アリババ・阿里雲(Aliyun)雲棲大会 現地レポート2018

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1. 参加者は事前予想の 2 倍

2018 年 9 月 19~22 日にかけて、阿里巴巴集団(アリババグループ)が主催する開発者向けカンファレンス「2018 杭州・雲栖大会」が開かれた。会場は例年通り杭州市の雲栖小鎮だ。

4 日間の来場者数は前年と同規模の 6 万人と予想されていたが、実際には世界の 81 の国と地域から 12 万人以上が来場し、さらにインターネットでのライブ配信の視聴者も 1,000 万人を越えたという。入場は有料で、4 日間の通し券が 518 元(早割 388 元)、1 日券が 168 元(同 99 元)となっている。今年は来場者の 4 人に 1 人が企業の経営者か役員だったそうだ。

2009 年の第 1 回開催時は開発者向けセミナーという位置付けであったため来場者は約 200 のサイトの管理者だけだったが、10年を経て中国最大規模のテクノロジーイベントに成長した。

今年も主会場での講演のほか、ビッグデータ、スマートシティ、スマート政務、グローバルソリューション等のテーマに沿った分会場が設けられ、毎日およそ 50 もの講演が行われた。

阿里巴巴集団の張勇(ダニエル・チャン)CEO(最高経営責任者)による初日のオープニング挨拶では、同社にとって技術が一番重要だという方針を貫くという宣言がなされた。内容は中国語と英語の字幕で表示されていたが、その翻訳は音声認識と人工知能で行っているそうで、表示も遅延なかった。主会場に入りきれなかった来場者のために、複数の会場で中継を見ることができたが、その会場も空席が無いほどの人気だった。

挨拶に立つ張勇 CEO と別会場で中継を見る来場者の様子挨拶に続いて阿里巴巴が拠点を置く杭州市の取り組みが紹介された。「杭州スマートシティ」戦略には、e-Government、Cashless City、Intelligent Healthcare、City of Startupsの 4 つの柱があり、電子政府によって政務の効率化が進んだほか、支付宝(Alipay)の使用率はスーパーで 95%、タクシーで 98%に到達、病院での診察待ち時間を 2 時間短縮、全国トップレベルのスタートアップ数と人材流入率といった成果があったという。

また 2017 年 4 月に首都・北京の副都心として設立された河北省雄安新区に、阿里雲が未来都市実験室「Urban Xlab」を立ち上げる計画も発表された。杭州でのスマートシティの経験と成果を生かして、雄安新区のデジタルシティー化をスタートするそうだ。

馬主席の講演の様子午前中の最後には、馬雲(ジャック・マー)董事局主席が登壇し、「ニュー・マニュファクチュア(新しい製造業)」という概念を発表した。馬主席によると、これからの 10~15年の間に、製造業では大量生産、大量消費のコンセプトに基づいた製造業主導の伝統的な製造スタイルは駆逐され、代わりに消費者のニーズに基づいたデータ駆動型の製造業が主流になるという。例えば 5 分間に 2,000 着の服を製造するよりも、5 分間に 2,000種類の服を製造することがより重要視される時代に突入する、のだそうだ。

また現在大きな問題となっている米中貿易戦争について、馬主席は 2 カ月や 2 年で解決する問題ではなく、20 年かけて解決していく問題だという考えを述べ、企業はその準備をする必要があると警告した。さらに、この 20 年はスタートアップ企業が次のアマゾンや阿里巴巴となるために十分な時間だとも指摘していた。

2. 注目を集めたトピックスや展示

今回の雲栖大会では、杭州で最初の自動運転車にナンバープレートが発行されるセレモニーが行われた。自動運転車とスマートシティの連携による本格的な試験走行がこれからスタートする。

阿里巴巴と地元政府の関係は深く、政府のサポートがあるからこそ阿里巴巴が杭州を拠点に急成長を遂げることができ、また逆に地元政府も阿里巴巴からの巨額の納税などがあるからこそ、潤沢な資金で都市を発展させることができたのだろう。

スマートロボットのセッションでは、阿里巴巴の「天猫精霊」に搭載された自ら学習することができる“マンマシン交流システム”が紹介された。音声認証機能が付いており、セキュリティも確保されている。

天猫精霊は、“人⇔車⇔家”を相互に連携させることもできる。例えば、仕事が終わり車で帰宅する最中に、天猫精霊に家のエアコンをつけるよう言えば、家に着いた時には部屋が暖かくなっているといったことができる。提携する自動車メーカーには、ボルボ、ベンツ、BMW、アウディといった大手が並んでいるが、まずはボルボに搭載されるそうだ。

パートナー企業の展示会場は、入口のデザインが宇宙船のようになっておりテクノロジー感でいっぱいだった。ニューリテール(新小売)、AI、ビッグデータ、Fintech、IoT、オンライン教育、メディカルヘルスケア、金融、ロボットなど様々な領域の企業が出店しており、Intel、SAP、NetApp、Fortinetといった海外の有名企業も多かった。

技術プラットフォーム「都市大脳」では、インターネットやクラウドコンピューティングを使った渋滞解消ソリューションを提供している。このソリューションによって、渋滞の程度を示す渋滞指数ランキングで、杭州はこれまで全国 8 位だったが、今は 64位まで改善されている。

無人スーパーや無人レストランの展示もあった。スマートフォンで QR コードをスキャンして入店し、買い物客が商品を手に取ると店内のカメラが自動で商品を認識する。購入の手続きやスマートフォンでの動作などは不要で、そのまま店から出れば自動的に支付宝で決済される仕組みになっている。また商品の在庫状況もリアルタイムで表示される。

日本からは東芝、日立、NTT コミュニケーションズ、SB Cloud などが出展していた。

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この記事を書いた人

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