1. マーケットプレイス型総合 EC サイト
● Qoo10
韓国の EC サイト Gmarket の創業者が eBay と共同出資の形で創業した。本社はシンガポールにあり、2008 年に日本向けサイトをオープンしたのを皮切りに、シンガポール、インドネシア、マレーシア、中国、香港、グローバルの計 7 サイトでマーケットプレイスを運営している。出店にあたっての初期費用や月額利用料は不要で、売上に対して 7~12%の成約手数料が発生する。
決済はクレジットカード、ネットバンキング、PayPal、コンビニ、着払いなどに対応している。取扱商品のカテゴリは、ファッション、ビューティ、デジタル・モバイル、ベビー・食品、書籍・音楽など。出店にあたっての厳しい審査もなく個人でも出品できるため、「トラブルも多いがとにかく安い」というイメージを持たれているようだ。
「JAPAN」をキーワードに検索すると約 30,000 アイテムがヒットし、最も多い女性用ファッションが約 13,000 件、靴・バッグ、コスメ、宝飾・時計、ボディケア・ヘルスがそれぞれ約 3,000 件ほどとなっている。
● 楽天シンガポール
楽天は 2013 年末にシンガポールに進出。2015 年の ASEAN 内関税撤廃を見据えて、インドネシア、マレーシア、タイ、台湾などでもサイトを運営している。日本の楽天と同様にほぼすべてのカテゴリを網羅し、とりわけ日本関連商品の取り扱いを重視している。フランフラン、カシオ、ケンコーコムといった有名ショップも出店しており、特に日本のファッション、アニメ、おもちゃ、デジタル製品、食品、日用品が充実している。日本からの直送にも対応しており、送料は一律、注文から最短 4 日で届けられる。同じく日本と同様に楽天スーパーポイントもあり、100 ポイント=1SGD として利用可能。ポイント 5 倍セールなども行われている。出店は法人に限られ、事前に審査がある。決済は大手決済事業者の WorldPay と提携しており、配送は Singpost およびヤマト運輸が利用できる。
「JAPAN」での検索結果は約 43,000 アイテムで、最も多いファッションと生活雑貨がそれぞれ約 10,000 件、続いてホーム&リビング用品とおもちゃ・ゲームがそれぞれ約 5,000 件となっている。
● 淘宝網東南亜(Taobao sea)
中国最大の BtoC サイト「淘宝網(Taobao)」の ASEAN 向け窓口。サイトは中国語簡体字で表示されており、取り扱い商品は中国大陸の本家「淘宝網」や台湾版(tw.taobao.com)、香港版(hk.taobao.com)と共通となっている。淘宝網で取り扱う商品のうち国際配送できるものが集められているという印象で、出店の手続きなども全て大陸の淘宝網が行っている。
国際配送は香港、台湾、シンガポール、マレーシア、マカオ、オーストラリア、ニュージーランドに対応しており、シンガポール宛には酷悠悠(PRouter)、楽趣購、4PX の 3社の運送会社が対応している。
● Carousell
モバイルに特化した CtoC アプリで、2012 年 5 月にサービス開始。キャッチコピー「Snap, List, Sell. (撮って、並べて、売る)」の通り、スマートフォンのカメラで商品を撮影して、価格を決めて写真をアップロードするだけだ。購入したい人が現れたら、アプリのチャット機能で交渉を行い、商品の受け渡し方法や配送についても個々に決めなければならないが、価格交渉機能があるため気軽に値引き交渉もできる。運営側によれば、2013 年 9 月時点でユーザーの約 7 割が 16~34 歳までの女性だという。オンラインのフリーマーケットとして 16 カテゴリ、30 万点以上のアイテムが出品されており、その多くがファストファッション、コスメ、ブランドアイテムだという。現在はシンガポールをメインに、マレーシア及びインドネシアで利用することができる。
2. ファッション EC サイト
● REEBONZ
2009年にサービスを開始したブランドアイテムのアウトレット EC サイト。高級ブランドを中心に取り扱っており、2011 年末にはシンガポールのラッフルズプレイス内に会員制の実店舗をオープンしている。2014 年 1 月時点で会員数は 178,000 人。モバイル(サイト・アプリ)からの売上が全体の30%を占めており、2014 年末までにこの割合を50%に引き上げるとしている。シンガポールのほか、タイ、マレーシア、インドネシア、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、中国、香港、台湾、ブルネイで展開しており、国内・国際配送とも無料、関税も別途負担する必要はない。
● ZALORA
ドイツに拠点を置く世界最大のインターネットインキュベーター、RocketInternet が立ち上げたファッション ECサイト。日本の ZOZO タウンのように自社で仕入れて販売するスタイルをとっている。2013 年から始めた自社ブランド「EZRA」の商品が売上全体の 25%を占めるまでに成長。月間アクセス数は 200 万を超えており、iOS アプリを含むモバイルからの購入が 45%に上る。30 日間返品受付、40SGD 以上の購入で送料無料、クレジットカードのほか PayPal や着払いにも対応している。現在はシンガポールの他、タイ、マレーシア、ブルネイ、香港、フィリピン、ベトナム、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランドで展開しており、2014 年 1 月からはインドネシア、フィリピン、ベトナムでマーケットプレイス型の取組みも始めている。
