百度SEOの費用対効果は?中国現地ユーザーが本当に使う検索ツールとは

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「中国での認知度を上げたい。だから日本と同じように、中国向けのWebサイトを作って、百度(Baidu)でSEO対策(検索上位表示)を行いたい」

日中ビジネスコンサルティングの現場において、このようなご相談をいただくケースは後を絶ちません。日本や欧米のビジネス市場において、公式Webサイトの開設と検索エンジン対策(SEO)はデジタルマーケティングの「基本中の基本」だからです。しかし、結論からいうと、現代の中国市場において「Webサイトを作って百度でSEO対策をする」というアプローチは、費用対効果が非常に低く、プロジェクトが頓挫(詰む)リスクが極めて高い手法となっています。

本記事では、「中国でのSEO対策」の費用対効果が高くない理由や日本企業が取るべき中国デジタルマーケ戦略について整理します。

Google経済圏(日本や欧米)とアプリ経済圏(中国)では、検索の常識が異なる(※AI生成を含む画像)

「中国でSEO対策」はうまくいくのか?

中国でのマーケティングを考え始めた日本企業がよく陥りがちなのは、「目的」と「手段」の逆転(手段の目的化)です。

本来の大目的:中国本土の顧客・ユーザーに自社の存在やサービスの魅力を知ってもらう(認知拡大)

日本企業が思いつきやすい手段:認知拡大のためには、まず中国サーバーを立てて自社サイトを作り、百度でSEO対策を行えばいいのではないか

このように手段ありきで進んでしまうと悲劇的な事態が発生します。中国国内で自社Webサイトを合法的に公開するには「ICP登録(中国語:ICP備案)」が必要となりますが、これを得るためには中国現地法人が必要となります。そして、中国現地法人の設立・維持にかかる費用に関しては、準備段階や初年度の費用のみならず、設立2年目以降の維持費も見込んで、それ相応の予算を見積もっておく必要があるでしょう。

結果として、「中国でサービスを知ってもらう」という本来の目的を果たす前に、莫大なコストと手続きの煩雑さに耐え切れず、プロジェクト全体が途中で諦めざるを得なくなる(詰む)という事態に陥ってしまうことが往々にしてあります。

また、仮にそれを乗り越えてWebサイトを作り、百度のSEO対策を行っても、そもそも現代の中国では日本や欧米のSEO対策ほどの効果は見込めません。

 日本と中国のデジタル空間における「常識」の違い

日本と中国では、インターネットを利用して情報を得る際のパターンがかなり異なります。以下の比較表をご覧ください。

項目日本企業・ユーザーの常識
(Google経済圏)
中国企業・ユーザーの常識
(アプリ経済圏)
会社Webサイトあるのが当たり前
(ないと信用されない)
なくてもいい
(WeChat公式アカウントは必須)
デジタルマーケティング
戦略
SEO対策
(Google等の検索エンジンが覇権)
適切なアプリで情報発信
(百度は日本のGoogleではない)
企業の公式情報の
さがし方
Google / Bing / Yahoo! などで
検索する
WeChat内で探す
(「搜一搜」)
口コミ・評判の
調べ方
Google検索 / ブログ / 口コミサイト小紅書(RED/レッド)
※中国版Instagram+Wikipedia
動画・トレンドの
さがし方
YouTube / Google検索抖音(Douyin/ドウイン)
※中国版TikTok
専門知見・Q&Aの
調べ方
Yahoo!知恵袋 / Google検索知乎(Zhihu/ジーフー)
※中国版Quora

① 「百度(Baidu)=中国のGoogle」という誤解

「百度は中国No.1の検索エンジンだから、Googleと同じようなものだろう」と考えるのは危険です。かつてのPC全盛期であればその認識で問題ありませんでしたが、しかし現在の中国ネット空間において、百度の位置づけはGoogleとは全く異なります。

現在の中国では、後述する巨大プラットフォーム(WeChatや小紅書など)が自社アプリ内のコンテンツを外部の検索エンジンに公開していません。つまり、百度でいくら検索しても、知りたい情報が出てこないケースもあるのです。そのため、ユーザー側は百度のみを頼りにしているわけではなく、情報の種類によって収集の入口を、WeChat、小紅書、抖音、あるいは、百度、などで使い分けています。

よって、マーケティングをする側からすると、「百度を制するものはデジタルマーケティングを制する」などとはとても言えないのです。

② 「企業Webサイトを見る」という習慣はそこまで浸透していない

日本では「検索して、企業の公式Webサイト(HP)にアクセスする」のが一般的ですが、中国では一般消費者においてはそこまで一般的ではありません。(一方、B2B分野では依然として製品情報や導入事例などを確認するために企業公式サイトが利用されるケースもあります。)

また、企業といっても様々な分野や地域の企業がありはするものの、総じて、中国企業における会社の信用担保や一次情報の提供場所は、まずは「WeChat公式アカウント(微信公众号)」だと言えるでしょう。中国のビジネス現場では、名刺代わりにWeChatアカウントを交換し、そこから企業情報やサービス資料を確認するのが日常となっています。

