1. 適用範囲・定義の変更
● 国内取引に限定
草案では「中国国内で発生したか、中国国内の EC 事業者と消費者が参与する EC 取引」としていたが、二次審議稿では「中国国内での電子商務(EC)活動」と修正した。
金融商品やサービス、情報ネットワークを使った動画配信、ネットワーク出版などのコンテンツ関連サービスに本法は適用しないとする文言に変更はない(2 条)。
● 定義をより詳細に
草案では「EC 事業者とは EC プラットフォームおよびネットワークを通じて商品の販売やサービスの提供を行う自然人、法人およびその他組織を指す」としていたが、二次審議稿では「EC 経営者」と表現を変えた上で、「インターネット等の情報ネットワークを通じて商品を販売したり、サービスを提供したりする自然人、法人およびその他組織」とした。
「EC 経営者」には、自ら EC サイトを運営し商品を販売する事業者、EC プラットフォームの運営会社、プラットフォームに出店する事業者も含まれる(10 条)。
2. EC 経営者に対する規定
● 領収書とみなされる証書の範囲拡大
草案では EC 経営者に対し「紙の領収書あるいは電子式領収書」を発行するよう定めていたが、二次審議稿では「紙の領収書あるいは電子式領収書などの購入証明書またはサービスの提供証明書」とその範囲を拡大した(15 条)。
● 虚偽広告の禁止
草案では言及されていなかったが、二次審議稿では新たに EC 経営者に対し、商品やサービスについて全面的で真実の情報を提供するよう定め、さらに虚偽の宣伝、虚偽の取引、購入者評価のねつ造等で消費者の知る権利を侵害してはならないとした(18 条)。
● 個人情報保護
草案では個人情報の取得や利用について、ルールを明示して同意を得るよう定めていたが、二次審議稿では「サイバーセキュリティ法等の法律、行政法規の規定に従うこと」という文言に修正された(20 条)。
● データ提供義務
草案では、EC 事業者に対し国家の関連部門に EC 関するデータを提供するよう定めていたが、二次審議稿では関連部門から要請があった場合にのみデータを提供するよう変更された(22 条)。
● 争議対応
草案では言及されていなかったが、二次審議稿では、EC 取引の争議が発生した場合、EC 経営者にオリジナルの契約および取引記録を提供することが義務付けられた。これらの情報を紛失、改ざん、破壊、隠ぺい、あるいは提供を拒否した場合には、相応の法的責任を負うとした(54 条)。
3. EC プラットフォームに対する規定
● サービス終了の告知時期
草案では EC 事業者がサービスを終了する場合は 60 日前までに、EC プラットフォームが運営を終了する場合は 90 日前までに WEB サイトのトップページに公表するよう定めていたが、二次審議稿では、いずれの EC 経営者に対してもサービスを終了する 60日前までにその旨を公表するよう求めている(17 条)。
● 税務部門への報告義務
草案では言及されていなかったが、二次審議稿では新たに EC プラットフォームの運営者に対し、出店する事業者の身分情報と経営情報を工商行政管理部門や税務部門に報告するよう義務付けた(23 条)。
● 理不尽な規定の禁止
草案では言及されていなかったが、二次審議稿では新たに EC プラットフォームの運営者に対し、サービス協議書や取引規則等を利用して、出店する EC 経営者の取引や販売価格に制限を設けたり、出店者から理不尽な費用を徴収したりしてはならないとした(30 条)。
● ユーザー評価の削除
禁止草案では言及されていなかったが、二次審議稿では新たに EC プラットフォームの運営者に対し、誹謗中傷や明らかに事実ではない場合を除き、プラットフォーム上の商品やその販売者に対するユーザー評価を削除してはならないとした(33 条)。
● 検索の取り扱い
草案では言及されていなかったが、二次審議稿では新たに EC プラットフォームの運営者に対し、価格、販売数、信用度など複数の方式による商品検索を可能にするよう求め、検索連動型広告にはわかりやすく「広告」と表示するよう定めた(34 条)。
4. 配送に関する規定
● 配送トラブルの防止
草案では、配送の遅延や商品の紛失等については配送会社に対し弁償する義務を定めていたが、二次審議稿では「法律、行政法規を遵守すること」との文言にとどめ、代わりに荷受人に荷物の確認を求め、荷受人は問題がないことを確認した上で受け取りのサインをするよう新たに規定した(45 条)。
● 送料の上限廃止
草案では「EC 事業者が消費者から受け取る送料は、配送会社の定めた送料より高くてはならない」としていたが、二次審議稿ではこの規定が削除された。
●原文(中国語)