中国の消費者金融業の成長と日系企業の参入

1. 中国の個人向け融資・各種ローン市場概況

中国の個人向け融資サービスの歴史は浅く、本格的に始まったのは 1990 年代だ。当時の中国はアジア金融危機の影響を受けており、内需回復の刺激策の一つとして一部の融資サービスが解禁された。その後も経済成長に合わせて、金融機関による住宅ローン、自動車ローン、クレジットカード、ノンバンク系の自動車ローン専門会社、民間企業によるいわゆる消費者金融サービスなどが次々と解禁され、今ではインターネットを介して個人間の小口融資を行う P2P(Peer to Peer)と呼ばれる金融サービスも登場。収入のない大学生をターゲットにした消費者金融サイトも激増していると聞く。

中国人民銀行のまとめによれば、2015 年 9 月末時点の社会融資規模(金融システムから実体経済へ供給される資金総額を示す指標)は 134 兆 7000 億元(約 2600 兆円)で、このうち人民元によるものが 90 兆 4800 万元(約 1750 兆円)だった。また金融機関の人民元による融資だけで 92 兆 6473 億 2200 万元に上り、このうち住宅ローンが 26 兆 3185億 9200 万元、短期融資が 8 兆 8238 億 5500 万元を占めた(2015 年 10 月末時点)。

このほか中央銀行および中国銀行監督管理委員会(銀監会)の管理下にある非銀行金融機関のうち、自動車ローン専門会社の融資残高が 2015 年 3 月末時点で 3316 億 8200万元、消費金融公司(ノンバンク金融サービス会社)の個人消費用融資残高は 2015 年第 1四半期(1-3 月)だけで 94 億 4100 万元、累計利用者数は 70 万 9200 人に上る(いずれも中国銀行監督管理委員会のまとめによる)。なお 3 月末時点の不良債権総額は、自動車ローン専門会社が前期比 21.16%増の 16 億 900 万元で、不良債権化率は 0.49%。消費金融公司が同 41.53%増の 5 億 100 万元で、不良債権化率は 1.7%となっている。

さらに銀監会ではなく地方政府が管理する小額貸款公司(小口融資を行ういわゆる消費者金融会社)は、全国に 8965 社あり、融資残高は 9507 億 9500 万元に上る。省・直轄市・自治区別では江蘇省が最も多い 635 社、融資残高 1090 億 600 万元で、北京市は83 社、128 億 3300 万元、上海市は 118 社、208 億 3200 万元となっている(いずれも2015 年 9 月末時点)。

政府は個人・中小企業向けの融資サービスの育成に積極的で、11 月 23 日には国務院が無担保・無保証での融資を増やし、現在は一部の大都市に制限されている消費金融公司の新設を全国でも解禁すると発表した。設立条件等の詳細はまだ明らかでないが、2016 年は融資市場の一層の発展と拡大が見込めそうだ。

2. 消費金融公司(ノンバンク金融サービス会社)とは

消費金融公司による融資は、家電などの購入にあたって販売店経由で契約する特定融資と内装工事や旅行、結婚費用など一般使途の個人消費用融資に大別される。2009 年7 月に銀監会が発表した「消费金融公司试点管理办法」を元に、北京、上海、天津、成都の 4 都市で試験的に消費金融公司が設立され、第 1 号の融資は 2010 年 3 月 1 日に北京銀行を親会社とする北銀消費金融有限公司により行われた。現在は銀行のほか、EC や保険、小売、メーカーなど様々な業種の企業が参入し、2015 年 5 月末時点で 9 社が営業している。

2014 年 1 月 1 日に改正施行された新版の同弁法では、消費金融公司の定義を「銀監会の批准を受けて中国国内で設立された、公衆の預貯金を受け入れずに、小額、分散を原則として国内に居住する個人に消費(不動産および自動車の購入は含まない)を目的として貸付を行う非銀行金融機構」としている(第二条、第三条)。貸付上限は 1 人当たり20 万元(第二十一条)で、金利については、「資金コスト、リスクコスト、資本回収上の要求および市場価格などの要素に基づき、法律法規が許容する範囲内で金利水準を設定すること」としている(第二十五条)。担保や審査期間に関する規定はなく、実務上は無担保・無保証で、審査にかかる時間も数十分から 1 時間程度とされる。

チェコの投資会社 PPF グループ傘下の捷信中国は、全国 21 の省・直轄市・自治区の 200 あまりの都市でサービスを展開している。

4 万店舗もの家電チェーン店に融資窓口を開設しており、携帯電話の購入を中心に毎日 2,000 件以上の利用があるという。利用者の大半は平均月収が 3,000-4,000 元で、平均融資金額は 2,500 元だ。審査にかかる時間は 30 分ほどで、店内にある捷信中国の窓口で利用申請書を記入するだけでよい。返済は指定した銀行口座から毎月自動的に引き落とされる。最近では利用者のすそ野を広げるため、“頭金10%、毎月の返済は商品価格の 10%ずつ、10 回分割払い”といったシンプルなプランを用意している。他にも北銀消費金融有限公司は返済パターンを 40 種類も用意。家電チェーン蘇寧グループの蘇寧消費金融公司は、決済サービスの易付宝でいつでも任意の金額が返済できる「任性付」というプランでサービスの差別化を図っている。

