上海市人民政府弁公庁はこのほど、「本市におけるEVの充電・電池交換インフラ施設建設の更なる推進に関する実施意見（关于本市进一步推动充换电基础设施建设的实施意见）」を発表した。2022年3月1日から正式に施行されている。
本実施意見ではEVの充電・電池交換設備の整備推進について、実現すべき目標に加え、管理規範、設備のシェアリングモデル、グリーン化など7大項目を挙げている。本稿ではこの7大項目のそれぞれのポイントを整理する。
全体目標
EVの普及と充電・電池交換設備の整備を加速するという国家の方針に基づき、上海市では充電をメインに、電池交換はサブと位置づける。特に電池交換はタクシー分野等での利用に重点を置く。
主要目標
2025年までに125万台以上のEV充電ニーズを満たすため、市内のEV台数と充電設備の比率が2：1を超えないようにする。
次に挙げる「5つの転換」を推し進める。
①バランスを重視した発展から集中的な発展へと転換する。利用できない状態で放置されている“ゾンビ充電設備”の一掃や住宅団地内での充電難の状況を解消することに重点を置く。
②建設メインから、建設と管理にも重点を置くよう転換する。具体的には、新たに建設する住宅団地への充電設備の設置条件等について管理を強化する。
③普通充電メインから、普通充電と急速充電の両方に重点を置くよう転換する。住宅団地では普通充電をメインとし、公共充電設備では急速充電の比率を高める。
④無秩序な充電を秩序ある充電へと転換する。スマート充電設備を拡充し、上海充電・電池交換設備公共データ収集管理プラットフォームの主導的役割を十分に発揮する。
⑤企業主体の状況を社会参加型のアプローチへと転換する。住宅団地への充電設備の設置を団地のリニューアル計画に組み込むと同時に、自動車メーカーの充電設備設置責任をこれに一本化する。
充電設備配置の調整強化
公共充電ネットワークの整備を加速する。EVの普及より充電設備の整備を適度に先行させる。公共充電設備では急速充電がメイン、普通充電をサブとし、専用充電設備では急速充電と普通充電のどちらも重視する。EVタクシー等の公共サービスのニーズを優先的に満たす。
条件を満たす既存の住宅団地では、リニューアル計画に共同充電設備の設置を含めなければならず、新規建設を計画する住宅団地ではEV1台につき充電設備1基を原則とする。
安全の管理規範化の推進
自動車メーカーによる充電設備提供責任の履行を徹底する。上海のＥＶ専用特別ナンバープレート政策の評価体系に充電設備提供の有無を含める。
公共充電・電池交換設備の運営管理を強化し、充電設備運営企業への運営補助金の評価項目に“ゾンビ充電設備”の数を含める。
充電・電池交換プラットフォームの開放
地域に充電設備を開放し、地域で共有する仕組みを構築する。例えば、個人が設置した充電設備のシェアリングモデルを模索する。
充電と駐車場を一体化したシェアリングサービスを促進する。例えば、充電設備運営事業者と駐車場運営事業者や管理者が共同でシェアリングビジネスを構築する。
電池交換のシェアリングモデルを模索する。ブランドや自動車のモデルを問わず電池交換が行えるよう障壁を取り除き、特定の専用車両や乗用車で電池交換の統一基準を定める。特に港湾、物流、衛生といった領域の短距離・高頻度利用の専用車両について、電池交換専用ステーションの検討を進める。
グリーンで高効率な充電・電池交換設備の普及
スマート化充電設備の標準規格を整備する。
上海市を「ＥＶ充電秩序実証都市」としてパイロットプロジェクトを展開し、十四五(第14次5カ年計画、2021-25年)期間中にEV50万台、充電能力50万キロワットのインテリジェントで秩序ある充電を実現する。
EVへの新エネルギー電力による充電を促進する。太陽光発電所の建設と組み合わせた新型充電・電池交換設備の建設を促進する。
サービスモデルのイノベーションと革新
充電設備の路上駐車場への試験的な設置を行い、住宅団地周辺道路への充電設備設置の可能性を探る。具体的には外環内の中心市街地の路上駐車場に試験的に充電設備を設置することで、地域の充電難の緩和に取り組む。
住宅団地が自ら充電設備を計画、整備、有料運営する整備運営一体型ビジネスモデルを模索する。
充電・電池交換設備の整備に対する優遇金利での融資、利子補給支援を行うことを奨励する。保険会社に対し、充電・電池交換設備に適した商業保険商品の開発を奨励する。
中国語原文：上海市人民政府办公厅印发《关于本市进一步推动充换电基础设施建设的实施意见》的通知 https://www.shanghai.gov.cn/nw12344/20220224/b2effcc0bbde45d28c21f4afd5b67fb1.html
