1. 盛大なサミットの始まり
開始 30 分前にもかかわらず、受付には長い行列が出来ていた。それを見た瞬間「こ のサミットは多くの人に期待されているんだ」と感じ、圧倒されてしまった。会場内は VIP 席と参加者席に分けられていたが、どちらもすでに満席で立ち見の人も多かった。
2. 新戦略は MTP
今年のサミットは易観国際の于揚代表取締役兼CEO(最高経営責任者)の挨拶から始まった。于 CEO は挨拶の中で「MTP 戦略」という予言を含んだ理念を発表した。M とは 「Megatrends」で、近い未来に全ての企業は“デジタル企業”となって、デジタルユー ザー資産が企業の大切な資産になり、AI(人工知能)が新しいインフラにとって代わると いう大勢を指す。T とは「Transform」で、データが新しいエネルギーになるという変革を指す。P とは「Phreatobius dracunculus」で、デジタルユーザー資産を活用することで新しい知能的なインタラクティブインターフェイスが生まれることを指している。
インターネット業界は 2015 年後半から経済不振に悩まされており、「資本の厳冬」と も言われている。しかし「厳冬の下では必ず新しい命が育まれている」という視点から見れば、今回発表された「MTP 戦略」はまさにその新しい命なのだろう。さらに「厳冬」 にもかかわらず、易観国際はシリーズ B ラウンドで 9,000 万元の増資が決まったと発表した。
3. デジタル時代の第一歩
セッションでは、易観商品センターの朱江総経理が「ビッグデータを使えば効率よく、 なおかつ簡単にユーザーのニーズを満たすことができる」として、“デジタル時代”の 第一のポイントはビッグデータを商業化することだと説明した。具体的な商業化モデル の例として「ビッグデータ運営業者→企業→特定範囲でのデータ分析→アプリケーション→ユーザー」という流れを挙げ、ビッグデータ運営事業者と企業はあくまでもインタ ラクティブな関係であるべきとの考えを述べた。
また同社の郭煒 CTO(最高技術責任者)は、刻々と変わるこの情報の世界ではデータの リアルタイム分析が重要なカギを握るとし、最近話題の AI(人工知能)には、ビッグデータのリアルタイム分析処理が欠かせないと説明した。
4. ビッグデータを使ったユーザー獲得方法
今回のサミットで頻繁に耳にした言葉は「ユーザーシーン解析」だ。これはユーザー群の行動を細分化して分析し、いつ、どこで、どんな人にどのような機能を与えればユ ーザーが存在感や心地良さを感じるかを知るためのものだ。自動車オーナーのための O2O プラットフォーム「微車」の創業者である徐磊 CEO(最高経営責任者)によれば、ユーザーシーンの発見には「時間」、「場所」、「人物」の 3 つの要素がキーになるという。 「必要=買う」という時代ではなくなった今、ユーザーシーン解析でターゲットを絞り、 提供する価値を最大化することが大切で、ユーザーがサービスに価値を感じれば、自然 と企業の価値観を認め、強い信頼の気持ちを持つようになると話していた。
5. 人と人のインタラクティブから、人と機械のインタラクティブへ
今、中国で一番のブームとなっている「網紅(ワンホン)」は、インターネット上で発 言力と宣伝力のある有名人のことを指す。易観のアナリスト董旭総経理は、人が新たな “入口”の役割をし、“共有”が人と人とのインタラクティブの本質となっていると話 した。2016 年の網紅による経済規模は 528 億元に達する見込みだという。また AI はデジタル時代を切り開く重要なツールで、2017 年の AI による経済規模は 6,805 億元に達 すると予測を明らかにした。
6. 世界が完全に知能化したら
易観 A10 サミットは、中国のビッグデータ分野において最も影響力のあるイベントだ。業界のたくさんの人と交流して、様々な立場からの意見を交換する場となっている。 そこで私は「もし世界が完全に知能化したら我々はどうなるのか?」という疑問を持っ た。例えば、ある人が犯罪を犯したとする。しかし AI が分析した結果「この人は犯罪 を犯していない」と判断したなら我々はどうすればよいのだろうか?やはりモラルと戦うことになるのだろうか?いつか易観からのよい回答を期待しよう。