中国のADAS(先進運転支援システム)市場の現状と将来性

ADAS (Advanced Driver-Assistance Systems、先進運転支援システム)は、無人運転の最初の一歩となるシステムで、無人運転の実現にはまず先にADASの普及が欠かせない。ADASによって車両と道路の安全性が大幅に改善されることから、自動車分野では最も成長の早い分野となっている。

現在外国メーカーのADASの普及は好調だ。中国にはいまだ有力なメーカーがない状況だが、徐々に規模を拡大する中国メーカーも出てきている。中国のADAS市場規模は2020年に844億元だったが、2025年にはその3倍となる2250億元にまで市場規模が拡大すると見込まれている。

ADASとは

「道路交通車両のための先進運転支援システム(ADAS)の用語と定義」によれば、ADASとは、車両に搭載されたセンサー、通信、意思決定および作動装置を用いて、ドライバーや車両とその運転環境を監視し、画像、光、音、触覚的な合図・警告、または制御などによって、ドライバーが運転を行ったり、衝突の危険を積極的に回避あるいは軽減したりすることを支援するシステムの総称とされている。実際には、運転支援機能の総称として用いられている。

中国市場でのADAS普及率

ADASはスマートカーの構成要素として重要なシステムだ。車に搭載されている各種センサー(ミリ波レーダー、レーザーレーダー、単眼・ステレオカメラ、衛星ナビゲーション)を利用して、走行中は随時周辺環境のデータを収集し、静的・動的な物体の識別や探知、追跡を行う。またナビの地図データと組み合わせて演算、分析を行うことで、ドライバーに起こりうる危険を事前に察知することで、運転の快適性と安全性を効果的に高めることにつながる。

米国自動車技術者協会が発表した自動運転レベルの区分によると、L2(レベル2)以下を先進的な運転支援技術、L3(レベル3)以上を自動運転技術としている。ただし、自動運転技術の開発においては、L5(レベル5)の完全自動運転化が最終目標である。

経営戦略コンサルティング会社の独ローランド・ベルガー社のデータによると、2020年の中国におけるADASの市場普及率は低く、依然として次の図表のように、ADASが全く搭載されていないL0(レベル0)の車が市場の半数以上を占めている。

国産ADASメーカーの現状と将来性

現在、世界のADAS市場は特定の数社のメーカーに集中している状況にある。上位にはBOSCH(ボッシュ)、Continental AG(コンチネンタルAG)、Aptiv(アプティブ)、ZF Friedrichshafen AG(ゼットエフフリードリヒスハーフェン)等の伝統的な自動車部品を製造する大手メーカーが名を連ねており、これらを含むトップ5社がグローバル市場シェアの60%以上を握っている。

一方、中国国内のメーカーを見てみると、ADAS製品の技術開発はいまだ未熟で、業界は主に新興メーカーが中心となっており、成熟した大手メーカーの参入は少ない状況だ。

代表的な新興メーカーとしては、清智科技、極目智能、佑駕創新科技などがある。資金調達状況では、佑駕創新科技や中天安馳がいずれもCラウンドを成功させている。また多くのメーカーがAラウンドでの資金調達に成功していることから、中国のADASメーカーの今後の発展に期待できると言える。

中国のADAS市場の見通し

世界各国の規制当局が、アクティブセーフティ技術を要求あるいは推進していることもあり、ADASの普及率は日増しに高まっている。

FCW (前方衝突警告)/LDW(車線逸脱警報)のようなアクティブセーフティ技術を用いた早期警戒型のADAS製品やAEB(衝突被害軽減ブレーキ)のようなアクティブコントロール型ADAS製品は、近い将来、急速に発展することが予想される。

また消費者による運転体験の追求、各国政府によるADAS関連分野への大規模な投資拡充や車のインテリジェンス化・ネットワーク化に関する中長期的な目標によって、ADAS市場は今後も成長速度をさらに加速させるだろう。

華泰証券の予測によると、中国のADAS製品のうち、AEBとLDWの普及率は2020年時点で40%以上となっている。また、FCWやAPS(自動駐車支援システム)といったシステムの普及率も30%を突破すると予想されている。

中国自動車工業協会によると、2020年には自動車運転支援機能、部分自動運転機能、条件付き自動運転機能の新車搭載率は50%を超えるという。ネットワーク型運転支援システムの搭載率も10%に達し、ADASシステムの総普及率が50%に達して、スマート交通都市建設の需要を満たすことができると予想されている。また高度な自動運転支援機能の増加に伴い、自動車1台に占めるADASシステムの価格は増加するとみられる。

中国自動車工業協会の試算によると、2020年のADAS市場規模は844億元で、前年同期比19.3%増となっている。5Gの段階的な導入に伴いOEMメーカーが続々とADASを搭載した新型車を発表していることから、ADASの普及率はさらに加速していくとみられる。2025年にはADAS市場の規模は2,250億元に達し、L2以下の車にはAPSやACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)の搭載が主流となりそうだ。市場規模はそれぞれ384億元と312億元となる見込みで、今後のADAS市場の規模拡大に大いに貢献する存在となるだろう。

クララオンライン コンサルティング事業部

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