中国AIに「発見される」には?|従来のAEO・GEO・LLMO・AIOと中国版GEOのちがい

目次

はじめに

昨今、米国発AIに「発見される」ための対策を進めている企業も増えてきているようですが、中国発AIに「発見されたい」場合、対策を少し変える必要があるかもしれません。

先日、ある企業様から「中国のAIに自社の情報があまり引用されていないのでは?」というご相談をいただきました。この企業様は、ChatGPTやGemini、Claudeといった米国発AIに向けた対応はすでに進めており、中国の小紅書(RED)でのデジタルマーケティングも活発に行っています。にもかかわらず、どうも中国のAIには自社の名前が出てきにくいようとのことでした。

そのような背景もあり、本稿では、同じような課題をお持ちの方に向け、現段階で中国発AIに発見してもらうには?という観点で調査し入手した情報を紹介します。

乱立するAI検索対策の呼び方|AEO?LLMO?GEO?

本題に入る前に、2026年8月の執筆時点では、「生成AIに自社の情報を拾ってもらう対策」を指す呼び方が、いくつも広まっているようなので下記にて整理します。

  • AEO(Answer Engine Optimization)生成AIブーム以前からある言葉で、もともとは音声検索やGoogleの強調スニペットで「答え」として選ばれるための最適化を指していました。米国のSaaSサービスなどでは、この呼び方を採用しているサービスも多くあります。
  • GEO(Generative Engine Optimization)2023年11月に公開された、プリンストン大学などの研究チームによる論文が出典で、海外で標準的に使われている呼称です。中国では「生成AIに自社の情報を拾ってもらう対策」を示す言葉としては、GEOが最も広まっています。
  • LLMO(LLM Optimization)日本独自の呼び方で、2025年に日本経済新聞が取り上げたことをきっかけに、国内で急速に認知が広まりましたが、海外ではあまり使われていません。
  • AIO(AI Optimization)上記すべてを包む、より広い総称として使われることが多い言葉です。

呼び方は違っても、「生成AIの回答の中で、自社の情報が引用・言及される状態を作る」という目指すゴールは基本的に同じと考えて良いようです。

本稿では、中国で最も広まっている呼び方が「GEO(生成式引擎優化)であるため、以降は「GEO」という呼び方に統一します。

現状の「米国発AI」「中国発AI」TOP5

まず、GEOの話に入る前に、現状の「米国発AI」と「中国発AI」のTOP5と関連情報を整理します。それぞれ、単一の調査元による最新データを基にしています。なお、この分野は数ヶ月単位で順位が入れ替わるため、あくまで各調査時点のスナップショットとして捉えてください。

米国発AI|世界のWebサイト訪問数ランキングTOP5

順位AI名運営会社
1ChatGPTOpenAI Group PBC
2GeminiGoogle LLC
3ClaudeAnthropic PBC
4GrokxAI Corp.
5CopilotMicrosoft Corporation
出典: AICPB「AIチャットボット ユーザーによるランキング」2026年6月版

※なお、このランキングにはDeepSeek(4位)や豆包(6位)など中国発AIも含まれていますが、上表では米国発のみを抽出し順位を振り直しています。

◆中国発AI|中国国内AIネイティブアプリの月間アクティブユーザー数TOP5

順位AI名運営会社運営会社の説明AIの特徴
1Doubao/豆包ByteDance Ltd.
字节跳动有限公司
・Douyin(抖音)
・Toutiao(今日頭条)

などを運営する中国大手IT企業
月間アクティブユーザー数3.45億。
日常会話・コンテンツ作成に強い。
2Qwen/通義千問Alibaba Group Holding Limited
阿里巴巴集団控股有限公司
・Taobao(淘宝)
・Tmall(天猫)
・Alibaba Cloud(阿里雲)

などを運営する中国最大級のコングロマリット
月間アクティブユーザー数1.66億。
直近で急成長。
企業向け・電商連携に強い。
3DeepSeek/深度求索Hangzhou DeepSeek Artificial Intelligence Co., Ltd.
杭州深度求索人工智能基礎技術研究有限公司
ヘッジファンドHigh-Flyer(幻方量化)を母体とするAI特化のスタートアップ月間アクティブユーザー数1.27億。
数理推論・コーディングに強く、海外展開も積極的。
4Tencent Yuanbao/騰訊元宝Tencent Holdings Limited
騰訊控股有限公司
・WeChat(微信)
・QQ

などを運営する中国大手IT企業
月間アクティブユーザー数5735万。
微信などとの連携が最大の強み。
5KimiBeijing Moonshot AI Technology Co., Ltd.
北京月之暗面科技有限公司
AI特化のスタートアップ上記4社に次ぐグループの一角。
5位以下は僅差で変動が激しい。
出典: QuestMobile「2026年一季度AI应用洞察」(2026年3月時点データ、2026年4月発表)

