韓国ゲームの輸出入の現況及びゲームパブリッシングの実情 ~モバイルゲームを中心に~

目次

韓国ゲームの輸出入の現況

(1) 世界のゲーム市場におけるシェア

2012年の売上高を基準とした韓国ゲーム市場の規模は、70億6,300万ドルだった。これは、世界のゲーム市場規模(1,117億5,000万ドル)の6.3%にあたる。

世界のゲーム市場において韓国ゲームが占めるシェアについて、プラットフォーム別にみると、オンラインゲームは28.6%を占め、中国に続き世界2位の水準を維持している。モバイルゲームは、2011年の3.9%から2012年には、5.1%とその割合を高めている。今後も成長軌道に乗っているオンライゲームとモバイルゲームを中心に、世界市場において韓国ゲームが占める割合は増えることと予想される。

(2) 輸出入額の推移

2008年以降、韓国ゲームの輸出額は継続的に増加している。2008年に10億9千万ドルだった輸出額は2009年には13.4%成長し12億4千万ドルに至った。特に2010年には前年比29.4%、2011年には前年比48.1%と増加し、2012年には2008年の約2.5倍にあたる26億3千万ドルまでに成長した。2013年の輸出額は前年と比べ11.2%成長し、輸出額は約29億ドルを達成すると見込まれる。

一方、輸入額は減少する傾向にあり、2008年の3億8千万ドルから毎年マイナス成長が続いている。特に2010年は前年比マイナス27%と大きく減少した。2012年のゲーム輸入額は、2008年の3億8千6百万ドルから約50%減少した1億7千9百万ドルであることが分かった。

(3)プラットフォーム別の輸出入の規模及び割合

韓国ゲームの輸出及び輸入の現況をゲームプラットフォーム別でみると、輸出はオンラインゲーム、輸入はビデオゲームの割合が最も高いことが分かる。

輸出について、2012年の各プラットフォームの割合は、オンライゲーム91.4%、モバイルゲーム6.4%、アーケードゲーム2.2%、ビデオゲーム0.1%の順であった。2009年に97.6%に達していたオンラインゲームの輸出は、2012年には91.4%と減少しており、2009年に0.6%に過ぎなかったモバイルゲームの輸出は2012年に6.4%にまで増加した。

輸入について、2012年は、ビデオゲーム51.8%、オンラインゲーム27.7%、PCパッケージゲーム12.0%、モバイルゲーム4.6%、アーケードゲーム3.9%となり、ビデオゲームとオンラインゲームの割合が最高だった。ビデオゲームの輸入は年々減少しているが、その代わりにオンラインゲームは2009年の12.9%から2012年には27.7%と増加した。その他、モバイルゲーム、アーケードゲーム、PCパッケージゲームの割合は2009年に比べ上昇したことが分かった。

日本のモバイルゲームの韓国進出の実例

2013年に韓国でリリースされたあるいは、リリースが予定されている日本製モバイルゲームについて、インターネットに公開された記事の内容などに基づき弊社で調査したところ、下記の表の通りとなった。韓国モバイル市場への進出方法としては、現地のパブリッシャーを使うケースがほとんどだったが、中には資本提携による進出や、韓国に支社を設立し自社のゲームだけではなく、他社タイトルのパブリッシング事業にも乗り出しているケースがあった。

モバイルゲームのパブリッシングの売上と収益の分配構造

 (1)モバイルゲームマーケットのレベニューシェア

GooglePlayやAppStoreなどのオープンマーケットにゲームをリリースする場合、売上の30%を手数料として納めることになる。さらに、カカオゲーム(「카카오게임하기」)にゲームをリリースする場合、売上の21%の手数料がかかる。その他、パブリッシャーとの間でパブリッシング契約を締結すればさらに手数料が発生する。ゲーム開発メーカーとパブリッシャー間には、GooglePlayやAppStoreと異なり固定手数料はないが、両者間の平均利益配分が55.4%: 44.6%という調査結果(韓国コンテンツ振興院、2013年)があることから、最終的にゲーム開発メーカーが持っていける収益は、売上全体の約27%という計算となる。

