上海のコンビニにおけるセルフレジ導入状況

目次

1. 日系コンビニのセルフレジ導入状況

日系コンビニエンスストアでは、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートが上海に進出している。今回、市内主要箇所にある店舗を複数リサーチしたところ、筆者のまわりでセルフレジが導入されていたのはファミリーマートだけだった。このセルフレジは、店舗に設置されたレジ端末を使って客がバーコードを読み取り、支払いを行うもので、日本でも一般的なセルフレジと同じ仕組みをイメージしてもらえばよい。

さらにファミリーマートでは、スマホレジの導入も広がっている。このスマホレジは、消費者が自らのスマートフォンを使って商品のバーコードをスキャンし、そのままスマートフォン上で支払いを済ませるという新しい会計スタイルだ。

スマホレジについては、ローソンが 2017 年 7 月に決済サービスの「火星兎子(Huoxingtuzi)」と提携して、上海市内の 2 店舗で試験導入を行ったことがメディアで報じられているが、現在までに普及している様子はない。一方、日本のローソンでは、「ローソンスマホレジ」の名称で 2018 年春にサービスを開始し、2020 年 4 月時点で全国約 120店舗で利用することができる。

2. ローカル系コンビニのセルフレジ導入状況

ここまで日系コンビニの上海市内におけるセルフレジ導入状況について触れてきたが、ここで中国のローカル系コンビニのセルフレジ導入状況を見てみよう。

2018 年の無人コンビニブームをきっかけに様々なメディアに取り上げられた「便利蜂(Bianlifeng)」は、品出しをする店員はいるものの有人レジはなく、セルフレジが設置されている。

以前は便利蜂のアプリを使ったスマホレジも利用することができた。当時は店内のあちこちにアプリの QR コードが貼られていたのだが、久しぶりに店舗を訪れてみるとQR コードの掲示が全く見当たらなくなっていた。

もう使えなくなったのかと思ったが、便利蜂のアプリの中を探してみると、スマホレジは機能としては残っていた。しかし今はあまり利用者もいないようで、探してやっと見つかる程度の扱いになっている上、そもそもバーコードの読み取り開始時に必要な店舗識別用 QR コードが店頭から撤去されていることを考えると、事実上もうスマホレジの機能は使わない方向ということであろう。

余談だが、筆者が訪れた便利蜂の店舗にはロボットが導入されていた。通路でおすすめ商品を紹介しているようだったが、こういったよくわからない取り組みがあるのが中国らしい。
ちなみにコンビニではないが、ローカル系スーパーの「永輝超市(YONGHUI SUPERSTORES)」も、セルフレジと共にスマホレジを導入している。こちらは永輝超市のアプリの中にある「並ばずに決済」というバーコードスキャン機能を使って会計を行う。

3. ファミリーマートのスマホレジを使ってみた

上海のファミリーマートでは、通常の有人レジのほか、備え付けの専用端末を使うセルフレジ、自分のスマートフォンを使うスマホレジの 3 種類の会計方法がある。ここでは実際にスマホレジの使い方を紹介しよう。

店舗で買うものを決めたら、まず自分のスマートフォンの微信(WeChat)アプリを開いて、店内に掲示されている「掃碼購」(掃码购、スキャンして購入の意味)の QR コードを読み取る。この時、アプリ側ではどこの店舗なのかを特定している。

次に商品バーコードの読み取り画面になったら、商品のバーコードを1つずつ自分のスマートフォンのカメラで読み取っていく。

全部のバーコードを読み込み終わったら、決済画面に進む。今回は微信支付(WeChatPay)で支払った。オンライン決済が完了すると、支払い済みを示す QR コードが発行される。

最後に、店を出る時には先ほどの支払い済み QR コードを使う。専用ゲートがある店舗ならば、ゲートの機械に QR コードをかざして店を出る。今回訪れた店舗のように専用ゲートがない場合は、有人レジかセルフレジに立ち寄り、支払い済み QR コードを読み取ってもらう必要がある。

筆者が有人レジに立ち寄ったところ、レジスタッフにそばにあるセルフレジ端末を使うよう指示された。スタッフがセルフレジのタッチパネルを操作してくれ、QR コードの読み取り画面へと進み、先ほどの支払い済み QR コードをかざして、無事に買い物が終了した。

買うものが数点なら、セルフレジに並びながらスマホレジで支払いを済ませ、自分の番が来たらセルフレジに支払い済み QR コードをかざして、さっと店を出る、というのは若干効率が良く、早い気がする。だが、最後の支払い済み QR コードを読み取らせるという 1 ステップが増えるくらいなら、正直、最初からセルフレジで会計すればいいような気もする。

専用ゲートを設けてある店ならば、最後に有人レジやセルフレジに立ち寄る必要はないので利用者が増えるかもしれないが、コンビニという限られた店舗面積の中ではそれも難しいと思われる。スーパーでは「スマホレジ+専用ゲート」の仕組みが整っているところも増えているが、コンビニのスマホレジは広く浸透することなく消えていくのかもしれない。

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この記事を書いた人

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