ここで注目すべきは、上位5つのうち3つ(豆包、通義千問、騰訊元宝)が、いずれも複数の主力サービスを抱える中国の巨大IT企業(ByteDance、Alibaba、Tencent)の系列サービスであるという点です。独立系はDeepSeekとKimi(Moonshot AI)のみで、米国発AIの主要プレイヤーが、専業AI企業やAI事業が比較的独立している企業である構図とは異なる状況です。

米国GEOと中国GEO|共通点と相違点

ここでは、米国発AIに対するGEOを「米国GEO」と中国発AIに対するGEOを「中国GEO」とし、共通点と相違点を紹介します。

◆共通点

米国GEOと中国GEOには共通点もあると言えます。

まず、米国GEOについては、学術データの裏付けがあります。プリンストン大学・ジョージア工科大学・インド工科大学デリー校・アレン人工知能研究所の合同チームが2024年に発表した論文によると、出典を明記する・統計データを加える・引用文を加えるといった手法が、AIの回答内での引用可能性を最大40%程度押し上げる効果を確認しています。逆に、宣伝目的でのキーワードの詰め込みは、むしろAIからの評価を下げることも分かっています。

また、中国GEOにおいても、「権威性・関連性・引用可能性で評価される」「複数の独立した情報源で裏付けられると引用されやすい」「宣伝色の強い文章は好まれない」という、似た傾向が業界内で指摘されています。ただし、こちらについては前述の論文のような実験データではなく、あくまで経済メディアや業界関係者による考察・観察に基づくものとなります。

よって、米国GEOも中国GEOも、両者に共通点がありそうだという見立て自体は妥当でも、その根拠は米国GEOの方がしっかりしている、というのが現在の状況だと言えます。

◆相違点

また、現段階では、米国GEOと中国GEO の相違点は下記の2点が挙げられます。

1点目は、プラットフォーム・製品としての進み方に差があるということです。米国では、上場企業のHubSpotが2026年4月に「HubSpot AEO」を正式な製品ラインとして発表し、既存プランの一部、あるいは、月額50ドルの単体製品としての提供が開始しています。つまり、米国では、AEO/GEOへの対応が、上場企業が公式に収益化する製品カテゴリーにまで育っています。一方で中国に関しては、執筆時点で「大手上場プラットフォームがGEO専用機能を正式な製品として組み込んだ」という事例は確認できませんでした。

※なお、米国においても中国においても「GEO代行業者」は乱立している印象で、いずれも、「自社を1位に置くランキング記事を量産している」という玉石混交の様相を呈しているようです。

2点目はより本質的な違いですが、中国は「アプリ経済圏」の構造そのものが、AIの情報収集にも色濃く反映されているという点です。この点については次のセクションで触れます。

中国GEOは、アプリ経済圏への参入も大事?

◆米国と中国で行われたAIに「引用元を答えさせる」調査

中国の「アプリ経済圏」がAIにも影響を及ぼしている可能性が高いことを示すために、2つの調査記事を紹介します。1つ目は、2025年3月、米コロンビア大学デジタルジャーナリズム研究センターが発表した調査です。これは、米国発の8つのAI検索サービスを対象に、記事の抜粋を提示して出典(タイトル・発行元・URL)を尋ねる、というものでした。そして2つ目は、この調査を見て、中国の経済メディア「21世紀経済報道」グループの「21世紀商業評論」が、同じ検証手法を応用し、中国発の6つのAI検索サービスに対して行った調査です。

◆米国AIが通り抜ける「緩い壁」、中国AIが直面する「閉じた壁」

二つの調査からは下記のような結果と見解が得られました。

米国側のコロンビア大学の調査が明らかにしたのは、米国発AIの参照先の「ブロックの実効性が乏しい、緩い・漏れのある構造」でした。

調査の結果、報道機関がクローラーを明示的にブロックしても、AIは転載サイト経由でその内容にアクセスしてしまい、かつ、クローラーを許可している媒体でも正しく引用するとは限らないという結果が明らかになりました。また、それを受け報道機関の権利・収益がAIによって損なわれているという問題提起もなされていました。

一方、中国側の21世紀商業評論の調査が明らかにしたのは、「ブロックする・しないという次元ですらなく、アプリ内の情報がそもそも検索エンジンの公開領域から一切見えない、身内だけがアクセスできる、閉じた壁」でした。

調査によると、AIが提示した引用元リンクで多かったのが「今日頭条」「微信公衆号」でした。ですが、「今日頭条」を引用元としたケース37回のうち34回はByteDance系列の豆包AIによるもの、「微信公衆号」を引用元としたケース27件のうち19件はTencent系列の騰訊元宝AIによるものでした。これは、豆包AIや騰訊元宝AIは自社エコシステム圏内からの引用が可能で、かつ、それを優先しているとも言えます。この記事で示されたのは、AI時代になっても”アプリの囲い込み”という中国インターネットの構造は同じだということでした。

