2021年末時点で、北京市内でシェアサイクルを運営する事業者は、北京摩拜科技有限公司(美団)、上海钧正网络科技有限公司(Hello)、广州骑安科技有限公司(青桔)の3社となっている。
北京市ではシェアサイクル用自転車の台数に上限を設けて管理しており、「中心城区」と呼ばれる東城区と西城区では3社合計で約80万台、その他の区ではそれぞれ0.02万台から4.5万台、合計で約95.6万台が登録されている。
なお、通州区、大興区、懐柔区、昌平区には「公共自転車」と呼ばれるシェアサイクルに類似したサービスがあり、区内の事業者が管理運営を行っていたが、2021年中にシェアサイクル事業者による運営に切り替えている。
シェアサイクルの利用状況
新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いていた2021年の北京市では、シェアサイクルの利用が再び増加した。
2021年上半期のシェアサイクルの利用数は、市内全域を合計してのべ3.65億回となり、前年同期に比べて53.42%増加している。1日あたりではのべ201.85万回で、こちらも同じく54.26%増加した。
下半期はさらに利用が増え、市内全域での利用数の合計はのべ5.9億回、1日あたりではのべ318.9万回で、前年同期に比べて29.4%の増加となった。また運営事業者が再配置する台数は1日あたり12.75万台に上る。1台の自転車は1日あたり平均3.31回利用されており、前年同期に比べ21.06%の増加となっている。
延慶区、平谷区、密雲区、懐柔区、門頭溝区、大興区、および大興空港の試験エリアでは、92%以上の自転車が指定の駐輪場にきちんと駐輪されており、利用者のマナー改善と運営事業者のサービスの質の改善がみられる。
事業者への処分状況
北京市では「北京市インターネットレンタル自転車サービス品質信用評価弁法(北京市互联网租赁自行车服务质量信用考核办法)」に基づき、市・区のシェアサイクル管理部門、郷鎮人民政府、街道弁公室、および第三者機関が共同で、シェアサイクル事業者の評価を実施している。
具体的には、投入する自転車の登録状況、重点区域での駐輪管理、ユーザーの満足度、行政処罰の状況など15項目の指標があり、中心城区でシェアサイクルを運営する事業者に対しては四半期ごとに、その他の区では地域の実情に合わせて評価が行われている。違反行為や問題が確認された事業者には事情聴取を行い、期限内に是正しなかった場合に行政処分となる。
各事業者に対する2021年の処分状況は次の表の通りとなっている。
市民やユーザーからの苦情が集中する駐輪状況の改善に向けて、北京市では地下鉄駅や大型商業エリアを中心に電子フェンスを用いた駐輪場を1,181カ所設置して、約6.5万台を管理している。さらに運営企業側もユーザーの信用管理を行っており、違法駐輪を繰り返すユーザーには3社統一の基準で利用停止処分を行っている。
また各区では2021年6月から「公共文明引導員」と呼ばれる指導員やボランティアを合計7,500人あまり動員し、バス停や地下鉄駅周辺で違法駐輪や安全運転の指導を始めている。指導員の稼働時間はのべ1万4700時間を超えているが、違法駐輪が減るなどの効果が出ている。
電動シェアサイクルに対する指導状況
北京市は電動シェアサイクルの運営拡大を認めておらず、複数の条例や指導意見でもこれを明文化している。北京市交通委員会等は、2021年6月末までに電動シェアサイクルの8つのブランドに対し、累計9回の行政処罰を行い、あわせて路上にある電動シェアサイクルを全て没収した。
市内で電動シェアサイクルを運営する北京蜜歩鍵有限公司は、当局との面談を避け調査にも協力せず、罰金の支払いを拒否した。そのため北京市交通委員会は罰金の滞納金の請求に加えて、裁判所に強制執行を申請し、北京市市場監督管理局も公司法に基づいて同社の営業ライセンス取消を行った。
なお、すでに北斗智租、小N共享、筋斗雲出行などの複数の事業者が、北京市内での運営から撤退する旨の承諾書を提出している。
本稿は北京市交通委員会が発表した以下の調査結果を元に執筆したものです。
北京市交通委员会关于互联网租赁自行车行业2021年上半年运营监管情况的公示http://jtw.beijing.gov.cn/xxgk/tzgg/202108/t20210818_2470650.html
北京市交通委员会关于互联网租赁自行车行业2021年下半年运营监管情况的公示
http://jtw.beijing.gov.cn/gxdc/tzgg/202201/t20220126_2600295.html