アジア最大のIT見本市「COMPUTEX Taipei」現地レポート

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2013年6月4日~8日 台北世界貿易センター

世界が注目する “IT立国”台湾の大型コンピューター展示会

台湾のIT見本市「COMPUTEX Taipei 2013」が、2013年6月4日~8日の5日間に渡り、台湾の台北市で開催された。IT関連の見本市としてはアジア最大規模、世界ではドイツで開催される「CeBIT」に次ぐ規模を誇る。今回は台北市政府に隣接する台北世界貿易センターの信義会場と南港会場の2カ所5会場で、出展社数は1724社、小間数は5042だった。

公式発表によれば、来場者数は最終日(6/8)の正午時点で13万人を超え、海外から訪れたバイヤーは、世界173の国と地域から3万8300人以上と前年を6%上回った。国別の来場者トップ10は、日本、米国、中国大陸、香港、韓国、シンガポール、インドネシア、タイ、マレーシア、ドイツとなっており、アジアが全体の60%、欧米が25%を占めたとの発表のように、会場では英語が盛んに飛び交っていた。

B2Bメインの信義会場、パーツ中心に多彩な展示

市中心部にほど近い信義会場では、通信製品、周辺機器、ディスプレイなどのOEM/ODM(相手先ブランドによる製造/設計からの製品開発)向けの製品を中心にブースが並んでいた。OEMの発注側とみられる欧米人が、あちこちのブースで見本を手にとって説明を受けている姿が印象的だった。

また大型のタッチディスプレイを展示するブースが数多くみられた。メーカーによって学校や学習塾で黒板代わりになることをアピールしたり、社内会議やテレビ番組内での利用例を示したりとその用途は様々だが、台湾や中国大陸からとみられるバイヤーがディスプレイの前で立ち止まり説明を受ける姿をよく見かけた。

このほか、医療現場向けのPC搭載用カートやデスクマウントアーム、クーポンの発行にも対応するデジタルサイネージ、オフィスや店舗の防犯カメラ、日本でも話題になりつつあるスマートフォン向けの無接点充電機器などあらゆる電子機器が展示されており、わずかながらゲーミングデバイスを扱うブースもあった。  

南港会場は有名メーカーが集結!新製品の発表やイベントが盛り沢山

信義会場から無料のシャトルバスに乗り20分ほどの場所にある南港会場は、HTC、ASUS、Acerといった台湾の有名メーカーをはじめ、AMDやIntel、Microsoftなどが巨大なブースを構えており終日たいへんなにぎわいだった。今年のトレンドを知ることができる「ベストチョイス」アワード受賞製品の展示ブースや台湾を代表する製品を集めたTAIWAN EXCELLENCEパビリオン、香港、米国、韓国、イスラエルなどのナショナルパビリオンもこちら南港会場にある。

南港会場は、一般消費者向け製品の展示が豊富で、特にスマートフォンとタブレットPCのケースやカバー、車載ホルダーの展示が多かった。いくつかのブースで話をきいたところ卸売業者のほか、個人商店のオーナーやオンラインショッピングを運営する個人も新たな仕入れ先を探しに訪れているようだ。

一方、大手メーカーが出展する2階は、さながらゲームショウのような盛り上がりで、大きな音で音楽が鳴り響くブースではコンパニオンによるダンスや写真撮影会、賞品がもらえるイベントが行われ大変な盛り上がりだった。

フロアの中央に巨大ブースを構えたAcerは、モバイル製品を中心に展示。世界初のWindows 8搭載8インチタブレットをお披露目したほか、5.7インチの大画面スマートフォン「Liquid S1」、Haswellこと第4世代Intel Coreプロセッサを搭載する高解像度Ultrabook「Aspire」シリーズの新モデルに高い関心が集まっていた。

対するASUSもCOMPUTEXの開催に合わせて発表したタブレットやUltrabookと共にゲーマー向けのマザーボード等を展示。特に注目を集めていたのは、6インチサイズのタブレットに通話機能を備えた「Fonepad Note FHD6」、Android搭載でタブレットとしても使えるハイブリッドモデルの「Transformer Pad Infinity」、自宅のテレビと接続した利用を想定したWindows搭載の「VivoPC」で、多くの人が手にとっていた。

Microsoftのブースでは、Windows8搭載のノートPCやWindows Phoneを中心に、クラウドベースの「Offce365」体験コーナー、KINECTを使ったリハビリシステム、組み込み機器用Windows Embedded製品による医療・看護システムなどを展示。病院向けの各種システムに広く展示スペースを割いており、受付やナースステーションの管理システム、ポータブルタイプの画像・データ表示システムといった普段は目にしないWindowsシステムに興味をひかれた来場者は多いようだ。

このほか会場では、タブレットとPOSを組み合わせた小売店向け機器、建設現場などの屋外利用を想定したタブレット製品、タブレットケースとセワイヤーロックが一体化したセキュリティグッズなど、タブレットとその派生商品や周辺機器の展示を多く見かけた。またゲーマーを想定した自作PCパーツはもちろん、マウスやキーボードといったゲーミングデバイスの展示も予想外に充実しており、ゲームショウと見まがうゲーム対戦イベントも。またこちらの会場でも、OEM/ODM向けのディスプレイパネル、電子部品、ケーブル類といった細かなパーツを展示する小規模なブースが並んでいたほか、血圧計などのヘルスケア家電、電気自動車のバッテリーチャージャー、無線機、オフィス用ビジネスフォン、電池類、カーナビなどあらゆる製品を見ることができた。

台湾の勢いを身をもって感じる必見イベント

公衆無線LANが普及する台湾ならではと言えるのが、来場者を対象とした無料の公衆無線LANサービス。COMPUTEXの会場にはフロアごとに無料のアクセスポイントが用意されており、Web閲覧やメッセンジャーアプリで写真を送る程度であればストレスなく利用できた。無線LANを提供する展示ブースも多く、来場者のものとみられる“野良WiFi”もたくさんある。入場バッジに記載された番号を使えば、台北市政府が運営する無料の公衆無線LAN「Taipei Free」が、滞在中ずっと利用できるのもありがたい。

今年は展示テーマの一つとして「タッチデバイス」が挙げられている通り、Haswellをいち早く搭載した製品を含め、スマートフォンやタブレットといったタッチディスプレイ製品とその周辺アイテムが特に豊富に揃った印象を受けた。来年の開催は2014年6月3日~7日までの5日間。台湾が得意とするOEM/ODM を中心とするIT産業の勢いを感じ、世界のITトレンドを知るにはうってつけのイベントと言えるだろう。

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この記事を書いた人

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