上海のコンビニにおける「セルフレジ」および「スマホレジ」の導入状況(2020年)

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要約と結論

本稿執筆時の2010年の時点だと、上海のコンビニのセルフレジの導入は一部にとどまり、日系ではファミリーマートが先行している。さらに、スマートフォンで決済まで完結するスマホレジも導入されているが、運用上の制約や利便性の課題から普及は限定的である。

一方、ローカル系では無人化・自動化の取り組みが進むものの、実際の利用状況を見ると必ずしも定着しているとは言えず、今後は店舗構造や導線設計を含めた最適化が課題と考えられる。

日系コンビニの「セルフレジ」導入状況

上海には、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートといった日系コンビニが進出している。

市内の主要店舗を複数調査したところ、セルフレジが導入されていたのはファミリーマートのみであった。このセルフレジは、店舗設置の端末でバーコードを読み取り、決済を行う日本と同様の仕組みである。

さらにファミリーマートでは、スマートフォンを使って会計を完結させる「スマホレジ」も導入されている。これは、自分のスマートフォンで商品バーコードをスキャンし、そのまま決済まで行う新しい購買スタイルである。

一方で、ローソンは2017年7月に決済サービス「火星兎子(Huoxingtuzi)」と提携し、上海市内2店舗でスマホレジの試験導入を実施したものの、現時点では普及している様子は見られない。なお、日本国内のローソンでは「ローソンスマホレジ」として2018年にサービスを開始し、2020年時点で約120店舗に導入されている

中国のファミリーマート(全家)のセルフレジ端末

ローカル系コンビニの「セルフレジ」導入状況

中国ローカル系コンビニでは、無人化・省人化を前提とした取り組みが進んでいる。

代表的な例として挙げられるのが、2018 年の無人コンビニブームをきっかけに様々なメディアに取り上げられた「便利蜂(Bianlifeng)」である。
同店舗では、品出しスタッフはいるものの有人レジはなく、セルフレジのみが設置されている

(左)無人コンビニの代表格「便利蜂」(右) 「便利蜂」 のセルフレジ

なお、以前はアプリを利用したスマホレジ機能も提供されていた。店内にはQRコードが掲示され、スキャンして利用する仕組みだったが、現在はQRコードの掲示が撤去されている

アプリ上には機能自体は残っているものの、

  • 店舗識別用QRコードが存在しない
  • 利用導線が分かりにくい

といった状況から、実質的にスマホレジは運用されていない状態と考えられる。

また、ローカル系スーパーである「永輝超市(YONGHUI SUPERSTORES)」では、

  • セルフレジ
  • スマホレジ(=並ばずに決済できる)

の両方が導入されており、より整備された運用が行われている

ファミリーマートの「スマホレジ」利用体験

上海のファミリーマートでは、以下の3つの決済方法が用意されている。

  • 有人レジ
  • セルフレジ(専用端末)
  • スマホレジ

そして、日本ではあまり普及していないスマホレジの具体的な利用手順は下記となっている。

WeChatアプリを起動し、店内の「掃碼購」QRコードをスキャン

まずは内の「掃碼購」QRコードをスキャン

商品バーコードをスマートフォンで読み取り

決済する(例:WeChat Pay)

④支払い完了QRコードを取得

⑤退店時にQRコードを提示

  専用ゲートがある場合: そのまま通過

  ゲートがない場合: レジ端末で読み取り

筆者が利用してみた際はスマホレジは、購入商品が数点以上の場合は効率的な側面もあると感じた。スマホレジを利用すれば、セルフレジに並びながらスマホで決済を済ませておけば、自分の順番でQRコードをかざすだけで退店できるためである。

しかし一方で、

  • 最後にQRコード提示の工程が必要
  • 専用ゲートがない店舗では結局レジに立ち寄る必要がある

といった理由から、従来のセルフレジとの差別化が限定的であり、「最初からセルフレジを使った方が早い」と感じる場面も多い。特にコンビニは店舗面積が限られるため、専用ゲート設置が難しく、スマホレジの利便性が十分に発揮されにくい

総合的な所感

以上をまとめると

  • セルフレジは、一定の実用性がある(ファミリーマート中心に普及)
  • スマホレジは、先進的だがコンビニに導入する場合などは運用面に課題がある
  • ローカル企業は、先進的な技術の導入スピードは極めて速いが定着に課題がある

といったことが言えるだろう。また、レジに限ったことではないが、総じて、技術導入そのものよりも「店舗設計・導線・運用」の最適化が今後の普及の鍵となるであろう。

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