一方、通信キャリアが運営しているオープンマーケット、たとえばTstoreの手数料は30%でGooglePlayやAppStoreと同様であるが、開発メーカーと共同でマーケティングを行ったり、マーケット内での集客イベントの開催が盛んであるため、韓国国内向けゲームのリリースを希望する中小開発メーカーにとってはより有利と言える。

(2)マーケット別の売上割合

韓国コンテンツ振興院がモバイルゲームのマーケット別に調査したデータによると、「Tstore」(24.5%)の売上が一番高かった。次に、「AppStore」(24.2%)、「GooglePlay」(18.3%)、「その他」(17.1%)の順であった。

事業類型別にみると、ゲーム開発メーカー兼パブリッシャーは「GooglePlay」の売上割合が21.4%で、他の事業類型と比べ、比較的に高いことが分かった。一方、パブリッシャーの場合は、その他のマーケットが36.0%で比較的高い値で集計された。


ゲームのパブリッシング契約における注意点

IT関連の法律に詳しいと思われる韓国ローファーム正眞のイビョンチャン弁護士は、ゲームパブリッシング契約において、下記の点に注意するようアドバイスしている。(source:http://collectiveintelligence.tistory.com/105)

(1)独占的権利の制限問題

パブリッシング契約を締結する場合、ゲームに対し独占的にパブリッシングできる権限を与えるか、それとも、非独占的権限を与えるかについて明記しなければならない。独占的権限を付与する場合であれば、独占的権限の範囲を特定しなければならない。独占的権限の範囲の特定は、地域的範囲の特定とパブリッシングするマーケットの範囲の特定によって行う。

1)地域的範囲の特定

パブリッシャーに対し、特定国でのみパブリッシングできる権限を与える契約なのか、パブリッシングする国を限定しない契約なのかを決めておかなければ、後々問題が発生する可能性がある。たとえば、ゲーム開発メーカーが、パブリッシングの範囲を地域的に制限したのであれば、制限がかかっていない地域に対しては、ゲーム開発メーカー自らがパブリッシングを行ったり、他のパブリッシャーと契約を締結することも可能である。

2)パブリッシングするマーケットの範囲の特定

パブリッシングするオープンマーケットの範囲をGooglePlay、AppStore、Tstoreに制限するものなのか、それともすべてのオープンマーケットに対してパブリッシングできる権限を与えるものなのかを確定しなければならない。パブリッシングするマーケットを制限することによって、制限を受けない他のマーケットにおいては、ゲーム開発メーカー自らがパブリッシングを行ったり、他のパブリッシャーと契約を締結することが可能となる。

(2)利益配分の問題

モバイルマーケットでは、だれもがGooglePlay、AppStoreなどにゲームをリリースできるため、もっぱらゲームを流通させるためにパブリッシング契約をすることはない。ゲーム開発メーカーとパブリッシャー間の契約は、ゲーム開発の段階で投資を受けたり、パブリッシャーにサーバ管理やユーザ管理を一任するために行うことが一般的である。

したがって、パブリッシング契約時の利益配分は通常、ゲームの売上高を一定の割合に分けて行う。この場合、ゲームアプリ関連の売上高がもっぱらゲームアプリの販売による売上を意味するのか、それとも、広告や有料アイテム販売による売上も含むのかについて契約書に明記しなければならない。また、売上高はGoogleやAppleに支払われる手数料を控除した後の金額を意味するのかについても、同様に明記する必要がある。

次に、パブリッシャーの役割と義務についてもできる限り具体的に規定することが望ましい。パブリッシャーからどのくらいのマーケティング費用を出してもらえるか、マーケティング費用の使途についても、予め決めておくと後々のトラブルを防止に役立つ。

(3) アップデートと関連する問題

一度ゲームをリリースしたら、既存ユーザのゲームの継続利用と、新規のユーザの確保のために継続的なゲームのアップデートやイベントの開催、広告が必要となってくる。

たとえば、パブリッシング契約上、「ゲーム開発メーカーは、パブリッシャーからアップデートのリクエストを受けた場合、これを10日以内に完了しなければならず、アップデートに関連する費用は別途発生しない」と規定されている場合を仮定してみる。

