中国のネット広告・モバイル広告市場 2015

1. 中国のネット広告市場

中国のネット広告市場は、ブロードバンド接続とスマートフォンの普及が追い風になり好調な発展を続けている。政府も時代に見合わない古い規定を廃止し、新たに「インターネット広告監督管理弁法」を制定。新興の広告会社も次々に生まれており、市場は常に新しい広告手法を取り入れている。

中国のインターネットユーザー数は 2014 年 6 月末時点で 6.32 億人となり、普及率は 46.9%に達した。このうち携帯電話を使ったモバイルインターネットのユーザー数は5.27 億人に上る。経済発展により国民の消費総額は増加の一途をたどっており、旺盛な消費意欲を狙った広告出稿も増加している。

2014 年 12 月末時点の中国のネット広告市場規模は 470.1 億元で、第 3 四半期(7-9月)四半期と比べ 7.9%増加した。

広告の種類別ではキーワード広告が約 4 割を占めるが、動画広告が増加傾向にある。

動画広告が増加しているのは、検索サイトや動画サイトの人気上昇の影響によるものだ。また 2014 年 12 月末時点の出稿企業数は 153.5 万社で ARPU は 3062 元にまで上昇している。

広告商品の内訳は以下の通りで、自動車メーカーが主となる交通関連が最も多い21.5%を占め、インターネットサービス関連が 16.8%、食品関連が 12.5%と続いた。

2014 年の広告出稿費トップ 5 社は、交通関連がシボレー、クオロス(QOROS)、アウディ、ベンツ、一汽トヨタ(カローラ)。食品関連が瑪氏中国(MARS)、伊利、頂新集団、統一集団、蒙牛乳業。金融関連が建設銀行、中国工商銀行、交通銀行、農業銀行、VISA。通信関連がサムスン電子、華為(HUAWEI)、マイクロソフト、中国移動(チャイナモバイル)、歩歩高電子の順となっている。

2. 動画サイトの人気上昇で動画広告に注目集まる

中国では動画サイトが次世代のメディアとして注目されており、サイト運営会社が専門子会社を設立してドラマや映画の制作に乗り出している。2014 年第 4 四半期(10-12月)の動画広告の市場規模は 46.7 億元で、前期に比べ 13.7%、前年同期に比べ 43.6%それぞれ増加した。

売上規模からみたサイト別の市場シェアは、優酷土豆が最も多い 22.8%を占め、愛奇芸 PPS が 19.1%、捜狐視頻が 11.9%と続いた。

なかでも優酷土豆は圧倒的なユーザー数を誇っており、2014 年から広告事業を強化している。消費者の視聴習慣のデータを元に複数端末に集中して広告を表示したり、出稿企業のために動画を制作したり、キャンペーンと広告を連動させたりなど、様々な新しい手法にチャレンジしており、他社に比べて金融、交通、IT、消費電子、日用品といった分野の広告が得意だ。

3. 地域密着型モバイル広告が台頭

中国における地域密着型ネット広告の歴史は浅く、1997 年にポータルサイト上で一気に広まった後、2000 年ごろからは検索エンジン、2004 年ごろからはリッチメディア、2010 年ごろからはモバイルへとプラットフォームを変えながら発展してきた。

Source: Enfodesk, Analysys International – www.eguan.cn / www.enfodesk.com

特に近年は地域密着型のモバイル広告に注目が集まっており、2011 年からは 70-90%のスピードで成長を続けている。スマートフォンの普及と 4G サービスのカバーエリア拡大が追い風になり、企業のモバイル広告への認知と関心が上昇。市場規模は 2013 年に 52.38 億元だったが、2014 年は 101.42 億元、2016 年には 303.63 億元にまで膨らむとの予測もある。

出稿する企業数は増加の一途をたどっているが、特に地域密着型のモバイル広告の場合、中小企業の出稿が多く、業種や地域が分散する傾向がある。この広告手法が生まれた当初は 1 級、2 級都市といわれる省都・直轄市にある企業からの出稿が市場の 7 割以上を占めていたが、徐々に地方の中核都市や県・村レベルにあたる 3-5 級都市にある企業の出稿が増え始めた。2015 年には出稿比率が逆転する見通しだ。

一方で、地域密着型のモバイル広告を手掛ける広告会社は徐々に絞られてきている。広告市場が細分化した結果、技術、製品、媒体、分析などの多方面で地域密着型広告に特化した企業が生き残っており、なかでも点媒(Lomark)は少ないコストで高い効果が期待できると出稿企業からの評価は高い。

点媒はキーワード広告、ディスプレイ広告、動画広告、モバイル動画広告、インタラクティブ広告、ソーシャル広告など様々な広告を取り扱っており、出稿する際には時間、地域、ネットワーク、携帯電話の種類、メディアを選んでターゲットを絞ることができる。現在は全国 433 都市にプラットフォームを持ち、ビッグデータ分析で更なる広告効果の向上に取り組んでいるほか、これから急増が見込まれる地域密着型のブランド広告分野で先駆者利益をとるべく営業を強化している模様だ。

Source: Enfodesk, Analysys International – www.eguan.cn / www.enfodesk.com

4. 中国初の「モバイルインターネット広告標準」を発表

中国広告協会インターネット委員会は 2015 年 3 月 11 日、中国で初めてのモバイル広告に関するルール、「中国モバイルインターネット広告標準」を発表した。施行は 3月 15 日で、同標準の制定には騰訊(テンセント)、華揚聯衆(hylink)、秒針、聚勝万合(MediaV) 、百度(Baidu)、新浪(Sina)、網易(NetEase)、優酷土豆、愛奇芸(iQIYI)、京東(JD)、ニールセン、安沃(Adwo)など複数の広告関連企業が参画した。

同標準は、「インターネットデジタル広告基礎標準」、「モバイルインターネット広告監測標準」、「モバイルシステム対応標準」、「モバイル広告効果評価標準」、「モバイル広告利用者情報保護標準」の 5 つで構成されており、用語の定義、出稿およびその計画、効果測定の方法などについて統一した規範を示している。

近年モバイル向け広告は巨大な発展のチャンスを迎えているが、市場は混とんとしているのが実情だ。広告出稿企業、広告代理店、媒体がそれぞれ独自の広告プラットフォームを運営しているため、プラットフォームごとに違う方法で出稿したり、違う基準で効果測定をしている状況だった。同標準は政府が発表する正式な法律法規ではないためどこまで浸透するかは未知数だが、制定には業界をけん引する大手企業が参画している。業界では統一した標準が用いられることで成長を妨げるボトルネックが解消され、市場の成長に一層の弾みがつくと期待されている。

クララオンライン コンサルティング事業部

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