越境 EC の新しい関税規定について

目次

1. 新しい越境 EC 税制の対象範囲

国家財政部、海関総署、国家税務総局は 2016 年 3 月 24 日、「越境 EC(BtoC)の輸入税収政策に関する通知(关于跨境电子商务零售进口税收政策的通知)」を発表した。越境 EC の利用拡大に伴って免税範囲を拡大するもので、2016 年 4 月 8 日から施行される。

同通知では BtoC の越境 EC について、実際の取引金額(商品の代金、送料、保険料を 含む)を課税金額とみなすと規定。対象となる商品は、財政部が後日公布予定の「越境 EC 輸入商品リスト(跨境电子商务零售进口商品清单)」に記載された商品のうち、①税関とネットワークでつながれた EC プラットフォームを通じて購入し、取引・決済・物流 の 3つの電子情報が揃っている輸入商品、②税関とネットワークでつながれた EC プラ ットフォーム以外を通じて購入したが、配送業者が取引・決済・物流等の電子情報を一括して提供でき、なおかつ相応の法的責任を負うことを承諾した輸入商品、のいずれかとなっている。

なお、越境 EC に該当しない個人用商品や取引・決済・物流等の電子情報を提供できない輸入商品については、引き続き現行の行郵税(中国に入国する個人の荷物及び郵送 物品に対し税関が徴収する輸入税)が適用され、関税が 50 元以下であれば免税となる。 行郵税もあわせて改定され、これまで 10%・20%・30%・50%の 4 段階だったものが 15%・30%・60%の 3 段階に見直しとなった。また BtoB の越境 EC や一般貿易による輸入貨物も本通知の対象外であるため、現行の関税規定が適用となる。

2. 免税範囲

旧規定では 1 回の取引の上限を 1,000 元としていたが(香港・マカオ・台湾は 800 元)、 新規定では 2,000 元に拡大された。年間上限金額は 1 人 20,000 元となっている。ただし消費税と増値税は旧規定の免税扱いを取り止め、法定課税額の70%を徴収するとした。

また 1 回の取引上限額や年間の取引上限額を超えた場合、あるいは課税額が単品で 2,000 元を超える分割できない商品がある場合には、一般貿易とみなし全額課税するとした。通関後 30 日以内に返品した場合、関税の払い戻しを受けることができる。

越境 ECでよく購入されるベビー用品や衣料品を例にあげると、まず消費税はタバコ、 酒、化粧品、宝飾品、高級腕時計、自動車等のいわゆる贅沢品 15 品目について 1~56% 課税されるもので、今回はその対象ではない。また増値税は一般的な小売の場合は17%、食品や雑誌書籍は 13%となっている。よって消費税は 0%、増値税は 17%×70%= 11.9%の税率となる。送料を含め 300 元の粉ミルクを購入した場合、300×11.9%=35.7 元の税金がかかることになる。

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