北京発のスマートコンビニ「便利蜂」

北京発のコンビニ「便利蜂」と日系コンビニの違い

便利蜂は2017年に北京の中関村で生まれたスマートコンビニだ。創業から3年で中国全土の20都市に1,500店以上を出店し、猛烈な勢いで日系コンビニの後を追っている。2020年5月下旬には北京エリアにある500以上の店舗が黒字化を果たしており、2023年までに1万店の出店を目標に掲げている。

ちなみに中国国内にある日系コンビニは、セブンイレブンが約2,100店舗、ローソンが約2,700店舗、ファミリーマートが約2,800店舗あるとされる。

便利蜂は後発の中国系コンビニだが、日系コンビニとは異なり、店内にたくさんのセルフレジが設置されているのが特徴だ。通勤ラッシュやランチタイムの時間帯でも、便利蜂に行けば支払いのために長く順番待ちをすることはない。

便利蜂のセルフレジの様子(筆者撮影)

日系コンビニと同様に便利蜂のレジ横にもホットスナックが並んでいる。便利蜂でホットスナックを注文すると、セルフレジで手続きを進めている間に店員がさっと用意してくれるのだが、一方の日系コンビニは、レジを担当する店員がホットスナックの取り出しも行うため、どうしてもレジに時間がかかってしまう。

便利蜂の店員はホットスナックの取出しに専念。おかずを選ぶタイプのお弁当も買うことができる(筆者撮影)

また店内にはAI技術を活用した防犯カメラが設置されてあり、万引きなどの犯罪が検知されると、自動的に警察に通報する仕組みをとっている。

他にも、日系コンビニはイートインコーナーが用意されていない店舗が多く、あったとしても窓際のスペースに数席あることが多い。一方の便利蜂は、小規模な店舗であってもイートインコーナーは必ず広く取られている。そのため、店で買ったものを食べるためだけでなく、少し休憩したり、待ち合わせ場所に利用したりする客もいる。

便利蜂のイートインコーナーは広い(筆者撮影)

ローソンのイートインコーナーは日本と同じような窓際のスペースだ(筆者撮影)

便利蜂はいわゆるオフィスコンビニも運営している。「蜂小柜」と呼ばれるオフィスコンビニサービスは、QRコードのついた冷蔵庫に専用タグの付いたドリンクやお菓子、カップラーメンが入っている。

購入する時は、まず冷蔵庫のドアに貼ってあるQRコードを便利蜂のアプリか「微信(WeChat)」で読み取る。するとドアが開くので、欲しい商品を取り出してドアを閉めると、自動的にアプリ内で決済が完了する。

商品を取り出すだけで決済が完了する(筆者撮影)

北京には超高層オフィスビルが多い。出勤・退勤時間帯やランチタイムの前後は、エレベーターが非常に混むので、わざわざコンビニまで出かけるのは時間もかかるし面倒だ。そのため、ちょっとしたお菓子やドリンクを買うために蜂小柜は便利なのだという。

補充のタイミングはアルゴリズムが判断。便利蜂のスタッフがオフィスを訪れ商品を補充する(筆者撮影)

おやつや夜食の購入に使われる便利蜂

便利蜂が全国20都市にある1,800以上の店舗を対象に、いわゆるホワイトカラーの客に対して行った調査によると、回答者の50%以上が深夜に一人で食事をすることが多いと答え、60%以上が平均して1回に30元以上を使っていることが分かった。残業のためにコンビニで夜食を買う場合、ランチよりも金額が高い傾向があるという。年齢別でみると、22歳~31歳と21歳以下の割合が多い。コンビニを利用する理由は「利便性」が最も多く、次に清潔さ、衛生面を選ぶ人が多かった。

コンビニでよく購入する商品は、おでん、揚げ物、牛乳のほか、中国の甘辛駄菓子の「辣条」や便利蜂のプライベートブランド「蜂質選」の干し肉系おやつ「麻辣牛肉」といった辛く味の濃い味の食べ物が好まれている。

便利蜂のプライベートブランド「蜂質選」の商品の例(筆者撮影)

また中国では「下午茶」といって午後3時ごろにおやつを食べる習慣が若者を中心に浸透しつつある。下午茶の習慣があると答えた人の60%以上が女性で、下午茶のためにコンビニで30元以上使うと答えた人は40%を超える。年齢別に見てみると、「Z世代」が38.3%で1990年代生まれが30.2%、1980年代生まれが20.9%、1970年代生まれが10.6%だった。

実際に筆者の知り合いにも午後3時ごろになると、眠気覚ましとトイレ休憩もかねて近辺のコンビニまで歩いて行き、お菓子と飲み物を買ってくるという人がいる。おやつを食べながら軽く同僚とコミュニケーションした後、気持ちを切り替えて仕事に臨むのだという。

コラボ商品にも注力

近年、中国のコンビニはどこも、アニメやゲーム、映画とのコラボ商品に力を入れている。便利蜂はZ世代に人気の中国製ゲームや中国映画とコラボすることが多い。例えば、コラボ弁当を期間限定で販売する時には、店内の装飾は一部がコラボ仕様になるだけだが、SNSを使ってコラボ相手と共同で便利蜂やコラボ商品のPRを行っている。

中国系アニメや映画とコラボする便利蜂(上)と日系ア二メとコラボするローソン(下)(筆者撮影)

一方、日系コンビニのローソンの場合、中国でも人気がある日本のアニメやゲームとのコラボが多く、特定のファン層を狙ったコラボが多い印象だ。おにぎりやデザートのコラボ商品を出した際には、いくつかの店舗に限定して店内がコラボ装飾一色になるという特徴がある。

  便利蜂のコラボ商品はコーヒーや弁当、ローソンはおにぎりでコラボ商品を出すことが多い(筆者撮影)

コラボする相手側もSNSで便利蜂のコラボ商品が出たことを告知(筆者撮影)

PB商品はネット上でも販売

便利蜂はプライベートブランド(PB)「蜂質選」にも力を入れている。蜂質選の商品は店舗で販売しているほか、大手ECサイトの「京東(JD)」や「拼多多(Pinduoduo)」、小売業者向けのSaaS型サービス「有賛」のミニストアでも販売している。近くに便利蜂の店舗が無くても、ECで購入できる仕組みが整っている。

オンラインでは、便利蜂はPB商品を中心に扱っている(筆者撮影)

一方、日系コンビニのローソンの場合、「微信(WeChat)」のミニプログラムを利用した「罗森点点」というクラウドストアからPB商品を購入することができるが、近くにデリバリー注文可能な店舗がある場合に限られてしまうという違いがある。

ローソンのオンライン販売は、コラボしたアニメなどのグッズ販売がメインという印象(筆者撮影)

クララオンライン コンサルティング事業部

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