中国でいち早くスタートした 5G 通信

1. ついに 5G サービス始まる

中国で 5G サービスが始まった。2019 年 10 月 31 日に開かれた中国国際情報通信展覧会の開幕式で、工業情報化部の陳肇雄副部長が 5G の商用化をスタートすると宣言すると、翌 11 月 1 日に通信大手 3 社が揃って料金プランを発表し、正式に 5G サービスが始まった。現時点の 5G 契約数は、およそ 87 万件に上る。

工業情報化部は、かねてから 9 月末までに 5G サービスを開始すると宣言していた。しかし 9 月になってもなんら進展はない様子で、“約束の期日”である 9 月 30 日になってようやく大手 3 社が 5G サービスの「利用予約を開始」すると発表した。結局 9 月中のサービス開始とはならず、予約開始でお茶を濁した形だが、料金プランすら明らかでない段階にもかかわらず予約は好調に推移した。

現在 5G が利用できるのは、北京、上海、広州など、省都を中心とした約 50 都市だ。

工業情報化部の元部長で中国工業経済連合会の李毅中会長は、12 月 18 日に開かれたイベントで、5G が主要都市や市街地を全面的にカバーするには、まだあと 6~7 年かかるとの見通しを明らかにしている。これには基地局が約 600 万基必要で、総工費は 1.2~1.5 兆元に上るとした。なお、2019 年 12 月時点で全国に設置済みの 5G 基地局はおよそ 13 万基で、北京だけで約 1.4 万基が稼働しているという。

一方、通信会社ではなくラジオ・テレビ事業を営む中国広電は、5G の営業ライセンスを取得しているものの、まだサービスを開始していない。現在は基地局を整備している段階だが、そもそも自前の基地局塔を持っていないため、送電網を管理する国家電網と提携して全国の送電用鉄塔にどんどん設備を“引っ掛けて”基地局を増やしている。すでに立っている鉄塔を利用するため、なんと 2022 年には人口カバー率 95%の達成を見込んでおり、完成すれば先にサービスを始めた通信 3 社を上回る規模になるという。ただしサービス開始のめどは明らかにされておらず、商用化試験もまだ十分に行われていない状況となっている。

2. 各社の料金プランは横並び

5G を利用するには、5G のカバーエリア内にいること、5G 対応スマートフォン(スマホ)を持っていること、現在サービス提供中である通信大手 3 社のいずれかで 5G プランの契約を結んでいること、の 3 つの条件を満たす必要がある。

5G スマホの状況については後に取り上げるが、すでに数多くの機種が発売されている。5G プランを契約するには、わざわざ通信会社の窓口へ行かなくとも、今利用している通信会社の WEB サイトやアプリから専用料金プランへ契約変更するだけでよい。

中国聯通によると、5G 対応スマホは 4G 契約のままでも使えるという。ただし、4Gの通信速度(上り 75Mbps、下り 300Mbps)が適用されるため、5G の高速通信は体感できないと回答している。また職場が 5G エリア内だが自宅はエリア外の場合、自宅では自動的に 4G での通信に切り替わる。逆に、4G スマホのままでも 5G 契約に変更できるが、もちろんスマホ自体が 5G に対応していないため、5G 回線は使えない。

さて各社の料金プランだが、まず中国聯通は月額 129 元~599 元の 7 種類のプランを打ち出している(営業エリアによって料金プランが異なる場合もある)。プランによって通信速度が違い、129 元~199 元の 3 つのプランは最大 500Mbps、239 元~599 元の4 つのプランは 1Gbps となっている。

最も安い 129 元のプランには、データ通信量が 30GB、無料通話が 500 分含まれる。データ量をオーバーしても速度制限はされないが 1GB ごとに 3 元かかり、上限額は 600元となっている。最も高い 599 元のプランは、データ通信量が 300GB、無料通話が 3,000分だ。微信(WeChat)などのチャットツールが全盛で、両親や友達はもちろん、自宅に来るエアコンの取付業者からの連絡も、はては取引先の営業担当者からも連絡も、何でもかんでもチャットで済む時代に無料通話が 3,000 分(=50 時間)もついているのは解せないが、なんだかお得には見える。

