北京発のスマートコンビニ「便利蜂」(2021年)

目次

要約と結論

中国のコンビニ市場では、長らく日系大手(セブンイレブン・ローソン・ファミリーマート)が存在感を示してきたが、近年は北京発のスマートコンビニ便利蜂が急速に台頭している。
セルフレジの徹底導入やAI活用、オフィス向け無人販売などの新しい店舗運営により、効率性と利便性を武器に拡大を続けており、利用シーンや商品戦略でも独自性が際立っている。

北京発のコンビニ「便利蜂」と日系コンビニの違い

便利蜂は2017年に北京のシリコンバレーと呼ばれる中関村で誕生したスマートコンビニで、創業からわずか3年で全国20都市・1,500店舗以上を展開。2020年には北京エリアの500店舗以上が黒字化し、2023年までに1万店舗という目標を掲げている。中国国内の日系コンビニの店舗数は以下の通りなので、仮に1万店舗を突破した場合、コンビニトップに躍り出ることとなる。

  • セブンイレブン: 約2,100店舗
  • ローソン: 約2,700店舗
  • ファミリーマート: 約2,800店舗

便利蜂の最大の特徴は、店内に多数設置されたセルフレジである。通勤時間帯や昼食時でもレジ待ちがほとんど発生しない点は、日系コンビニとの大きな違いだ。

また、ホットスナックの提供方法にも差がある。

  • 便利蜂: 店員は調理・提供に専念し、会計はセルフレジ
  • 日系コンビニ: レジ担当者が会計と商品提供を兼務

この違いにより、便利蜂のほうが会計処理がスムーズになっている。

さらに店内には、AIを活用した防犯カメラが設置されており、不審行動を検知すると自動通報される仕組みも導入されている。加えて、イートインスペースにも下記のような違いがある。

  • 便利蜂: 小規模店舗でも広めのイートインを確保
  • 日系コンビニ: 設置されていない、または小規模な場合が多い

このため便利蜂は、飲食・休憩・待ち合わせの場としても利用されている。

(左)便利蜂のセルフレジ(右)日系コンビニの有人レジ
「便利蜂」店内のホットスナックやお惣菜
ホットスナックなどもセルフレジで買える

オフィス向け無人コンビニ「蜂小柜」

便利蜂はオフィス向けサービス「蜂小」も展開している。

これは、QRコード付きの冷蔵庫から商品を取り出すだけで、自動的に決済が完了する無人販売システムである。北京の高層オフィスビルではエレベーター待ちが長いため、「外に出ずに買える」利便性が高く評価されている。

アプリのQRスキャンでロック解除後、タグ付きの商品を取り出す。扉を閉めると自動で決済完了。
システムで算出した必要補充量に基づき、便利蜂スタッフが商品補充を行う

ランチよりおやつや夜食の購入に使われる「便利蜂」

便利蜂の調査によると、ホワイトカラー層では以下の傾向が見られる:

  • 50%以上が深夜に一人で食事
  • 60%以上が1回30元以上を消費
  • 夜食はランチより高額になる傾向

年齢層では、Z世代〜30歳前後の若年層が中心となっている。

よく購入される商品は以下の通り:

  • おでん、揚げ物、牛乳
  • 辣条(中国の辛味スナック)
  • 「蜂質選」ブランドの麻辣牛肉(PB商品)

全体として、味の濃い・刺激的な食品が好まれる傾向がある。

味の濃い商品が人気

「下午茶」文化が後押しする、おやつ消費

また中国では、午後3時頃に軽食をとる「下午茶(アフタヌーンスナック)」という習慣が若者を中心に浸透しつつある。

  • 利用者の60%以上が女性
  • 40%以上が30元以上を消費
  • 年代構成:  
    • Z世代: 38.3%
    • 90年代生まれ: 30.2%

こうした背景もあり、「便利蜂」をはじめとしたコンビニは気分転換やコミュニケーションの場として活用され、利用時の客単価もランチよりはおやつ・夜食の方が高くなりやすい傾向があるといえる。

コラボ商品にも注力

近年、中国のコンビニはIPコラボ商品に非常に積極的だ。また、IPコラボ商品においても、便利蜂と日系コンビニは戦略に違いがあり、例えば下記のような違いが見受けられる。

  • 便利蜂
    Z世代に人気の中国系ゲーム・映画とコラボ
    コラボ相手と自社で同時にSNSプロモーション
  • ローソン(中国)
    日系のアニメ・ゲームとコラボ
    特定店舗を装飾してファン層へ深く訴求
ローソンのコラボ商品はおにぎりで、便利蜂のコラボ商品はコーヒーやお弁当で出すことが多い
(左)中国系アニメや映画とコラボする便利蜂(右)日系ア二メとコラボするローソン

PB商品はネット上でも販売

また、便利蜂はプライベートブランド「蜂質選」にも注力しており、店舗販売に加え、下記のような中国の大手ECチャネルにも販売網を広げるなど、販売網拡大に余念がない。

  • 京東(JD)
  • 拼多多(Pinduoduo)
  • 有賛ミニストア

一方、ローソンの場合は、購入は「罗森点点」というクラウドストアとアプリをリリースしており、アニメとのコラボグッズ販売から日系おもちゃメーカーのくじ引き、ケーキの予約にいたるまでを「罗森点点」を通じて行っている。また、購入にあたっては、近隣店舗からのデリバリーを前提としているので、便利蜂のほうがオンライン販売の自由度は高いと言える。

(左の2枚)ECで販売される便利蜂PB商品(右の2枚)ローソンアプリで販売されるアニメグッズ

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