未成年者のインターネット利用時間
未成年のインターネット利用者が平日・休日に過度にインターネットを利用している状況は改善されつつある。未成年のインターネット利用者のうち、インターネット利用時間が平日に30分未満の人は66.0%、休日に1時間未満の人は合計51.8%となっている。
一方で、平日に1日2時間以上インターネットを利用する人の割合は合計8.7%で、2020年の11.5%より2.8ポイント減少している。休日に1日5時間以上インターネットを利用する人の割合は9.9%で、こちらも2020年の12.2%より2.3ポイント減少している。
保護者からインターネットの利用時間について制限を受けているかという質問に対し、「制限されていない」と回答した未成年のインターネット利用者は8.4%で、「時々制限されている」が45.3%、「よく制限されている」が46.3%だった。
都市部に住む未成年のインターネット利用者は、保護者による利用時間の制限がより厳しくなっている。「よく制限されている」と回答した都市部の未成年のインターネット利用者は48.7%に上ったが、農村部の未成年のインターネット利用者でそのように回答した割合は38.3%で、10.4ポイントの差があった。
さらに分析を進めると、保護者がインターネットでどのような娯楽を楽しんでいるかが、未成年者のインターネット利用時間に直接影響していることがわかった。平日に1日平均2時間以上インターネットを利用している未成年者の割合は、保護者がモバイルゲームやショート動画の視聴をよくする家庭では12.1%いるのに対し、保護者がモバイルゲームやショート動画の視聴をあまりしない家庭では6.5%にとどまっている。
また休日に1日平均5時間以上インターネットを利用する未成年者の割合は、モバイルゲームやショート動画の視聴をよくする家庭では14.9%であるのに対し、モバイルゲームやショート動画の視聴をあまりしない家庭では6.4%にとどまっている。
子どものインターネット利用時間について、「利用時間が長すぎる」と回答した保護者は27.3%、「利用時間はちょうどいい」と回答した保護者は59.9%だった。さらに「自宅で子どもにインターネットを利用させていない」と答えた保護者が11.3%おり、「子どもがインターネットを利用しているかわからない・知らない」と答えた保護者も1.5%に上った。
一方で、未成年のインターネット利用者のうち、自らがインターネットに「非常に依存している(暇があればインターネットにアクセスしている)」または「比較的依存している」と感じている割合は合計19.5%で、2020年の19.6%から大きな変化はなかった。インターネットへの依存が「全くない」または「あまりない」と回答した未成年者の割合は合わせて42.0%で、2020年の38.7%から3.3ポイント上昇している。
さらに分析すると、未成年者のインターネット利用時間を保護者が制限しているかどうかが、インターネット依存度に大きく影響していることが明らかになった。保護者から利用時間を制限されることが多い人で、「非常に依存している」または「比較的依存している」と回答した未成年者の割合は合わせて9.9%にとどまり、保護者から制限されることがない未成年者に比べて27.5ポイント低くなっている。
また、未成年のインターネット利用者が両親と同居しているかどうかも、インターネット依存度に影響している。データによると、自分がインターネットに「非常に依存している」または「比較的依存している」と回答した未成年のインターネット利用者の割合は、両親と同居している場合は16.2%だったが、両親のどちらかのみと同居している場合は22.4%、その他の親族と同居している場合は21.3%だった。
未成年者のインターネットアクセス環境は、大きく分けて次の3つの特徴が見られる。
まず、接続機器については依然として携帯電話が最も重要であり、新しいスマートデバイスの利用率も高く、こうした機器の情報セキュリティリスクは注目に値すると言える。
次に、利用時間について、未成年のインターネット利用者が平日や休日に過度にインターネットを利用状況は改善されている。未成年のインターネット利用者のうち、平日に1日2時間以上インターネットを利用する人の割合は8.7%で、2020年より2.8ポイント減少、休日に5時間以上利用する人の割合は9.9%で、2020年より2.3ポイント減少した。
そして、インターネット依存の問題について、保護者の3割近くが「自分の子どものインターネット利用時間が長すぎる」と考えており、未成年のインターネット利用者の約2割が程度に差はあれ「インターネットに依存している」と考えている。未成年のインターネット利用時間を保護者が制限しているかどうかは、インターネット依存の度合いに大きく影響していることがうかがえる。
