恒例になった双 11、今年も記録塗り替え続出

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1. 今年も売上記録を次々更新

中国最大のネットショッピングの巨大セール「双 11」が今年も 11 月 11 日に行われた。双 11 は 2009 年に EC 最大手のアリババ(阿里巴巴)が始めたイベントで、今年で 11回目の開催となる。

2019 年の双 11 に参加した全ての EC サイトの販売総額は、前年比 30.5%増の 4,101億元(約 6.3 兆円)を記録した(星図数拠調べ)。このうちアリババグループの EC サイト、天猫(Tmall)の売上が全体の 65.5%を占める同 25%増の 2,684 億元(約 4.1 兆円)に達した。

ちなみに 2018 年の双 11 の販売総額は 3,143 億元(当時のレートで約 5.1 兆円)だった。天猫のシェアは全体の 67.9%で、今年はわずかながらシェアを落とした様子だ。なお国家郵政局によると、11 月 11~16 日の宅配荷物取扱数は前年に比べて 22.69%多い 23.09 億個だった。ピーク時には平常時の 3.2 倍に相当する 1 日 5.35 億個が発送されたという。21 日 17 時の時点で辺境地域を除いて全体の 97.5%にあたる 22.51 億個の配送が完了している。2013 年の双 11 では 1 億個の配達完了に 9 日かかったが、今年は 2.4 日で完了した。

2. スタートダッシュが好調だった天猫

今年の天猫(Tmall)の売上総額は 2,684 億元(約 4.1 兆円)に達し、過去最高額を今年も塗り替えた。前年の売上総額は 2,135 億元(約 3.3 兆円)だったから、今年は日本円にしておよそ 1 兆円ほど上回ったことになる。今年は 78 の国と地域から 1,000 万種類もの商品が並び、このうち 100 万種類が中国で新発売の商品だった。

セールは 0 時ちょうどにスタートするが、開始からわずか 1 分 36 秒後には 100 億元を突破し、1 時 4 分には 1,000 億元を突破した。2 年前の 2017 年には 1,000 億元の突破に 9 時間かかったが、今年は 1 時間あまりで到達した。前年の売上総額を超えたのは16 時 31 分だった。天猫の担当者によれば、ピーク時には 1 秒間に 54.4 万件の注文を処理したといい、これは 2009 年の第 1 回開催時の 1,360 倍にあたる。

セール開始 1 時間で売上 1 億元を突破したのは 84 ブランド、10 億元を突破したのは Apple、Nike など 15 ブランドだった。日本のブランドでは、ユニクロが開始すぐに1 億元を突破し、16 分後には 5 億元を突破する好調なスタートを切った。

今年は通常のオンライン販売のほか、ライブ配信を使った販売や音声注文が新たに取り入れられ、化粧品やアパレルでは AR(各超現実)を使ったバーチャル試用・試着サービスも登場している。そして何よりも予約販売が驚くほどの売れ行きをみせた。予約販売にも色々なパターンがあるが、予約時に一部を支払い、11 月 11 日に残額を支払うのが一般的だ。天猫では 10 月 21 日に一斉に予約販売が始まり、初日にはスタートから 1 時間 47 分で前年実績を上回る注文があったという。特に初日に好調だったのは海外アパレルブランドのカテゴリーで、予約販売数が前年にくらべ 500%の増加、次いでデジタル家電が同 250%増、ペット用品が同 100%増だった。このほかマンションや自動車も半額の目玉商品が注目を集め、最終的に抽選販売になるような状況だった。

化粧品メーカーの米エスティ・ローダー(ESTEELAUDER)では、アイクリームの限定セットが 1 日限りの予約販売で 8.5 万セットも売れた。予約開始から 25 分で前年の双 11 での販売数を上回る数の予約が入ったといい、双 11 のために世界中から在庫を集めたという。

AppleStore も 4 日前の 11 月 8 日から限定クーポンを配って備え、当日は販売開始から 10 分で前年実績の 7倍を超える販売台数を達成した。中国市場での不振が伝えらえる Apple だが、今回は iPhone11 などを対象に、定価から最高 1,111 元の値引きと 24 回分割払いの金利ゼロを用意して双 11 に挑んだ。

一方の物流面では、アリババグループの物流会社で大手宅配会社が共同で出資する菜鳥(CAINIAO)が、11 月 11 日から 13 日 10 時までに約 1 億個の荷物を発送している。これは前年に比べ 4 時間ほど早いといい、物流システムの効率化がスピードアップに貢献したのだという。最終的な双11の取扱荷物数は天猫の注文分だけで12.92億個に達し、配送のピークは 11 日から 18 日だった。

菜鳥は全国に荷物受け取りセンターを開設しているが、双 11 の期間中はスタッフを 2.6 万人増員して 24 時間体制で対応した。

全国の大学の中でも最も双 11 を楽しんでいるとされる浙江大学では、キャンパス内の受け取りセンターが対応しきれないことから、今年は運動場のバスケットコートを 2 面つぶして受け取り専用の特設会場を設置した。大学には教員と学生があわせて約 6 万人おり、双 11 の期間中は毎日平均 3 万個の荷物が届いたという。