中国人が「検索エンジン」の代わりに見ている主要アプリ

① WeChat(微信 / ウィーチャット)

  • 用途: 企業の公式情報、プレスリリース、B2Bサービスの調査
  • 特徴: 中国の国民的インフラアプリです。アプリ内の検索機能「搜一搜(Search)」を使えば、企業の公式アカウントや過去の配信記事を一括で検索できます。自社Webサイトを持っていなくても、WeChat公式アカウントさえあれば企業としての信頼性は十分に確保できます。
WeChat/ウィーチャットのアイコン

② 小紅書(RED / レッド)

  • 用途: コスメ、旅行、ライフスタイル、リアルな体験談や口コミの調査
  • 特徴: 「中国版Instagram+Wikipedia」とも称される、非常に影響力の強いライフスタイル共有アプリです。特に購買意欲の高い女性や若年層は、Googleや百度で検索する代わりに、まず小紅書で「実際に使った人のリアルな感想」を検索します。
小紅書/REDのアイコン

③ 抖音(Douyin / ドゥイン)

  • 用途: 商品の動向、トレンド情報、ハウツー・解説動画の検索
  • 特徴: 中国版のTikTokです。テキストや画像だけでなく、「実際の動きや使い方を動画で確認したい」ユーザーが検索エンジン代わりに活用しており、EC機能も充実しています。
抖音/Douyinのアイコン

④ 知乎(Zhihu / ジーフー)

  • 用途: 専門知識、業界動向、深い悩みの解決(Q&A)
  • 特徴: 中国版のQuoraやYahoo!知恵袋にあたる知識共有プラットフォームです。B2B製品や高単価なサービスの導入検討において、専門家や有識者の意見を調べる場所として重宝されています。
知乎/Zhihuのアイコン

日本企業が取るべき「中国デジタルマーケ戦略」とは?

ここまで解説した通り、「中国で自社やサービスを認知させたい」という目的を達成するために、必ずしも最初から高額なコストをかけて自社Webサイトを作り、効果の薄いSEO対策を行う必要はありません。日本企業が取るべき現実的かつ効果的なアプローチは、以下の通りです。

まずは「Webサイト」より「巨大アプリ」を活用する

自前でのWebサイト開設・運用を含め、中国で何らかのデジタル関連の取り組みを行う際は、ICP登録から始まり、厳格な「データ三法」への対応など法的なハードルが高くなることが多く、スモールスタートには不向きです。一方、中国政府からのお墨付き(ライセンス)を得ている「WeChat」や「小紅書」などの巨大プラットフォーム上の公式アカウント開設から始めれば、安全かつ比較的手軽にターゲットへアプローチを始めることができます。

なお、十分な予算があり「現地法人の設立やデータ法対策にもしっかり投資を行い、本格的にWebサイトも構築する」という選択肢自体は決して間違いではありません。ただしその場合でも、中国人ユーザーの検索・情報収集の主戦場が各種アプリである以上、BtoC分野などでは特に、「Webサイトを作って終わり」ではなく、アプリのフル活用をマーケティングの軸に据えることが重要です。

プラットフォームごとの特性に合わせた情報発信(SNSマーケティング)

中国マーケティングでは、ターゲット層に応じたプラットフォーム選定が肝心です。B2B事業であれば信頼性の高い「WeChat公式アカウント」の運用、B2Cや消費財であれば「小紅書」でのKOL(インフルエンサー)施策や口コミの蓄積など、自社の目的に合わせてリソースを集中させます。

「目的」と「手段」を柔軟に切り替える

まずは「中国で自社やサービスの認知度を上げる」という大目的を意識して、適切な手段を選ぶことが成功の第一歩となります。

中国のデジタル環境は、日本や欧米の常識とは異なる進化を遂げています。

「日本で成功しているやり方(SEO対策やWebサイト運用)」をそのまま中国に持ち込もうとすると、無駄な投資が発生するだけでなく、市場参入のタイミングを逃してしまうリスクがあります。自社のターゲット層が「どのアプリで」「どのように情報を検索しているのか」を正しく把握し、変化の早い中国市場に合わせた柔軟なデジタルアプローチを展開していきましょう。

中国市場向けのデジタルマーケティングをご検討の企業様へ

本記事では、デジタルマーケティングの基礎となる中国現地の検索事情をまとめました。
昨今の中国市場に明るい方にとっては、極めて「当たり前」の内容かもしれませんが、日本から各国へのグローバル展開を一挙に行うことになったご担当者様などから、「中国でもSEO対策をしたい」といったご相談をいただくこともまだまだ多いため、記事として整理させていただきました。

当社では、中国向けSNS運用、KOL・KOC施策、ライブコマース支援など、中国市場に特化したデジタルマーケティングサービスを提供しています。また、記事内で触れたICP登録中国市場での認知拡大や販路開拓をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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