1. 発表会の会場へ
今回 PS4 の発売発表会が開かれたのは上海のメルセデス・ベンツ・アリーナで、ここは上海万博の会場でもあったところだ。午後 5 時のスタートにもかかわらず、早めに会場に着いた私の目に飛び込んだのは、寒空の下で来場者を案内するスタッフと会場前に列を作るたくさんの招待客の姿だった。今回の発表会は招待制のため来場者は 300 人ほどで、何も知らない人が見てもこれが PS4 の発表会だとは気付かないだろう。
会場の南には上海万博の中国館だった「中華芸術宮」がある。この日の最低気温は 3 度だった。
2. いよいよスタート
発表会は予定通り午後 5 時に始まった。まずは来賓である上海市文化広播影視管理局の貝兆健副局長、PS4 の中国販売にあたってパートナーを組んだ上海東方明珠集団(OPG グループ)の徐輝総裁、そして SCE の織田博之・アジア総括、SCE 中国の添田武人総裁が紹介され、貝副局長と徐総裁が挨拶を行った。徐総裁はまもなく発売されるPS4 と今回の発表会の開催を祝い、「今後も SCE と提携し、中国政府の支援を受けながら中国で開発した質の良いゲームを PS4 を通じて世界中に展開していきたい」と抱負を述べた。
次に織田・アジア総括が、SCE の中国市場における目標として「1.中国のゲームユーザーに高品質なゲーム体験とサービスを提供する。2.パートナーと協力して中国の据え置き型ゲーム機市場を開拓する。3.中国のゲーム開発会社と提携して、良い作品を作り、中国のゲーム産業の成長に貢献する。」の 3 点を発表した。
また PS4 の世界各地の販売状況について、2013 年 11 月の発売開始から 2014 年 9 月までに合計 1350 万台を売上げたことを明らかにし、「今までの PS 製品の中でも一番人気があり、中国でも良いセールスを記録できると信じている」と期待を込めていた。
3. 気になるゲームタイトルを発表
SCE 中国の添田総裁はスピーチの中で 3 つのキーワードを挙げていた。1 つ目は「全てはゲームユーザーのため」。今回中国で発売する PS4 と PS Vita は、本体の外観デザインからアフターサービス(保証期間は 2 年間)まで全てにおいてユーザー体験を重視しており、全国 75 都市に 90 カ所の拠点を設けて修理などの依頼に対応するそうだ。
2 つ目は「中国および海外のゲーム会社と提携する」ことで、中国版 PS4 向けにゲームを提供する企業は 70 社を超えるそうだ。当日も中国国内だけでなく世界から 60 社以上のゲーム開発会社が来場していた。
PS4 にタイトルを提供するゲーム会社。バンダイナムコ、カプコン、コーエーテクモ、セガなどが並ぶ。中国のゲーム会社からも PS4・PS Vita 専用タイトルの発表が行われ、PS4 向けではSnail の「九陽神功」、Unity 中国の「Mr. Pumpkin Adventure」、S-game の「影之刃」、椰島の「小小白日夢」、PerfectWorld が代理運営する「Warflame」など、PS Vita 向けではスクウェア・エニックスの「FINAL FANTASY X/X-2」、コーエーテクモの「真三国無双」および「討鬼伝」などのリリースが予定されているという。海外のゲームは全て中国市場向けにローカライズしたものだと聞き、本気で中国市場の開拓に挑む意気込みを感じた。
最後に 3 つ目のキーワードとして、添田総裁は何度も「中国の主管部門の承認を前提にゲームをリリースする」と繰り返した。今回の発表会ではリリース予定のタイトルがいくつか紹介されたが、各ゲーム会社の代表も添田総裁も具体的にいつ、どれだけのタイトルを発売するかについては言及しなかった。
4. ついに発売日と価格が明らかに
発表会も後半になり、ようやく織田・アジア総括から発売日と価格が発表された。
まず PS Vita は、ボディカラーが黒と白の 2 色で、価格は 1299 元(約 25000 円)。この価格設定は中国の一般消費者にとって手ごろで、価格が発表された時には会場全体が大きな拍手と歓声に包まれた。
続いて PS4 も黒と白の 2 色のボディカラーが用意され、カメラ・スタンド無しの通常モデルが 2899 元(約 55000 円)、カメラ・スタンド同梱のバリューパックが 3299 元(約 63000 円)と発表された。XBOX よりもはるかに安い設定だ。
また中国のみの記念モデルとして、龍のイラストが入った特別バージョンが数量限定で用意されることも併せて発表された。
そして PS4 と PS Vita は、12 月 12 日午前 0 時から予約の受付を開始し、発売は 2015年 1 月 11 日になることがついに明らかになった。予約は PlayStation の中国公式サイト、ネットショッピングサイトの天猫や京東、家電量販店の店頭などで受け付けている。
5. 発表会を終えて
すでに中国で先行発売している XBOX と PS4 は、同じ据え置き型ゲーム機であるが、中国での販売戦略を比べると PS4 の方が優位に展開しそうだと感じた。魅力的な価格設定はもちろん、中国や世界のゲーム会社との協力を重視する姿勢も感じられ、PS4 は私だけでなく来場した全ての人の心をつかんだはずだ。
発表会が終わり、会場を出てきた来場者たちに話を聞いてみると、多くの人が同じ言葉を繰り返した。「やっぱりソニーがいいなあー」と。
2014 年 12 月 11 日時点で参入が予定されているゲーム会社は合計 72 社