更に進化する中国のキャッシュレス決済(2020年)

目次

要約と結論

中国では2014~2015年頃を境にキャッシュレス化が急速に進展し、現在ではスマートフォンによるQRコード決済が生活の中心となっている。これに伴い、セルフレジやセルフオーダーシステムといった無人化・省人化の仕組みも急速に普及した。

これらの仕組みは、消費者にとっては待ち時間の短縮や快適な購買体験の向上につながり、店舗側にとっても人件費削減やオペレーション効率化、集客強化といったメリットをもたらしている。

結果として、中国の小売・飲食業界では、キャッシュレスを基盤とした効率的な店舗運営モデルが確立されつつある。

すっかり現金を持ち歩かなくなった中国人

更に進化する中国のキャッシュレス決済

中国でキャッシュレスが急激に進んだのは、2014~2015年頃である。筆者は2014年から上海に住んでいるが、当時は現在とは異なり、現金とスマートフォンを併用する生活が一般的だった。

そもそもスマートフォン決済が普及する以前は、現金・クレジットカード・銀聯カード(デビットカード)が主な決済手段であり、特にポイント還元を目的にクレジットカードを利用する人が多かった。

その後、支付宝(Alipay)や微信支付(WeChat Pay)が普及し始めた当初は、
「本当に使えるのか」「通信トラブルは大丈夫か」といった不安から、財布を併用する人が大半だった。実際に、ネットワーク障害などで決済できない場面も存在していた。

しかし、こうした不安が解消されると、スマートフォンのみで生活するスタイルが一気に定着した。現在では、筆者の周囲の中国人も含め、普段は財布を持ち歩かない人が多数派となっている。実際に、現金が必要になった際に「現金を持っている人を探す方が難しい」という状況も珍しくない。

どんなお店に行ってもQRコードで決済が可能

ちなみに、筆者の同僚たちは財布に身分証を入れているが、財布を持ち歩くのは身分証が絶対に必要だと分かっている日だけだ。万が一、身分証の提示が必要な場面に出くわしたら出せるものがなかったりする。とはいえ、警察による身分証確認であれば、携帯電話の番号でも確認できるので大きな問題はない。

増えるセルフレジ導入店

更に進化する中国のキャッシュレス決済

キャッシュレス化の進展に伴い、支払い方法も進化し、現在ではセルフレジの導入が急速に拡大している。

例えば、アリババグループが展開するスーパー盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)では、壁掛け型のセルフレジが導入されており、消費者自身が操作して決済を行うスタイルが一般的となっている。

盒馬新鮮(フーマーフレッシュ)でセルフレジを利用する様子
進化版セルフレジ。スーパーから出るときは、出口の機械で決済済みQRコードスキャン。

また、コンビニでも導入が進んでおり、ファミリーマート(全家)は2019年に上海の約100店舗でセルフレジを導入し、その後全国主要都市へ拡大した。

オフィス街の全家(ファミリーマート)に導入されたセルフレジ

セルフレジのメリットとしては以下が挙げられる:

  • 待ち時間の短縮(ピーク時の混雑緩和)
  • 人的ミスの削減
  • 無駄なコミュニケーションの排除による効率化

実際に、導入店舗では来客数が約20%増加するなどの効果も報告されている。現在では、客数の少ない店舗ではスタッフがレジに立たず、セルフレジのサポート役に回るといった運用も見られる。

(右)ファミリーマート店員がサポートする様子(左)地下鉄コンコース内店舗のセルフレジ

引き続き増えるセルフオーダー導入店

更に進化する中国のキャッシュレス決済

ここ数年で急速に普及しているのが、QRコードを利用したセルフオーダーシステムである。これは、来店客がテーブルに設置されたQRコードを読み取り、スマートフォン上で注文から決済までを完結させる仕組みだ。

このシステムの特徴は以下の通り:

  • 注文・決済の同時完了
  • 座席情報と紐づくため提供ミスが少ない
  • 無銭飲食リスクの低減
  • レジ業務・現金管理の削減

店舗側にとっては、人件費削減・オペレーション簡素化・衛生管理の効率化といった大きなメリットがある。特に人件費の上昇が続く中国では、省人化は重要な経営課題であり、今後も普及が進むと見られる。

焼肉店のテーブルに貼られたQRコードを読み取って、ミニプログラムから注文をする

実際にセルフレジで購入してみた

セルフレジの操作は非常にシンプルで、基本的な流れは以下の通り:

  1. 会員/非会員を選択
  2. 商品バーコードをスキャン
  3. QRコード決済で支払い

タッチパネルは大きく、操作も直感的なため、1~2回の利用でほとんどの人が使いこなせる

大きな画面で文字も大きくシンプルで分かりやすく誰でも操作しやすい設計になっている

従来の有人レジでは、

  • 会員勧誘
  • 追加商品の営業トーク

といったやり取りが発生することもあったが、セルフレジではそれがなく、
スムーズでストレスの少ない購買体験が実現されている。

また、上海では無印良品やLOFTといった日系店舗でもセルフレジが導入されており、中国市場に適応した運営が進んでいることがうかがえる。

LOFT上海美羅城店に設置されたセルフレジ
上海市内の無印良品の店舗に設置されているセルフレジ

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