1. デジタル身分証の試験運用スタート
2017 年 12 月 25 日、広東省広州市でデジタル身分証「微信身分証」の発行が始まった。当日だけで 3 万人以上が手続きを行い、新しい身分証を手にしたという。
デジタル身分証は、国家の重大プロジェクトの一つとして実用化が進められているもので、インターネットサービスのほか、銀行、ホテル、鉄道切符の購入などで本人確認が必要な場合、既存の IC カード型身分証と同じ法的効力を持つものとして利用できる。
デジタル身分証は使用の度に顔写真を撮影し、AI による顔認証技術で登録済みデータとの照合を行うため、偽造や悪用の可能性が従来に比べて限りなく低く、認証エラー率は 0.0001%(100 万件に 1 件)だという。
2. デジタル身分証の入手と利用方法
最初の試験エリアとなった広東省では、身分証を管理する広州市公安局南沙区分局、インスタントメッセージアプリ「微信(WeChat)」を運営する騰訊(テンセント)、中国建設銀行など 10 社あまりによって設立された微警雲連盟が、デジタル身分証の発行をサポートしている。
デジタル身分証は、簡単な本人確認のみに使えるモノクロ版と役所や公安など厳格な本人確認が求められる場でも利用できるカラー版の 2 種類がある。モノクロ版は微信アプリ内にあるアプレット「網証 CTID」に身分証番号や携帯電話番号を登録するだけで入手できる。
カラー版は、専用の「微警認証」アプリをスマートフォンにダウンロードした後、公安局の専用手続き窓口に出向き、スマートフォン本体の認証や顔写真の撮影、所有する IC カード型身分証の読み取り登録等を行って、ようやく利用可能となる。デジタル身分証を使用する際は、網証 CTID か微警認証アプリを開き、相手に QR コードを読み取ってもらう。必要に応じて顔写真を撮影し、公安局の登録データと照合できれば、ただちに認証完了と表示される。
なおデジタル身分証を登録したスマートフォンを紛失した場合、他の微信あるいは微警認証アプリから身分証のデータを抹消することができる。
2018 年 1 月以降、全国で順次デジタル身分証の発行が始まると報じられているが、具体的な計画は明らかにされていない。