CATL(寧徳時代)のEVバッテリー交換ステーション「EVOGO(エヴァゴ)」(2022年)

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結論と要約

中国のEVバッテリー大手 CATL(寧徳時代) は、バッテリー交換型サービス「EVOGO」を展開し、EVの充電課題の解決に挑んでいる。わずか約1分でバッテリー交換が可能という利便性が注目される一方で、車両側のコストや普及のハードルも存在する。
本記事では、EVOGOの仕組み、導入状況、そして普及に向けた課題について解説する。

EVOGO(エヴァゴ)とは

新興EVバッテリーメーカーのCATL(シーエーティーエル|寧徳時代)が、子会社の時代電服(CAES)を通じて、EVバッテリー交換ステーション「EVOGO(エヴァゴ)」の設置を進めている。

一般的なEVでは、急速充電でもフル充電に約1時間、家庭用充電では10時間以上かかる。一方でEVOGOは、フル充電済みバッテリーとの交換がわずか約1分で完了する点が大きな特徴だ。

EVOGOはサブスクリプション形式で提供され、料金は1ブロックあたり月額399元。走行距離が増えて交換回数が多くなる場合は、追加料金が発生する。1ブロックで約200kmの走行が可能であり、長距離移動時には複数のバッテリーを搭載することもできる。

EVOGO(エヴァゴ)の画像(公式サイトより)

また、専用バッテリーは板チョコのような形状から「Choco SEB」と呼ばれている。
現在、このバッテリーを採用している車種としては、一汽集団の
「奔騰NAT」がある。

Choco SEB の画像(公式サイトより)

CAESによれば、Choco SEBは市販EVの約8割に適合可能とされ、今後3年間に発売されるモデルへの対応も見込まれている。

バッテリー交換の方法

EVOGOのステーションは、シルバーを基調としたシンプルな外観で、駐車場3台分程度のスペースに設置可能だ。完全自動化されており、常駐スタッフは不要である。また、1つのステーションには、通常約48個のバッテリーが備えられている。

車両が近づくと、カメラがナンバープレートを自動認識し、会員情報と照合される。認証されるとゲートが開き、車両を所定位置に停車させる。

その後は車内で待機しているだけで、全自動でバッテリー交換が完了する。完了後はそのまま前進して退出するだけという、非常にシンプルな流れだ。

専用アプリでは、

  • 最寄りステーションの稼働状況
  • 交換可能なバッテリー残数
  • 事前予約

などが確認できる。

モデル都市は厦門市

CAESの拠点がある厦門市は、EVOGOのモデル都市と位置付けられている。

2022年4月には、最初の4カ所のステーションが開設された。
同年末までに市内30カ所の設置が計画されており、最終的には約3kmごとに1カ所という高密度配置を目指している。

普及に向けた戦略は

2022年2月には、福建省高速能源公司と戦略的パートナーシップ覚書(MOU)を締結。
両社は合弁会社を設立し、高速道路のサービスエリアへのステーション設置・運営を進める計画だ。将来的には、周辺省へのネットワーク拡大も構想されている。

さらにパートナー企業の開拓も進めており、100台以上のEVOGO対応車両を導入する企業に対して、ステーションを無償設置するなど、普及促進策を打ち出している。

普及の足かせはコストの高さ

中国ではEVの普及が急速に進む一方、充電インフラ不足が課題となっている。長期休暇には、充電待ちが発生するいわゆる「充電難民」の問題も報じられた。

2021年のEV販売台数は291万台(前年比2.6倍)に達したが、新設された充電設備は約59.7万基と、その増加に追いついていない。

このような状況から、バッテリー交換方式は有効な解決策と考えられるが、最大の課題は車両側のコストにある。

自動車は精密設計であり、バッテリーを搭載する床下に余剰スペースはほとんどない。
さらに、中国政府はバッテリー交換式EVに対し、厳しい耐久基準を課している。

具体的には、

  • 最低8000回の交換耐久性
  • 開発段階で5000回以上の交換試験の実施
  • 構造のゆるみ・変形・亀裂・脱落がないこと

などが求められる。

これらの基準を満たすため、通常のEVよりも開発・製造コストが増加する点が普及の障壁となっている。

Choco SEBは高い汎用性を持つとされるが、どれだけの自動車メーカーが採用するかは未知数であり、EVOGOの普及はCATLの戦略に大きく依存すると言える。

情報元:寧徳時代(CATL) 公式サイト https://www.catl.com

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