REDHAT FORUM 北京 2016 現地レポート

目次

1.「オープンソースは文化」と挨拶

最初の主催者挨拶では RedHat 大中華区の張先民総裁が、「オープンソースはテクノロジーのブレイクスルーをけん引する最先端かつ最大の駆動力」だとして、その存在価値と未来を語った。さらに張総裁は、2015 年までに北京と上海が世界で最も開発者の 多い都市になったと話し、2016 年 10 月にオープンソースのクラウド構築基盤ソフト ウェア「OpenStack」の 14 番目のバージョン「Newton」がリリースされて以降、中国国内では 25 社がコントリビューションしていると注目の高さをアピールした。

挨拶に立つ張先民総裁(左)とグローバルマーケティングディレクターの Margaret Dawson 総監(右) 続くゼネラルセッションでは、同社でグローバルマーケティングディレクターを務める Margaret Dawson 総監が、「オープンソースはただのコードではなく、文化である」 と述べ、「人々が自由に自分の考えを話し交流することで、新たなアイディアが生まれる。既にあるものと組み合わせることで、次の新たな革新が生まれる」とオープンソースが持つ力を訴えた。今や企業の 78%がオープンソース技術を利用しており、医療、 教育、政府、管理など多くの分野で巨大な成果を得ているという。

またあわせて「2016 年 RedHat アジア太平洋地区イノベーション大賞」の表彰式が 行われた。今年は Lenovo、興業銀行、中興(ZTE)、首都在線、Inventec、中国人寿保険、 OOCL などの企業が受賞した。

2. RedHat の実力

表彰式が終わると、続いて本格的な技術セッションの幕が開いた。特に午後からは 2 つの会場に分かれ、テーマ別に複数のセッションが開かれた。

● DevOps

中国でも開発と運営が一体化した“DevOps ムーブメント”が盛んになっている。 DevOps の特徴は「スピード」、「効率」、「敏捷性」の 3 つに集約され、IT 開発から企業 に至るまで、すでにかけがえのない存在になっている。

Red Hat 応用プラットフォーム投資組合策略チームの Stephanos Bacon 高級総監はセッションの中で、「DevOps は継続的革新の新しい基盤」だと位置付け、オープンソース技術を元に DevOps の実現を希望する企業が 80%に上ることを明らかにした。

● IBM の Linux 専用物理サーバ S822LC 発表

IBM は今回のフォーラムで Linux 専用物理サーバ S822LC を発表した。同社は今まで 15 年に渡ってオープンソースソフトウェア(OSS)のコミュニティに貢献を続けており、 RedHat にとっても長年の事業パートナーだ。

S822LC のストレージ容量は最大 96TB まで拡大可能で、CPU クロックにはターボモードもあり、クロック回数を 15%以上向上することができる。S822LC は KVM、 BareMetal を搭載することで OpenStack を全面的にサポートしている上、業界で唯一 GPU to GPU Nvlink の接続が可能で、なおかつ CPU→GPU にも対応可能な物理サーバーとなっている。さらに同社は 2017 年下期に OpenCAPI(オープン一致性加速処理インタフェース)のリリース予定も明らかにした。OpenCAPI によってサーバのパフォーマンスは確実にアップするという。

● SanDisk と RedHat CephStorage& OpenStack

RedHat の事業パートナーである SanDisk は、今回同社の RedHat Ceph と OpenStack を取り込んだ新商品 InfiniFlash IF150 を発表した。InfiniFlash IF150 は Ceph 性能でフラッシュのパフォーマンスを最大化しており、異なる負荷に対し 3~12 倍の性能アップが見込めるという。3U スペック 512TB で、PB レベルまでの拡大も問題ない。その上、 同社の担当者は、この製品は今までの OpenStack・Ceph が搭載されたフラッシュの中で最もパフォーマンスの良いフラッシュだと自信を見せていた。

● その他

フォーラムの後半は RedHat の事業パートナーである Microsoft、Intel、Lenovo のエンジニアらが、様々な事例を取り上げながらクラウドにおける OpenShift や Linux コン テナなどの技術とソリューションを披露した。

3. 初心者にも感じられる RedHat の魅力

今回のセッションはどれも「あ、なるほど!」という楽しさが心の底から湧いてくる ものだった。RedHat にとってもセッションのスピーカーにとっても、出席者が満足気につぶやいた「あ、なるほど!」の一言より幸せなものはないはずだ。今回のフォーラムが大変有意義だったことは、初心者である筆者が自然に、しかも心の底から来年の RedHat フォーラムに期待していることからも伝わるのではないだろうか。

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