パブリッシャーとしては、初期に投資したマーケティング費用などを回収するため、状況が悪くともゲーム開発メーカーに対しアップデートを要求するであろう。しかしゲーム開発メーカーとしては、すでにマーケットでの成功が見込めないゲームに対し人員とお金を投資するよりは、次回作に力を集中させたいはずだ。

このようなケースに備えるためには、アップデートに対する条件を付けておくこともよい方法である。「たとえば、ゲームのダウンロードの数が50,000人に満たない場合には、「ゲーム開発メーカーはパリッシャーからのアップデートの要求に応じなくてもよい」、または「アップデートに必要な費用はパブリッシャーが負担する」と規定しておけば、成功が見込めないゲームに対し、ゲーム開発メーカーが追加的な投資を行うことを未然に避けることができる。

(4) 著作権に関連する問題

ゲームに対する著作権は原則、著作物を実際に創作した者(著作者)、つまりゲーム開発メーカーにある(韓国著作権法第2条、同法第10条)。ここで問題となるのは、ゲームがアップデートされるケースである。ゲームのアップデートは、ゲーム開発メーカーによって行われることもあるが、パブリッシャーを通じて行われることもあり得るからである。

アップデートされたコンテンツの著作権がどちらに帰属するかについて定めていない場合、アップデートされたコンテンツに対する著作権は原則、パブリッシャーにある。

そうすると今後、ゲーム開発メーカーが自らパブリッシャーになったり、パブリッシャーを変更した場合には、旧パブリッシャーに対してアップデートされたコンテンツの削除を要求するか、またはそのコンテンツに対する著作権を既存のパブリッシャーから譲り受けなければならない。

しかし、パブリッシング契約が終了した時点で、ゲーム開発メーカーとパブリッシャーが友好的な関係を維持している可能性は低い。そのため、既存のパブリッシャーと著作権の譲受に関する交渉は、現実的に難しい。

このようなリスクを回避するために、「コンテンツのアップデートは、原則ゲーム開発メーカーによって行われるようにする」、または「追加でアップデートされたコンテンツに対する著作権はゲーム開発メーカーに帰属するが、ゲーム開発メーカーはパブリッシャーに対し不合理と認められない範囲で対価を支払う」という内容を契約書に明記することが望ましい。

(5) パブリッシング契約終了時のデータベース移行の問題

モバイルゲームはPCオンラインゲームに比べライフサイクルが短いため、データベースの移行に係る問題がそれほど大きく取り上げられていない。しかし、モバイルゲームにおいても長寿ゲームや相対的にライフサイクルが長いソーシャルゲームが登場したため、ゲームサービス配信の真っ最中にパブリッシング契約が終了する状況が発生し得る。

たとえば、契約終了の時点でゲーム開発メーカーが自らパブリッシャーになったり、新たなパブリッシャーを通じて引き続きゲームサービスを提供しようとするならば、ゲームサービスの継続性を確保するために、「旧パブリッシャーは新パブリッシャーに対し、従来ユーザ用のデータベースを移行しなければならない」とするなどデータベース移行の方式についても契約書に具体的に明記しなければならない。

またユーザ用データベースの移行は、ゲーム開発メーカーとパブリッシャーの間の合意だけで済む問題ではない。個人情報保護法では、情報の所有者から別に同意を得た場合などを除いて、個人情報を第三者に提供する行為を厳格に禁止している(韓国個人情報保護法第18条)。したがって、パブリッシング契約が終了した時点から相当な期間を設け、個人情報提供に関するユーザの同意を得るように義務付けることが必要となるであろう。

(6)ゲームサービス終了時のユーザに対する補償の問題

サービスが終了となる時点で、ユーザに対する補償の問題が必然的に発生する。特にユーザが購入したアイテムや仮想通貨に対する補償が必要な場合、ゲーム開発メーカーとパブリッシャーの間でどの割合で費用を負担するかについても、予め決めておくことが重要である。

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この記事を書いた人

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