更に進化する中国のキャッシュレス決済

目次

1. 今ではすっかり現金を持ち歩かなくなった中国人

中国でキャッシュレスが急激に進んだのは、2014 年~2015 年ごろだろうか。筆者は2014 年から上海に住んでいるが、周りの同僚を含め最初からキャッシュレスだったわけではなく、当時は現金も持っていた。ちょうど今の日本と同じように、財布とスマートフォンを持ち歩いていたと記憶している。

そもそもスマートフォンでの決済がスタートするずっと以前から、多くの人は現金クレジットカード、あるいは銀聯カード(銀行口座から即時引落をするいわゆるデビットカード)を併用していた。周りの話を聞いてみると、ポイントが貯まるためクレジットカードをよく使っていたという声が多かった。

街中で支付宝(アリペイ)や微信銭包(WeChatPay)が使えるようになってからも、最初は恐る恐る使っていたように思う。そのお店で本当に使えるのか不安があったし、実際にネットワークの不具合や停電などで使えないという場面に出くわしたことがあったからだ。いざスマートフォンのみでランチに行っても、もし使えなかったら?などと考えて、最初の半年から1年は財布ももれなく持参していた。これは筆者だけではなく、中国人の同僚たちも同じだ。

サービス開始当初にありがちな不安な時期を乗り越え、スマートフォンでの支払いに問題はないと認識してからは、基本的に財布を持ち歩かなくなった。まわりの中国人の同僚たちも同様に普段は財布を持ち歩いていない。同僚たちは財布に身分証を入れているが、財布を持ち歩くのは身分証が絶対に必要だと分かっている日だけだから、万が一、身分証の提示が必要な場面に出くわしたら出せるものがない。とはいえ、警察による身分証確認であれば、携帯電話の番号でも確認できるので大きな問題はない。

実際に先日は、同僚がオフィスで現金持っている人を探していた。何かの手続きで必要な数十元を持っていなかったのだという。数人に聞いて回っていたが、たまたま現金を持っていたのは筆者だけだった。まわりの同僚は「今の時代、現金を持っている人を探すことの方が大変だ」と言っていたが、そのくらい現金を持っていない人の方が多い。

2. 増えるセルフレジ導入店

かつては現金やクレジットカード・銀聯カードで支払いをしていたものが、スマートフォンでの QR コード決済になり、今ではセルフレジを導入する店が増えている。すなわち店側の人を介さず、消費者が端末を直接操作して支払いをする形が増えている。

例えば阿里巴巴グループのスーパーマーケット「盒馬新鮮(フーマーフレッシュ)」では、有人レジではなく壁掛けのセルフレジが設置されている。ここ数年、日本からも多くの人が視察に来ていたから、すでに実物を見ている方もいるだろう。他のスーパーも追随するようにセルフレジを導入したり、自分のスマートフォンを使って商品バーコードをスキャンし、決済まで済ませるセルフレジの進化版タイプを導入している。

セルフレジは、コンビニにも導入が進んでいる。例えば日系コンビニの全家(ファミリーマート)は、2019 年 8 月にまず上海市内の約 100 店にセルフレジを導入し、その後北京、広州、深セン、杭州、蘇州、無錫、成都、東莞などでも導入を進めている。

筆者の職場近くの店舗にもセルフレジが導入されたが、以前の有人レジ 3 台体制よりも並ぶ時間は格段に減ったように思う。有人レジの場合、スタッフの手際が悪かったり、セールストークや無駄なコミュニケーションが発生したりして支払いに時間がかかることがあるが、セルフレジならば人を介さない分、圧倒的に早い。

メディアの報道によると、全家はセルフレジを導入した当時、朝と昼のピーク時にレジに並ぶ時間が減り、来客数も 20%増加したとその効果を明かしている。導入当初でも来店客のおよそ半分がセルフレジを使い、性別では女性、年代別では 30 代の利用が多い傾向だったという。

現在、上海市内の全家を観察すると、客の少ない店舗ではレジに立つ店員が少なく代わりにセルフレジの隣で操作を手伝ったりしている。外灘などの観光地にある店舗は客数が多いため従来のレジもフル稼働しているが、セルフレジの稼働率は非常に高い。

3. 引き続き増えるセルフオーダー導入店

この 2~3 年で、ミニプログラムを通じたセルフオーダーのシステムを採用する店も増えている。手持ちのスマートフォンで座席にある QR コードを読み込み、支付宝か微信のミニプログラムでオーダーと決済を済ませるというものだ。全ての飲食店とはいえないが、今ではかなりの店がこのシステムを導入している。

セルフオーダーは、店側にとって大きなメリットがある。席を案内したら、客が自らQR コードで注文と決済を同時に済ませてくれるので、店側は注文の品を作り提供するだけでよい。席の位置も特定されているため提供ミスも起きにくく、決済も済んでいるのでレジで釣銭を間違えたり、無銭飲食されることもない。従来のようにスタッフがオーダーを取る時間が節約できるだけでなく、現金を触らないので手洗いや消毒も都度しなくて済むし、閉店後のレジ締め作業も簡素化できる。賃金水準がまだまだ伸びる中国において、人件費をいかに削減するかは大きなテーマだ。

4. 実際にセルフレジで購入してみた

セルフレジは大きなタッチパネルなので、難しく感じることはない。最初の画面で会員か非会員かを選び、画面下の読み取り部分に商品をかざしてバーコードをスキャンする。最後に決済画面で、支付宝などの QR コードをかざせば会計は完了だ。

どこのセルフレジもタッチパネルは大きいが、画面上のボタンを選択するという行為はほとんどない。ただ商品のバーコードと決済用の QR コードを読んでいくだけなので、ほとんどの人は 1~2 度使えば慣れるだろう。

このようなセルフレジが本格導入される以前は、レジで有料会員の勧誘があったり、抱き合わせ商品を勧められたり、ひどい時にはレジ打ちはよそにひたすら営業トークが繰り広げられることさえあった。しかしセルフレジであれば、本当にスムーズに会計が終わるため顧客側の消費体験も良く、習慣的な利用に繋がるのも理解できる。

なお上海市内の日系の店では、新しくオープンした LOFT でも、恐らく日本の店舗に先駆けてセルフレジが導入されている。無印良品の店舗にもセルフレジが導入されており、いずれも現地に合わせた戦略が取られていることが伺える。

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この記事を書いた人

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