◆「Deep Seek GEO」と「豆包・元宝・千問GEO」

上記をまとめると、DeepSeek向けのGEOは、米国発AI向けのAEO・GEOと同じ発想が概ね通用すると言えそうです。DeepSeekは特定のアプリ経済圏を持たず、比較的オープンなWeb上のコンテンツを対象に検索・推論を行うため、権威性・引用可能性・構造化された情報といった、これまで述べてきた原則がそのまま活きます。

一方、豆包・元宝・千問向けのGEOは、別物として考える必要がありそうです。これらのAIは、検索エンジンの公開領域から見えない自社エコシステム内の情報を参照できるため、外部のWebサイトをどれだけ「引用されやすく」書いても、自社エコシステム内に同様の情報がある場合は、そちらを優先される可能性があります。

中国発AIに引用されているかの確認方法

ここまでで、米国発AIと中国発AIを比較して、「どこに情報を出すべきか」を探ってきましたが、ここでは、中国発AIに引用されているかの確認方法を整理します。

方法1:直接アプリ・サイトを使ってみる

引用されているかを確認する際に、最も確実なのは、自分で実際AIを使うことです。ただし、日本にいる一般的な日本人が試す場合は、アプリごとに難易度が異なります。

  • 豆包(Doubao):日本からウェブブラウザおよびアプリで利用できるのはDola(国際版)のみで、豆包(中国国内版)を利用する場合、まずは中国国内の電話番号が必要になります。
  • 通義千問(Qwen):通义千问(中国国内版)アプリは日本のアプリストアにはないようですが、アリババクラウドシンガポールが提供しているQwen Studioアプリは日本からでもダウンロードできます。また、ウェブブラウザ版も日本からいったん利用できるようです。
  • DeepSeek:日本からもウェブブラウザおよびアプリで利用できます。
  • 騰訊元宝(Yuanbao):腾讯元宝(中国国内版)アプリは日本のアプリストアにはないようですが、ウェブブラウザ版が用意されており、日本からも利用できます。利用時にはWeChatアカウント・QQアカウント・中国の電話番号のいずれかでのログインが必要です。

方法2:専門の診断・モニタリングツールを使う

日本からも使えるウェブブラウザ版、国際版を使えばある程度の検証もできそうですが、とくに、豆包アプリなどは中国の電話番号を持っていない方は試しづらい部分があります。

中国では、豆包・DeepSeek・通義千問・騰訊元宝など主要なAIプラットフォームを横断的に監視し、自社ブランドがどのくらいの頻度で、どういう文脈で、どの情報源から引用されているかを可視化する、GEO(生成式引擎優化)モニタリングツールもすでに複数登場しているので、こうしたツールを使えば、自社名や競合名の露出状況をまとめて確認できます。

ただし、この業界自体がまだ玉石混交の市場ともいえるので、ツールを選定する際は、複数のツールを比較検討することをおすすめします。

この構造は今後も変わりうる

中国は何かと状況の移り変わりが早いと言われることが多いですが、AIを取り巻くも状況も例外ではありません。DeepSeekが2025年初頭に一時トップに立った後、豆包・通義千問が急速に追い上げてきた経緯を見ても分かる通り、この業界の勢力図は数ヶ月単位で入れ替わります。

中国GEOについては、まずは、この記事で触れたそれぞれの中国発AIの特徴も踏まえつつ、自社がターゲット層の利用するAIはどれか、自社情報が各AIに引用されるかなどを定点観測し、状況の変化に合わせて注力すべき点を見直していく、という運用が今後も必要になりそうです。

情報源・参考資料

AICPB「AIチャットボット ユーザーによるランキング」2026年6月版
https://www.AIcpb.com/ja/AI-rankings/products/AI-chatbot-rankings
QuestMobile「2026年一季度AI应用洞察」(2026年3月時点データ、2026年4月発表
https://www.questmobile.com.cn/research/report/2046482337382842370/
[2311.09735] GEO: Generative Engine Optimization
https://arxiv.org/abs/2311.09735
AI Search Has a Citation Problem – Columbia Journalism Review(2025年3月6日)
https://www.cjr.org/tow_center/we-compared-eight-ai-search-engines-theyre-all-bad-at-citing-news.php
我让AI查了330次新闻,平均错误率75%! – 21经济网(2025年4月14日)
https://www.21jingji.com/article/20250414/herald/feed374415a62e6531654d2c0490ec87.html
Dola AIは、毎日頼れるあなたのAIアシスタント(豆包|国際版)
https://www.dola.com/
千问-阿里 AI 助手
https://www.qianwen.com/
DeepSeek | Into the Unknown
https://www.deepseek.com/
Yuanbao–Tencent’s All-in-One AI Assistant
https://yuanbao.tencent.com/

中国市場向けのマーケティング課題をお持ちの企業様へ

本記事では、現時点での中国GEOについてまとめました。

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