1. 一層の対外開放に意欲
中国政府は 2018 年から対外開放に積極的な姿勢を見せている。2018 年 4 月に海南 省で開かれたボアオアジアフォーラム年次総会では、習近平国家主席が、①市場参入制 限の大幅な緩和、②投資環境の一層の整備、③知的財産権保護の強化、④主体的な輸入 拡大の 4 点を軸に対外開放を拡大する方針を明らかにした。
さらに今年 3 月に開かれたボアオアジアフォーラムでは、李克強首相が 2020 年 1 月 1 日の外商投資法施行に向けて、関連法規の制定と整理を年内に完了すると表明し上で、 2019 年 6 月末までに外商投資参入ネガティブリストおよび自由貿易試験区外商投資参 入ネガティブリストの改定を行うとした。特に付加価値電信業務、医療、教育、交通運 輸、インフラ、エネルギー等の領域で対外開放を拡大するとし、ネガティブリストで参 入が禁止されていない分野は全て参入可能とすることを明言している。
2. 外商投資の奨励リスト
国家発展改革委員会と商務部は、外商投資参入ネガティブリストの改定に先駆けて現 在有効な「外商投資産業指導目録」と「中西部地区外商投資優勢産業目録」の改定作業 を進めている。2019 年 2 月 1 日にこれらの目録を統合した新たな「外商投資奨励産業目録(意見募集稿)」を発表し、パブリックコメントの募集を行った。
「外商投資奨励産業目録(意見募集稿)」は、全国版の外商投資奨励産業目録と中西 部版の外商投資優勢産業目録から成っている。中西部版は中西部地域だけでなく、東北 地域と海南省も含まれている。
全国版の主な投資奨励産業は次の通りとなっている。今回の意見募集稿で新たに追加 されたものを一部抜粋し、赤字・下線で示した。
この「外商投資奨励産業目録(意見募集稿)」の意見募集は 3 月 2 日に締め切られて いる。4 月 29 日の時点で商務部の王受文副部長が同目録の速やかな実施に言及してい ることから、今夏までには正式発表されることが予想される。
なお現在有効な「外商投資産業指導目録(2017 年改正)」については、JETRO が出して いる日本語での全文訳が参考になるだろう。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/cn/invest_03/pdfs/cn8A010_syourei_gyo usyu.pdf
参入禁止分野については、別途「外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)2018 年版」が出されている。冒頭で述べた通り、こちらは 2019 年 6 月末までに改定版が発表される見通しだ。