ついに中国リージョン開設
米アマゾン・ドット・コムの子会社、Amazon Web Services(AWS)は2013年12月18日、中国に新たなリージョン(DC拠点)を開設すると発表した。同社はすでに中国でクラウドサービスを提供しているが、同国内にリージョンを開設するのは初めて。同社全体では10カ所目、アジアではシドニー、シンガポール、東京に次ぐ4カ所目となる。
当局の規制が理由か?グローバルサービスとは違う部分も
同社は2014年初頭から一部顧客を対象に限定プレビューを始めており、AWSのホームページからも試用申込みができる。ただし中国リージョンを使用するには、既存のAWSアカウントを使うことはできず、中国版サイトで新しい専用アカウントを作る必要がある(逆に中国のアカウントでは他地域のサービスが利用できない)。またグローバルサービスとは別に中国リージョン専用の使用許諾に同意する必要がある。
AWSでは40あまりの製品およびサービスを提供しているが、中国リージョンでは下の一覧にある20のサービスが提供される予定だ。コンテンツ配信を行うCloudFront、支払い及び請求管理のFPSやDevPay、データセキュリティに関するCloudHSM、トランザクションメール送信サービスのSESといったサービスは、当局の政策等との兼ね合いから中国では提供しないと判断したようだ。
なお中国リージョンのDCは、寧夏回族自治区中衛市に新しく開設された寧夏中関村科技産業パーク内にある。外資規制をクリアするためハードインフラについては中国最大規模のIDC事業者である網宿科技(ChinaNetCenter)や光環新網(SINNET)から借り受けていると、アマゾン側は明らかにしている。
いよいよ中国のクラウド市場が本格始動
中国では大手ITサービス事業者が続々とクラウドサービスを展開しているが、AWSにとって中国で最大のライバルとされる阿里巴巴の「阿里雲(Aliyun)」は、今回の発表にあわせて大幅な値下げを行い顧客の囲い込みに躍起になっている。
さらに米IBMも中国の有力DC事業者、世紀互聯(21Vianet)と提携し、「SmartCloud Enterprise+」のサービス範囲を中国に拡大すると発表した。2014年は中国の“クラウド元年”となり、市場では国内勢と海外勢が入り混じりサービスを競い合う様相が期待できそうだ。