未成年のインターネット利用におけるセキュリティと権益保護
中国では近年、未成年者がインターネットセキュリティに関連した被害に遭う割合は減少傾向にある。未成年のインターネット利用者のうち、過去6カ月間にセキュリティ被害に遭ったと答えた人の割合は25.5%で、2020年の27.2%に比べて1.7ポイント減少した。
具体的な被害内容では、アカウント・パスワードの盗難」、「PCや携帯電話といったインターネット端末のウイルス感染」と答えた割合は若干減少したが、「ネット詐欺」、「個人情報の漏えい」と答えた割合は若干増加している。
また、未成年のインターネット利用者の38.3%が、インターネットを利用中に好ましくない情報やネガティブな情報に遭遇したことがあると回答している。内容別では、「個人の富や家庭環境を誇示する内容」が21.2%と最も多く、次いで「無為徒食し他人の功労を奪う考えや寝そべり主義に関する内容」が16.3%、「流血や暴力的な内容」が15.8%となっている。
未成年のインターネット利用者のうち、インターネット上で嫌がらせや暴言に遭ったことがある人は16.6%に上り、自分自身や友人がインターネット上で悪質な嫌がらせを受けたことがある人は7.0%、インターネット上で個人情報を無断で開示されたことがある人は6.1%に上った。
インターネット上での暴力に遭遇した場合、未成年のインターネット利用者の9割以上が外部になんらかの助けを求めると回答している。このうち「両親や親族に相談する」との回答が55.8%に上ったが、「他人に言わない」と回答した人も8.5%いた。
未成年のインターネット利用者の79.8%が、インターネットを通じて自分の権利や利益を守ったり、自分に対する不正な行為を通報できたりすることを知っており、この割合は2020年の74.1%に比べて5.7ポイント増加している。
小学生のインターネット上の権益保護に関する認知率は72.5%で、2020年の65.1%に比べて7.4ポイント増加した。中学生と高校生の認知率も2020年に比べてそれぞれ5.7ポイントと4.4ポイント増加している。
未成年のインターネット利用者のセキュリティ被害予防意識は、保護者や学校が行うインターネットセキュリティ教育が関係している。
未成年のインターネット利用者のうち、インターネットを利用する上で、セキュリティ被害を予防するための対策を「したことがない・考えたことがない」と回答した人は依然として20.0%おり、教育段階別でみると小学生が27.1%と最も高く、次いで中等職業教育学生が16.4%、中学生が11.7%、高校生が9.3%となっている。
また未成年のインターネット利用者の66.3%が、未成年のインターネット利用に関する新しい政策や規制について日ごろから注意していると回答している。
インターネットのセキュリティと未成年者の権益保護に関する主な特徴は次の4点である。
まず第一に、中国では未成年者がインターネットセキュリティに関連した被害に遭う割合は減少し続けており、過去6カ月間に被害に遭ったと答えた未成年のインターネット利用者の割合は25.5%と、2020年から1.7ポイント減少している。
第二に、未成年のインターネット利用者の約4割が、インターネットを閲覧する中で好ましくない情報やネガティブな情報に遭遇した経験があり、中でも「富の誇示」「寝そべり主義」などの好ましくない情報が最も大きな影響を与えていることがわかった。
第三に、未成年者のインターネット上の権益に対する意識が大きく向上し、約8割の人がインターネットを通じて自分の権益を守ったり、自分に対する不法行為を通報できたりすることを知っており、これは2020年と比較して5.7ポイント増加している。
第四に、インターネットのセキュリティ被害への予防意識が十分でない人がまだ少数ながらおり、20.0%の人がインターネットを利用する中でセキュリティ被害の予防に通じる行動を「したことがない・考えたことがない」と回答している。
「2021年全国未成年人互联网使用情况研究报告」(中国語、全文)
http://www.cnnic.cn/n4/2022/1201/c116-10690.html
本レポートに含まれる情報は、中国互聯網絡信息中心発行の「2021年全国未成年者インターネット使用状況研究報告」(2022年12月)をクララが一部抜粋し、理解を助ける参考訳としてご案内するものです。詳細は必ず原文でご確認ください。
中国互聯網絡信息中心 http://cnnic.com.cn