【イベント】mobike が日本上陸!札幌ローンチイベント現地レポート

目次

1. 日本初ローンチは札幌から

バイクシェアサービスを提供する mobike(モバイク)は、2016 年 4 月に中国・上海で最初のサービスを開始し、わずか 15 カ月で登録ユーザー数 1 億人を突破。今年 7 月までに中国のほか、シンガポール、英マンチェスター、伊フィレンツェでもサービスを展開している。保有する自転車は世界で 600 万台以上、1 日の利用回数は 2,500 万回を越えるという。今年 6 月にはシリーズ E ラウンドで 6 億米ドルを調達したばかりだ。

mobike の利用は簡単で、従来のレンタルサイクルのように店舗で手続きをしたり、借りた場所に返したりする必要はない。事前にスマートフォンの専用アプリでユーザー登録をしておく必要があるが、あとはアプリで付近の空き自転車を探して予約(確保)し、自転車に貼り付けてある QR コードを読み取って解錠する。目的地まで乗ったら決められた駐輪スペースに停めればよい。自転車には SIM カードが搭載されており、施錠のタイミングでアプリから料金が決済される仕組みだ。さっきまで乗っていた自転車は、予約可能な空き自転車としてまた次の人に利用される。

さて mobike の 5 カ国目のサービス地域となる日本では、札幌が最初のサービス提供都市に選ばれた。その理由について同社は、行政機関やパートナーとなる民間企業等との話し合いが進み、オペレーション体制がいち早く整ったためと説明している。今後、日本法人のモバイク・ジャパン株式会社が拠点を置く福岡市をはじめ、日本各地でのサービス展開に向け準備が進められている。

札幌でのサービス概要は次の通りとなっている。

2. ビジネスフォーラムで知るmobike の街づくりへの熱意

ローンチイベントが行われた 8 月 22 日は、朝からあいにくの雨模様となったが、ビジネスフォーラムには地元企業を中心に多くの人が集まり、関心の高さが伺えた。

基調講演では、シェアリングエコノミー協会の上田祐司代表理事(株式会社ガイアックス 代表取締役)が、「スマートフォンが登場し、赤の他人とコミュニケーションが取れるようになったことで、モノをシェアしやすくなった」と話し、モノを所有するのではなく、地域の皆で融通して使いあうことで、地域に優しいだけでなく、住み良い街になっていくと mobike の普及に期待を込めた。

次に同社の海外展開を統括するクリス・マーティン海外展開本部長からは、mobike のビジョンや現在までの展開状況についての講演が行われた。オレンジ色のホイールが目を引くオリジナルの自転車は、錆びないフルアルミボディにパンクの心配がないエアレスタイヤを使用している。さらに、チェーンのように衣服を汚したり、巻き込んだりする危険がないシャフトドライブを採用しており、故障が少なく頑丈で 4 年間完全メンテナンスフリーなのだという。実際に中国では、1 台の自転車をのべ 2,000 人が利用し、合計 4,000km 以上を走っているが、「全く大丈夫。何年でも使えます」と笑顔でアピールした。

また北京市では、政府機関が mobike の利用データを都市計画に役立てており、走行が多いエリアに自転車専用道路を計画したり、新しいバス路線が整備されたりしていると紹介した。7 月にサービスが始まったばかりのフィレンツェでは、市長が率先してSNS で紹介するなど、行政と一体化した取り組みを進めているところだという。

そして、日本法人の代表を務める木嵜基弘アクティング・ジェネラル・マネージャーからは、札幌展開に関する説明が行われた。講演の中ではグローバルの共通ポリシーである「責任ある運営」を繰り返し強調し、札幌でも運用状況をリアルタイムで監視、分析し、違法駐輪の車両があればスタッフが速やかに回収する、と懸念を払しょく。あわせて、ユーザーに自転車の適切な利用を促し、より良い街づくりに貢献してもらう仕組みとして、中国と同様にライダーズポイントプログラム(信用ポイント制)を導入することを明かした。

また駐輪スペースは提携パートナーの店舗駐車場等を活用するが、店側には駐輪エリアをわかりやすく表示してもらうだけで、管理は全て mobike 側で行うという。パートナーシップを結び駐輪場を設ければ、店舗への来客数の増加、ついで買いによる売上増加、キャンペーンやクーポン発行を含む共同プロモーション活動への参加といったメリットが期待できる。このほか、ビジネスパートナーやブランドパートナー、社員の福利厚生を目的とした法人契約も募集中だ。サービスエリアについては、20~40 代が多く住む地域を検討したとして、まずはスモールスタートで、利用状況やニーズを検証しながらサービスを拡大するとの考えを明らかにした。

一方で、中国で問題となっている自転車の供給オーバーについて、「日本では mobike が勝手に台数を増やすことはない」と断言。自治体などとコミュニケーションを取り、適切な台数で運営する考えだとした。そして、雪の多い札幌では冬期の運用を行わないが、その間は別の都市に自転車を移動して活用したり、春の運用再開に合わせて札幌にはいつも最新モデルが投入されたりする可能性もあると話し、会場の期待をあおった。

札幌の mobike は今日スタートしたばかり。SNS には続々と感想が上がっている。

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