2016年の「双 11」も好調!越境 EC 売上 1 位は日本製品

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1. 今年は 1800 億元突破

中国では「独身の日」とされる 11 月 11 日に、オンラインショッピングの巨大セールが行われる。最初に仕掛けたのは EC 最大手の阿里巴巴(アリババ)で、当初は「祝日を祝って独身者同士で贈り物をしよう」といったセールに過ぎなかった。しかし年を追うごとに盛り上がり、8 年目となった今年は ECサイトだけでなく、百貨店やスーパー、レストラン、ホテル、航空、通信など、いわゆるオフラインの店舗も加わった大規模な“お祭り”といった賑わいを見せた。

商務部のまとめによれば、今年の双 11 の売上高は 1,800億元(約 2.9 兆円)を超え、過去最高を記録した。世界 235 の国と地域の消費者が中国のEC サイトでショッピングを楽しんだという。ちなみに楽天の国内 EC の流通総額は約2.7 兆円(2015 年 12 月期)だ。

EC サイト別では、阿里巴巴グループの天猫(Tmall)だけで当日の売上は 1,207 億元に達し、モバイルからの購入が全体の 81.87%を占めた。同グループの決済サービス「支付宝(Alipay)」の決済回数は前年比48%増の 10.5 億件に上った。そのほか、京東(JD)の売上は 401.9 億元、蘇寧易購は 38.9億元、国美(GOME)は 33.6 億元、アマゾン中国は 17.7 億元と報じられている。

阿里巴巴の双 11 を支えているのは、同社のクラウドサービス「阿里雲(Aliyun)」の超大型汎用 OS「飛天」だ。毎秒 17.5 万件の取引を処理すると同時に、毎秒 12 万件あまりの決済を処理し続けた。さらにカスタマーサービスでは、同社が開発した人工知能(AI)「阿里小蜜」がのべ 632 万人からの問い合わせにオンラインで対応。実に全体の95%を AI が担当したのだという。

2. 越境 EC の天猫国際では日本商品が一番人気

海外ショップだけが出店する「天猫国際(Tmall Global)」の双 11 には、今年は 53 カ国から 3,500 品目の 7,700 ブランドが参加した。特にアパレル、化粧品、ベビー用品の人気が高く、天猫国際の売上はスタートから 9 時間半で前年実績を上回った。

日本は国別の売上でトップに輝いたほか、商品別でも 1 位は日本製紙おむつ「ムーニー(L54 枚)」で 60 万パックの注文を受けた。8 位には花王の紙おむつ「メリーズ(L54枚)」がランクインしている。他にも化粧品類では、韓国製顔用シートパックが各社合計で 1,000 万枚以上売れており、スーパーの英 Sainsbury`s の旗艦店では、英国民の 1 カ月分の朝食に匹敵するオートミール 220 トン、オリーブ油 22 万リットルを販売した。

双 11 は終わったばかりだが、11 月 25~27 日にはブラックフライデーのセールが予定されている。天猫国際はもちろん、アマゾン中国、洋碼頭、網易考拉といった大手越境 EC サイトが、“同質・同価格”、“免税・送料無料”を謳ってプレセールを始めている。直近では人民元が対ドルで下落していることが懸念されるが、中国の消費者にとって越境 EC のハードルは確実に下がっており、長期的にはさらなる市場の拡大が見込めるとの見方が強い。

3. 越境 EC の新規定はさらに延期に

中国政府は 2016 年 4 月、全国 10 カ所の越境 EC の試験都市を対象として、保税区に商品を納入する際に必要となる通関証明書(通関単)などの提出を義務付けた。しかし通関証明書の取得に必要な原産地証明書などの提出が難しかったり、ドラッグストアのように多くのメーカーの商品を扱う店舗では証明書が揃わなかったりして、保税区から商品が出荷できない等の混乱が生じたことから、当局はこれらの証明書の提出を 2017年 5 月 11 日まで猶予するとしていた。

対象となる商品は越境 EC 小売輸入商品リストのうち検疫が必要とされる商品で、初回輸入時に輸入許可証や届出登録が必要となる化粧品、粉ミルク、医療機器、サプリメントを含む健康食品等についても、同じく猶予されている。

その後しばらく大きな動きはなかったが、商務部は 11 月 15 日に報道官談話として、これらの書類の提出をさらに 2017 年末まで猶予することを公式サイト上で明らかにした。越境 EC 輸入の管理監督モデルの移行を円滑に進めるためと説明している。

業界では、国内消費の低迷に伴い EC 市場の成長スピードがやや緩やかになっていることから、猶予期間を延長することで EC 消費を後押しする狙いがあるほか、市場の動向を注視しながら適切な管理監督体制について検討を重ねているとの見方も出ている。2018 年以降も引き続き猶予となるかは定かでないが、一定の条件を設けた上で手続きを簡略化することも考えられることから、特に来年後半にかけては新たな規定の発表等に留意する必要があるだろう。

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