台湾の電脳街に潜入
台北の秋葉原とも言えるのが光華商城、光華数位新天地、八徳路電脳街が集まるエリアだ。すぐそばには台湾トップの理工系大学として有名な台北科技大学がある。
【光華商城】
光華商城は10年ほど前までこのエリアにあった商業ビルの名称だが、地元の人たちは現在もこのあたり周辺を光華商城と呼んでいる。外に大きくメーカーの看板が掲げてあっても直営店ではなく、PC本体から各種パーツ、周辺機器、OAサプライ、スマートフォンとあらゆるデジモノを売っている。中古品の買い取り・販売や修理店も集まっており、地下には秋葉原のガード下のような電子部品や線材といったパーツショップが集まる雑居フロアが広がっており、コピー商品と見受けられるものもちらほら。表示されている価格を見る限り、一概に日本より安いとは言えないようだ。Webサイトには買い物に役立つ価格比較やコミュニティがある。http://www.arclink.com.tw/
【光華数位新天地】
光華商城ビルに代わって2008年に新しく建てられた6階建ての電脳ビルで、1階は大手メーカー製のノートPCやタブレットを取り扱う店が並ぶ。2階から上は、自作PC向けのパーツ類、キーボードやプリンターといった周辺機器を売る個人経営の小さな店が入居しており値段交渉もOK。PlayStationやDSといった携帯型ゲームの販売店のほか、アニメグッズの店もいくつかあった。OAサプライを扱う店の店員は、入居審査があると話していたが、中国大陸によくある電脳城のように怪しいカオスな空間・・・というよりは、比較的きちんとした店が多く、明るく清潔な雰囲気だ。
PCパーツ以外で特に目立ったのは、スマートフォンやタブレットのカバー等のアクセサリーを扱う店で、店員によると500~1000台湾ドル(約1700~3500円)のものがよく売れるという。またあちこちで見かけた「全包膜」という看板を出す店では、液晶画面の保護シールだけでなく、端末の全面に貼るスキンシールをその場で貼ってくれる。価格はシールのデザインや端末によって1000台湾ドル前後(約3500円)で、スマートフォンだけでなくタブレットやノートPCの背面に貼るのも人気だそうだ。
台湾の原宿?なんでもありの西門町
西門町は台北駅から一駅の繁華街で、「ファッションの流行発信基地」などと呼ばれることも多い若者の街だ。サブカルチャーやオタク文化の発信地としても知られ、夕方になれば屋台も並び、夜遅くまで人通りが絶えない。
西門町にはモバイル通信キャリアが比較的大きめの店を構えているほか、SONYのXPERIA旗艦店やApple製品の専売店があり、いずれも夕方から夜にかけてたくさんの人が来店していた。
キャリアのショップはどこもiPhone5を大々的に推しており、店頭には本体0円~のポスターも。Apple製品の専売店では、中古端末の買い取り及び下取りをしており、買い取りの場合、iPad1が1000台湾ドル、iPad 2及び3は1500台湾ドル、下取りの場合iPad miniが3310台湾ドルから購入できるようだ。
また西門町の電脳ビルとして知られる獅子林は、中古の携帯電話やスマートフォンを扱う店がいくつもある。ビルの古さや照明のうす暗さに加え、光華商城にはない積極的な呼びこみが近寄りがたいのか、若者の足は向かないようで人足はまばらだった。
もう1つ西門町で有名な商業ビルが萬年商業大楼で、日本の雑誌や漫画、アニメグッズなどを扱う店が集まるフロアがある。10階にはインターネットカフェもあり、利用料金は5時間で125台湾ドル(約430円)、8時間で150台湾ドル(約520円)、12時間で220台湾ドル(約770円)となっている。PCゲームができるのはもちろん、マンガや雑誌、最新映画のDVDも置かれており、日本のそれに近い雰囲気だ。
西門町にはゲームセンターが数カ所あり、路面店はクレーンゲーム、ビル内の大型店はアーケードゲームが中心に置いてあった。大型店には日本からそのまま持ち込まれた躯体が置かれており、画面や音声も日本語のままというものも多い。
アーケードゲームで遊ぶには、事前にカウンターや両替機で台湾ドルを専用コインに交換する必要がある。小さなクレーンゲームなどは、台湾ドルの硬貨がそのまま使えるようになっていた。日本ではいささか物騒なイメージがつきまとうゲームセンターだが、台湾のゲームセンターは夜になっても小さな子供を連れた家族や中高生とみられる女の子だけのグループが遊んでおり、店内も明るく安全な雰囲気だった。
西門町には日本のアニメや漫画を扱う店が集まっており、MRT西門駅の出入り口がある中華路沿いにある「アニメイト(台湾名は安利美特)」の台湾旗艦店や「KT動漫精品」が有名だ。日本から輸入した漫画単行本やアニメ・声優雑誌などが並んでおり、周囲にはコスプレの専門店なども集まっている。
コンシューマーゲーム事情を知るなら、台北地下街
台北地下街は、台北駅北側を東西に走る地下街で長さは約1キロ。台北駅に接続している東側から順にアパレルエリア、雑貨エリア、電子製品エリア、レストランエリアに分かれている。この電子製品エリアには、PlayStationやDSなどのゲームを扱う店を中心にトレーディングカード、フィギュア、日本のアニメ雑誌・漫画が集まる。他では見かけない国際電話カードや中古のフィーチャーフォンを扱う店も並んでいた。
ゲーム販売店はどの店でもPlayStation、Xbox360、Wii、PSP、DSと一通り取り扱っており、繁体字版の正規ソフトが豊富に揃っている印象を受けた。なかには並行輸入品と大きく書いてあるゲーム機本体を売る店も。ほとんどの店が中古の本体やソフトを扱っており、中古ソフトの高価買取をうたう店も目立った。海賊版は店頭での販売がインターネット上に移っただけで一掃されてはいないが、中古ソフトの買取・販売が成り立つレベルまで市場はクリーンになりつつあるということだろうか。
このほか目立ったのはトレーディングカードを扱う店で、中高生くらいの男の子が店頭のテーブルで遊ぶ姿も。トレーディングカードのポスターは、どの店でも日本のものがそのまま貼られていたのが印象的だった。
胡散臭さでは西門町の獅子林に勝るとも劣らない中古携帯電話ショップは、地下街にいくつか散在している。ある店のおばさんの話では、安いフィーチャーフォンは台湾に出稼ぎに来る東南アジア人や留学生がよく購入するという。国際電話カードも同様で、出稼ぎ労働者が母国に電話をかけるために購入していくのだという。中古の携帯電話は1000~3000台湾ドル(約3500~1万円)で揃っている。
ゲームの広告宣伝は控えめ?
ゲームショップの集まる台北地下街やインターネットカフェを除けば、ゲーム関連ではRMT西門駅構内でオンラインゲームの大型広告を見かけただけで、街中でポスターなどを見かけることはなかった。RMTの車内でもスマートフォンでゲームをやっている人は少ないように感じられ、多くの人は動画を見たり、LINEやメールをしているようだった。
一方でコンビニや書店には、スマートフォンアプリやオンラインゲームに関する雑誌が何種類も並んでいた。どれも日本円で100~300円程度と手ごろな値段で、台湾のゲームファンがオフラインで情報を得る手段の一つとして機能しているようだった。