調査会社の艾瑞咨詢は、消費金融公司による融資規模の年平均成長率は 2014 年から2017 年にかけて 20%以上を維持し、2017 年には 27 兆元を超えるとみている。政府も市場の拡大に前向きで、先月も金融資産管理会社傘下の華融消費金融股フェン有限公司が新たに銀監会から批准を受け、2016 年早々に営業を始めると報じられたばかりだ。

3. 小額貸款は中国版消費者金融

日本の消費者金融にあたるサービスは中国では「小額貸款(小額ローン)」と呼ばれる。元々は 1994 年に農村向けに融資を行う“恵民政策”として導入されたもので、農民の創業支援など貧困から脱出するための手段の一つとして整備された。その後、いく度もの制度変更を経て、現在では農民のみならず一般消費者にも融資を行う民間の消費者金融サービスとして成長している。

小額貸款公司は銀監会ではなく地方政府が管理しており、全国に 8965 社ある。融資残高は 9507 億 9500 万元に上り、省・直轄市・自治区別では江蘇省が最も多い 635 社、融資残高 1090 億 600 万元で、北京市は 83 社、128 億 3300 万元、上海市は 118 社、208 億 3200 万元となっている(いずれも 2015 年 9 月末時点)。

前項の消費金融公司と違い、小額貸款公司の設立にあたって銀監会の批准はいらず、個人だけでなく自営業者や中小企業向けにも融資を行うという特徴がある。無担保で借りられるが、一般的に年齢が 22-55 歳、勤続 3 カ月以上で安定した収入があることといった条件がある。融資金額はおおむね 1,000 元以上 30 万元以下で、個人ならば申請した当日に融資が受けられるが、事業者の場合は審査に数日かかることが多い。

金利は中国人民銀行が発表する基準金利の 0.9 倍から 4 倍までと定められており、実際には利用者の収入や返済回数などのリスクに応じて個別に決められるようだ。なお、2015 年 12月 10 日時点の基準金利は、返済期間 1 年以内が 4.35%、1-5 年が 4.75%、5 年以上が4.90%となっている。

4. お金を借りるならポータルサイトで情報収集

インターネット上には、融資に関するポータルサイトが数多くある。四川易貸網金融信息服務有限公司が運営する「易貸網(http://www.edai.com)」は全国 371 都市の融資サービスを網羅しており、独自の認証制度で利用者の安心を担保している。

また多くのインターネットユーザーが利用する検索サイト「百度(Baidu)」でも“百度財富”(http://caifu.baidu.com)という財テク情報ページで各社の商品を紹介している。借りたい金額と返済期間を入れれば、毎月の返済額と利子の総額が一目でわかる仕組みだ。

10 万元を 1 年借りても、利息は 0.28 万元から 1.86 万元まで様々。

5. 日系消費者金融サービスの中国参入

中国の消費者金融市場には、“プロミス”のブランド名で知られる SMBC コンシューマーファイナンス株式会社が早くから参入している。同社は 1992 年 2 月に香港で 100%子会社の邦民日本財務(香港)有限公司(プロミス香港、PROMISE(HONGKONG)CO.,LTD)を立ち上げ、日本と同様の無担保・無保証による個人向け小口資金融資を始めた。現在は、香港島、九龍、新界に 30 カ所以上の店舗を持ち、延べ23,000 人が利用しているという。

プロミス香港 http://www.promise.com.hk

香港に進出した同社が中国事業の第一歩として選んだのは広東省深セン市だ。2007年 5 月にプロミス香港の 100%出資で深セン普羅米斯小額貸款有限公司(プロミス深セン)を設立。さらに 2010 年 5 月、プロミス香港が中国で信用格付け事業などを営む鵬元資信評估有限公司との合弁で深セン市鵬民小額貸款有限公司を設立し、7 月より小額ローン事業をスタートさせた(出資比率はプロミス香港が 60%、鵬元が 40%)。深センは香港と隣接していることから経済成長も著しく、なにより消費者金融事業への外資の参入を受け入れる環境が整っていたのだという。

プロミス上海(http://www.bomin-china.com/) 日系という記述はどこにもない

さらにその後、2011 年 5 月に瀋陽市、2013 年 3 月に天津市、2013 年 9 月に重慶市、2013 年 12 月に成都市と武漢市、2014年 10 月に上海市でそれぞれプロミス香港100%出資の拠点を開設し、「博民快易貸」のブランド名で小額貸款事業を展開している。なお 2004 年にはタイにも SMBC コンシューマーファイナンスの出資で進出しており、香港、タイおよび中国 7 都市の海外事業における貸付金残高は 2015 年 3月時点で 696 億円に上っている。

http://www.smbc-cf.com/business/oversea.html より

このほか日系では、エクイティ投資会社のオーシャン・キャピタル株式会社(http://oceancapital.co.jp)が出資する日本網絡通財務有限公司(FINANCE ONE)が 2011 年より香港で消費者金融事業を展開している。店舗は香港島に 1 カ所のみだが、日系であることを前面に出しており、無担保・無保証で最大 30 万香港ドルの融資が受けられる。

FINANCE ONE(http://financeone.com.hk/) 金利は 18.0-29.2%と日本より高い

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