続いて中国移動の料金プランは、少々ややこしい。まず個人プランとファミリープランに分かれる。個人プランは、月額 128 元~598 元の 5 種類のプランがある。最も安い128 元のプランは、データ通信量が 30GB、無料通話が 500 分含まれる。データ量を超えた分は 3GB までは 1GB ごとに 5 元、その後は 1GB ごとに 3 元かかり、上限の 500元に達するといったん使用できなくなるが、手続きをすれば上限無く利用できる。速度制限はかからない。こちらもプランによって通信速度が違い、128 元と 198 元のプランは最大 500Mbps、298 元以上のプランは最大 1Gbps となっている。

一方のファミリープランでは、月額 169 元~869 元の 5 種類のプランが用意されている。こちらもプランによって通信速度が違い、169 元と 269 元のプランは最大 500Mbps、369 元以上のプランは最大 1Gbps となっている。

データ通信量や無料通話は 2 人でシェアするのだが、最大の特徴はブロードバンド接続がプランに含まれていることで、「魔百和」というテレビに接続してインターネットやテレビ電話、ハイビジョン放送の視聴ができる端末を 1~3 人で利用できたり、無料通話となる相手を 2~4 人登録できたりする。

例えば夫婦 2 人で 169 元のファミリープランを契約した場合、データ通信量や無料通話は 2 人で分け合うが、魔百和を利用できるのはどちらか 1 人で、無料通話の相手には夫の母親と妻の母親というように 2 人を登録できる。最も高い 869 元のプランも同様に 2 人で分け合うが、魔百和を利用できるのは 3 人(夫婦+子供という想定だろうか?) 、相互無料通話の相手には 4 人を登録できる。

中国電信は、基本プランが月額 129 元~599 元の 7 種類で、全プランとも通信速度は最大 1Gbps となっている。最も安い 129 元のプランは、データ通信量が 30GB、無料通話が 500 分含まれる。データ量を超えた分は 1GB ごとに 3 元かかる。基本プランにブロードバンド接続がついたプランは月額 229 元~399 元の 3 種類で、中国移動のプランのようにインターネットテレビなどが楽しめる。

3. 5G 対応スマートフォンの値下がりは早い予想

5G スマホの出荷台数は 2019 年 11 月の時点ですでに 507.4 万台に達している。中国移動は 12 月 17 日に、2020 年中の 5G スマホの目標販売台数を 1 億台以上と発表しており、世界では今後 5 年で出荷台数が 19 億台に上るとの予測も出ている。

中国では 5G が始まる半年ほど前の 2019 年 6 月の時点で 5G スマホとして 10 機種以上が発表され、その後も多くのメーカーが 5G スマホを出している。実際に 5G がスタートしてみると四大メーカーの 7 機種に人気が集中しているようで、小米は他社に後れを取って 9 月に新機種を発表したがシェアを 10%台まで伸ばした。

また今販売されている 5G スマホの多くは、すでにある 4G スマホの 5G 対応モデルとして登場したものだ。スペックが異なるため単純な比較はできないものの、5G スマホは 4G スマホよりもおおむね 1,000 元ほど高い 4,000~5,000 元に設定されている。

しかし業界では、コスト圧縮による端末の値下がりペースは 4G スマホが登場した当初よりも早いとの見方が強く、すでに2,000 元台の手ごろな価格帯の製品も登場している。2020 年末までに 1,000~1,500 元のより安価なローエンドモデルが数多く出回り、4G からの買い替え需要をいっそう押し上げると期待されている。

一方ですでに 5G スマホを手にしたユーザーからは、4G スマホに比べて熱くなりやすいという意見や、スマホの厚みが気になるといった声も出ている。特にゲームをしていると 4G スマホよりも電池の消耗が激しいという不満が聞かれ、インターネット上にはこれから購入する人はもう少し色々な端末が発売されるのを待った方が良いとのコメントも多くでており、端末の値下がりと合わせて乗り換えを様子見しているユーザーも多いようだ。

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