● LAZADA
ZALORA と同様に Rocket Internet が立ち上げたファッション EC サイトで、Amazon そっくりのサイトデザインとビジネスモデルで有名。2012 年 3月からインドネシアを拠点としてベトナム、マレーシア、フィリピン、タイで順次サービスを始めたのち、2014 年5 月に満を持してシンガポールに進出した。モバイルアプリを用意したことで売上が 10%以上伸びたという。現時点で国際配送には対応していないが、7 日間返品受付、40SGD 以上の購入で送料無料、クレジットカードのほか PayPal や着払いにも対応している。こちらも 2013 年からはマレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、タイでマーケットプレイス型の取組みを始めている。
3. その他の専門 EC サイト
● redmart
2011 年にスタートした食料・雑貨に特化したオンラインスーパーマーケットで、2013年の売上は 500 万米ドル以上。生鮮食品を除く約 8,000 アイテムを扱っている。会員数は 11,000 人以上、うちシンガポール人が 65%、外国人が 35%を占めている。配達時間は午前 10 時から午後 10時までの間で指定できる。支払いはオンライン上でのクレジットカード決済、PayPal、および POP(Pay OverPhone)でのクレジットカード決済のみで、配送時の現金払いには対応していない。送料は 7SGD だが 75SGD 以上の購入で無料になる。ネットスーパーの注目株として 2014 年 1 月には 540 万米ドルを調達している。
● Luxola
2011 年 9 月にスタートしたビューティ専門 EC サイトで、100 を超えるブランドの化粧品やボディケア用品を扱っている。シンガポールに拠点を置き、現在はマレーシア、ブルネイ、タイ、インドネシア、フィリピン、香港、UAE、オーストラリアにも展開している。シンガポールのユーザーは 20 万人以上で、頻繁にリピート購入するユーザーは 25,000 人に上る。10SGD 以上の購入で送料が無料になり、10 日間は返品可能。主要クレジットカードのほか、PayPal や着払いに対応している。これまでに日本のGREE ベンチャーズやグローバルブレイン、トランスコスモスが同サイトに出資しており、トランスコスモスは株式の 20%以上を保有している。
姉妹サイトの LX EDIT(http://lxedit.com/)はビューティ関連のポータルサイトとしてLuxola とリンクしており、新製品に関するニュースやメイクアップテクニックの動画などを見ることができる。
● bellabox
ビューティ・コスメ商品のサブスクリプションコマース(定期購入)の一種で、契約すると年齢や肌質に合わせた「bella box」が毎月届けられる。オーストラリアで 2011 年 10 月に始まったサービスで、シンガポールでは 2012年 4 月にスタートした。
価格は 19.95SGD で、ボックスの中にはメイクアップ用品のほか、ネイルグッズ、ボディクリーム、バスグッズ、コラーゲンドリンクなどが 5 点以上入っている。国際的に有名なブランドに限らず様々な国のメーカーの商品が入っているようで、日本からはドクターシーラボ、いち髪、SK-Ⅱ、shu uemura などが商品を提供している。気になる商品があればサイトから購入することもできる。2012 年 12 月以降に 6 万箱を出荷しているという。
● clozette
女性をターゲットにしたファッション系のポータルサイトで、カテゴリの一つとして BtoC マーケットプレイスの「SHOPPE」および CtoC マーケットプレイスの「BAZAAR」がある。
「SHOPPE」はアパレル、靴・バッグ、アクセサリー、メイクアップなどを中心に扱っているが、clozette で購入するのではなく、出品元の EC サイトに移動して購入するスタイルをとっている。2013 年末の会員数は 30 万人以上で、日本とインドネシアにも進出している。
● HipVan
デザイン性の高い商品に特化したEC サイトで、ファッション、家具、アート作品、アクセサリー、食品、生活雑貨などを扱う。シンガポールにはユニークで個性的なデザインの商品が少ないことに目をつけた創業者が、デザインプロダクトのみを扱う EC プラットフォームとして 2013 年 4 月に立ち上げた。シンガポールでスタートした後、マレーシアにも展開している。75SGD 以上の購入で送料無料、主要なクレジットカードでの決済に対応しており、返品は 7 日間以内。2014 年 4 月時点の取扱いアイテム数は 6,000 点以上で、年間売上は8,000 万円を超えるという。
※1SGD=84.8 円(2014.10.10 現在)