲームショウじゃない!?

台北ゲームショウで驚いたのは、来場者の購買意欲のすごさだ。毎年ちょうど春節前のタイミングで開催されるため、連休中に遊ぶゲームを買いに来るという人も多いようで、ゲーム機はもちろんグッズから何から東京や上海のゲームショウとは比べ物にならないほど売れまくっていた。 

そんな中で最もすごかったのはSCETの物販コーナー。PS4は発売から1カ月経った今も1-2カ月の入荷待ちが続いているが、今回PS4が台数限定で販売されるとあって、朝6時過ぎから一番近くの出入り口に行列ができていたそうだ。

売り切れ必須のPS4は、【PS4本体+PlayStation Plus(定額制メンバーシップサービス)3カ月分】が12,980台湾ドル(約45,000円)、【PS4+PS Vita+ソフト1本+PlayStation Plus 12カ月分】が18,960台湾ドル(約66,000円)と、若者の平均月収(30歳以下で35,600台湾ドル、台湾行政院2013年9月発表)を考えると決して安くはないが、筆者が訪れた当日は販売開始から30分余りで完売。PS3も2時間後には完売しており、販売スタッフが「明日の販売分があるので、明日は朝早く来て下さい!」と声をかける場面もあった。またあわせて販売されているソフトはPS4向けが7タイトルで、価格はそれぞれ1,500~2,000台湾ドル(約5,000~7,000円)。PS3向けは25タイトルで、500~2,000 台湾ド
ル(約1,700~7,000円)となっており、周辺機器なども販売されていた。

 一方、「Tower of Saviors」のグッズ販売も1時間以上の行列となっていたが、こちらは女の子の姿も多く、カラフルなTシャツが人気だったようだ。ゲーム中にも登場する黄色いラバーダックのフィギュア5種類も飛ぶように売れていて、入場時に配られたバハムートの紙バッグは皆いっぱいになっていた。日本でモバイルゲームの関連グッズがこれほどまでに売れることは考えにくいが、逆に台湾展開を考えるならば、ゲームのローカライズだけにとらわれず、関連市場を巻き込んだ動きをしていくことが重要だと気付かされる。

オフィシャルの物販コーナーのほかにも、ゲームやアニメの関連グッズを扱う店やゲームソフトを売る店がいくつも出ており、威勢のいい店員が叩き売りさながらに中古ソフトをまとめ売りする様子には人だかりができていた。中古ソフトは日本語版のものもあれば、英語版、繁体字版といろいろで、全品299台湾ドル(約1,000円)のワゴンセールにはPS2やPS3、Wiiなどのソフトが山になっていた。

今回は「Tower of Saviors」が単体で超巨大なブースを出し、台湾での人気ぶりをみせつけたが、モバイルゲーム全体を見渡すとまだまだ発展途上という感じだ。本イベントを見た印象に過ぎないが、台湾では依然としてPC向けのオンラインゲームやブラウザゲームに勢いがあり、SCETのPS4を含めた家庭用ゲーム機にも根強いファンがいる。

台湾のゲーム業界でもモバイルゲームの開発にシフトする動きがあると言うが、スマートフォンの登場でライトゲーマーという新たな市場が生まれただけに過ぎず、これからは両者の住み分けが一層くっきりとしていくように思う。一方で、インディーズゲームの展示コーナーでは、日本のモバイルゲーム事情を知りたいという声も聞かれ、台湾市場の先に早くも日本の市場を見据えている様子が伺えた。

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