北京を走る運転席無人自動運転タクシー

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国内初! 運転席無人の自動運転タクシー

運転席が無人の自動運転タクシーについて、2022年7月20日までに北京市が国内で初めて百度(Baidu)と小馬智行(Pony.ai)の2社に営業試験運行を許可した。

これまで許可されていたのは、万が一のために運転席に安全管理スタッフを乗車させた形での自動運転タクシーだった。今回許可が出たのは、運転席は無人で、助手席に安全管理スタッフが乗車する形での有料試験運行となっており、完全無人タクシーの実用化に向けてさらに一歩前進したといえる。

試験運行は北京経済技術開発区の中心部60平方キロメートルのエリア内で行われており、百度と小馬智行が合計30台を運行する。北京市は今後も順次、他の自動運転タクシー事業者にも許可を出す計画があるとしている。

小馬智行によると、運賃はこれまでの運転席に安全管理スタッフが乗車する形での自動運転タクシーと同じく、ピーク時間帯が1キロメートルあたり3元、その他の時間帯は2.6元で計算する。より多くの市民に自動運転タクシーを体験してもらうために様々なクーポンを発行する計画もあると明らかにしている。

小馬智行の無人タクシーの車内の様子

運転席が無人の自動運転タクシーの試験運行開始にあたって北京市は、自動運転タクシーの商用化に関する管理規則をまとめた「北京市智能网联汽车政策先行区自动驾驶出行服务商业化试点管理实施细则(试行)」を2022年7月20日までに改正している。

なお同開発区では、自動運転タクシーの試験運行が累計23万回行われており、走行距離は30万キロメートル以上、乗客はのべ43万人に達する。客を乗せない状態での自動運転の試験走行ならば、2021年末時点で9社の225台に公道での試験走行の許可が与えられており、累計走行距離は300万キロメートルを超える。

小馬智行が公開している自動運転のテクノロジー

スマート交差点の設置増もスムーズな自動運転に寄与

自動運転タクシーのスムーズな運行を支える技術の一つが、同開発区内に設置された「スマート交差点」だ。スマート交差点はAIの判断に基づいて信号を制御することで渋滞を解消するシステムで、2022年5月までに同開発区の中心部にある交差点332カ所に設置されている。

西環路、栄華路、栄京街、永昌路、同済路、宏達路等の主要幹線道路を中心に設置が進んでおり、一般のマイカーであってもAIの判断によってずっと青信号で交差点を通過できる。スマート交差点の設置で無駄な赤信号が減って渋滞が解消されたことで、以前はマイカーでの通勤に片道40分かかっていたところ、スマート交差点の設置数が増えてからは片道30分で済むようになったという声もある。

オリジナルの自動運転用OSを供給へ

北京市ハイレベル自動運転モデルエリア工作弁公室は、同開発区での試験走行で蓄積したデータをもとに開発した自動運転用のオープンソースOS「智路OS」を8月1日に公開した。同OSを導入する具体的なメーカー等はまだ明らかにされていないが、無人運転のコア技術をオープンソースとして業界と共有することで、無人運転技術の国産化が加速することが期待される。

※本稿の画像は全て小馬智行の公式サイトより引用

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