なお、今年のカテゴリー別の販売数トップ 10 ブランドは次の通りとなっている。

3. 京東は 6 月のセールに続く快進撃

アリババの最大のライバルである京東(JD)も「11.11 京東全球好物節」という名称で双 11 を開催し、前年実績の 1,598 億元(約 2.5 兆円)を大きく上回る 2,044 億元(約 3.1 兆円)を売り上げた。同社は今年 6 月 18 日のセール「京東 618 全球年中購物節」でも 2,015 億元(約 3.1 兆円)もの売上を記録しており、自社販売と自社配送網を強みにアリババとの差を縮めている。

京東は 10 月 18 日から予約販売の受付をスタートし、11 月1 日からは毎日目玉商品のフラッシュセールを開催。併せて100 億元(約 1,540 億円)分のクーポンを配布した。そのおかげか直前の 10 日間は家電の売上が好調に推移し、70 インチ以上の大型テレビの売上が前年比 400%増、超薄型テレビが前年実績の 10 倍以上、ハイアールの 4,000 元以上の冷蔵庫が同 680%増、小天鵝の洗濯機が同 500%増、小型家電ではハンディ掃除機が同 150%増、浄水器が同 65%増、炊飯器も 100 万台以上売れるなど、双 11 当日を前に上々の滑り出しだった。プラットフォームに出店する家電ブランドも好調で、11 月1~10 日の間に売上 100 万元を超えたのは1,000 ブランドに上った。さらに 11 日の当日には、家電製品を実際に触って体験できる実店舗が重慶市内にオープン。1 時間で1,000 万元を売り上げ、昼 12 時までに 3 万人が来店した。

変わったところでは、京東物流の家事サービス「京東服務+」で、換気扇やエアコンの清掃サービスの注文件数が前年同期比 695%増加したほか、パソコンの組み立てサービスが同 560%増、高級ブランドバッグのお手入れサービスの依頼も前年同期に比べて11 倍に増えた。京東のオンライン医療サービスも双 11 のキャンペーンで利用者が増加し、11 月 1~10 日までの 10 日間だけでオンライン問診の利用者数は前年同期に比べて 35.5 倍に増えた。輸入健康食品の売上も同 206%増え、血糖値測定器などの家庭用医療機器の売上も同 200%の増加となった。

天猫でも注目を集めたマンションのセールでは、全国の 1,000 を超える新築物件から 6,000 戸以上が出品された。値引き総額は 3 億元を超える規模だ。30 戸用意された 50%オフの目玉物件には、2,163 人から購入希望が寄せられたほか、京東の不動産サイトへの問い合わせは通常時の 7 倍に増え、オンラインでの購入数も 3 倍になった。購入者の 65%は 1990 年代生まれの若者だという。

さらに新しいソーシャルショッピングサービス「京嬉」のサービスインに合わせて、京東は 1 元の特価商品を 1 億個以上用意。10 月 31 日にはチャットアプリの微信(Weixin)から利用できるようになり、注文数は以前と比べて 365%も増加し、新規ユーザーも 217%増加した。京嬉はユーザーのおよそ 7 割が 3~6 線都市と呼ばれる地方都市の居住者で、地方ユーザーの開拓に一定の成果を上げたといえる。

京東の今年のカテゴリー別販売数トップ 10 ブランドは次の通りとなっている。

4. 越境 EC はペットフードが粉ミルクに勝利

越境 EC 最大手の天猫国際には、今年は世界 78 の国と地域から 2 万 2,000 ものブランドが参加した。このうち 2,500 のブランドで、関税と海外送料が無料になったほか、分割払いの利息免除キャンペーンを行う店舗もあった。

天猫国際も 11 月 1 日から 10 日にかけて予約販売やクーポンを配布。11 日はセール開始から 1 分 36 秒で 100 万元を突破し、前年より 29 秒早い過去最速を記録した。その後も 1 時間 1 分 32 秒で 2015 年の売上実績を上回るなど、好調な出足となった。

輸入商品の売上トップ 5 は、キャットフード、粉ミルク、栄養補助食品、掃除機、顔パックで、中でもキャットフードは前年に比べて 700%の増加、トップ 5 には入らなかったもののドッグフードも同じく 1400%の増加となり、ペット用健康食品も同 165%と好調だった。またブランド別の売上トップ5には、掃除機のダイソン、オーストラリアの粉ミルク a2、カナダのプレミアムペットフードメーカーPetcurean の Go!、米ペットフードメーカーの Orijien、スペインのスキンケアブランド ISDIN がランクインした。

天猫国際には双 11 の直前に 2,525 の海外ブランドが新規出店しているが、このうち双 11 の売上が 100 万元を超えたブランドが 86、1,000 万元を超えたブランドが 9 つもあった。今年の結果を受けて関係者は、今回は様子見することにした海外ブランドが来年は必ず出店するだろうとコメントしている。

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この記事を書いた人

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