易観国際のデータで読み解く中国オンラインゲーム市場

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オンラインゲーム市場概要

中国互聯網絡信息中心(CNNIC)の発表によれば、2012年6月末時点の中国のオンラインゲームユーザー数は3.31億人に上り、インターネットユーザー全体に占める比率は61.6%に達する。

また易観国際の調べによると、2012年第2四半期(4-6月)のクライアント型ゲームの売上は114.2億元に上り、前年同期に比べ30%増加。一方のブラウザ型ゲームは22.4億元で、前年同期の約2倍となった。毎年第2四半期は受験シーズンに当たることから市場は一時伸び悩むが、新学期が始まる第3四半期(7-9月)になって回復する傾向が見てとれる。

ユーザー特性分析 ―― 高学歴の収入ある若者が主体

ユーザーの男女比は、男性が73%、女性が27%となっており、年齢別では25歳以下が全体の6割以上、30歳以下では全体の9割を占めている。

職業別では、一定の収入がある会社員のほか、自由な時間を確保しやすい自営業・フリーランスと学生の割合が高く、全体の6割を占めている。逆に十分な時間があると思われる無職のユーザーが4.5%にとどまるのは、パソコンの所有を含む金銭的な理由が考えられる。

ゲームユーザーの月収は5000元以下が全体の8割以上を占めており、低~中所得者層にユーザーが集中している。

また学歴別では、高校程度以下のユーザーと大専・四年制大学に在学中あるいは卒業したユーザーがほぼ半々の割合となっている。携帯電話を利用するモバイルゲームでは、約7割のユーザーが高校程度以下であることから、オンラインゲームのユーザーの方が高い学歴を持つことがわかる。

居住地別では、比較的収入が多いと思われる北京や上海などの直轄市や省都に住むユーザーに比べ、地方都市や県以下の農村部に住むユーザーが多い。地方に行くほど娯楽が少ないため、オンラインゲームを楽しむユーザーが多いようだ。

主にゲームをする場所は自宅が73%で最も多く、パソコン所有率の高さが伺える。一方で以前は主流だったネットカフェの利用者は19%にとどまる。

中国でオンラインゲームが普及し始めたのはわずか10年ほど前だが、その黎明期からのユーザーが全体の約4割を占めており、この1年以内に新たにゲームを始めたユーザーはわずか2%にとどまる。

またユーザーは必ずしも無料で遊ぶことにこだわっておらず、1人当たりの月間課金額においても、0元(課金しない)は全体の約1割にとどまっている。

具体的な課金手段については、インターネットバンキングを利用するほか、淘宝網やインターネットカフェで割引販売されることが多いゲーム専用のポイントカード(Time card)を購入する方法が主流となっている。また携帯電話でオンラインゲームを楽しむユーザーの中には、チャージ済みの通話料金をゲームの課金に充てている場合もある。

ユーザーマインドを知る ―― 公平で安全なゲーム環境の整備が急務

オンラインゲームでは、じっくり遊ぶことができるロールプレイングゲーム(RPG)の人気が高く、逆に年齢や性別に関わらず手軽に楽しめる将棋・麻雀・パズルなどのカジュアルゲームはあまり人気がないようだ。またゲームを選ぶ基準として、キャラクターの個性や画面(グラフィック)・音楽の美しさを重視するユーザーが多く、人気のあるゲームを進んで選ぶ傾向もみられる。高い操作能力を必要とするFPS RPGやシューティングゲームが好きなゲームの上位に選ばれているように、挑戦し甲斐のあるゲームかどうかも重視されている。

ゲームを知るきっかけで最も多いのはポータルサイトの広告だが、友人からの口コミやインターネット上のコミュニティ・BBSの評判がきっかけになることも多い。

ゲームを始めた動機について、「友人と一緒に遊びたい」からと答えたユーザーが半数以上に上った。逆にゲームをやめる原因でも、「友人が遊ばなくなったため」との回答が約3割に上っている。

有料アイテムを購入するなど「課金しないとゲームに勝てない」という不満を訴える声は7割に上るが、これが直接ゲームをやめる原因とはならないようだ。しかし「BOT(不正プログラム)が多い」、「ゲームバランスが悪い」、「セキュリティが心配」といった声はゲームをやめる原因でも上位に挙がっており、ユーザーは課金の多寡よりも公平で安全に遊べるかどうかを重視していることがわかる。

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